「コロンブスの卵」的ヨガポーズ攻略法 (4)
シンガポールの競馬場跡地にあるヨガスクールで心がシャンティ(平和)になっていたら、ヨガインストラクター養成講座を受けることになった(3)
(これまでは、ひらけた明るい場所でヨガをしていたんだな)
と、ヨガインストラクター養成講座が始まってすぐに、感じた。薄暗いヨガのジャングルに独りで分け入るような心細さを覚えていた。ジャングルの案内人は、インド・バンガロールからやってきたインド人のManoj先生。
先生は男性で、生徒さんは、みな女性。マレーシア系シンガポール人、中国系シンガポール人、アイルランド人、マレーシア人と国籍はさまざま。
はじめて耳にするインド人先生のインド訛りの英語(・・・っていうか、これ英語なのか?どうしよう・・・さっぱり、わからん)のせいで、いや、強い鉛のせいで、講義の最初の2時間は、全くわからなかった。おそらく、先生は講座の概要を話していたのだろう。
その後、ポーズの練習の時間になって、あぁこれなら私にもできると思った。ハタ・ヨガのポーズを一つずつ学ぶ。
ティーチャー養成講座において、最も重要なのは、ポーズをとる手順をきちんと生徒さんに伝えられること。次に、禁忌事項を覚える。例えば、高血圧の人は逆立ちをしてはいけない。最後に大切なのが、効能。このポーズをすると、どんな体にいいことが期待できるかを説明できることが必要なのだ。
これをマスターしたら、次は、アジャストメントの練習をする。アジャストメントとは、生徒さんが撮っているポーズを理想の形に調整することだ。
「天井の方に上げた手の指先を見ましょう」
などと、口で言うこともできる。
あるいは、「天井方向はこちらですよ」
と、そっと動かしてあげる。
これを、先生と生徒役の二人一組で練習した。
一日目の午後になると、配布物が手渡された。
「今から配るのは、テキスト、鼻うがいのポット、それから鼻から喉に通すゴムでーす。これができないと、ヨガティーチャーの修了証書はあげられません。あっ、でも、大丈夫。苦しいのは最初だけだから・・・」
プラスチックのポットと直径8mmほ度、長さ30cmくらいのゴムのチューブを見て、嫌な予感がしていた。
「クラスの後半は、”Kriya(クリヤ)”をします。浄化です。胃の中を綺麗にしましょうね。ほんとは長い布を飲み込むのですが、初心者は食塩水です。ご安心ください」
(は?胃の浄化?聞いてないし・・・ヨガってそんなことするんだ)
何も知らずに養成講座に来てしまったと不安と後悔が押し寄せてきた。
「あなた、大丈夫?」
と、目の前に北インド出身のインド人の先生が立っていて、やはりニカっと笑っていた。
「コロンブスの卵」的ヨガポーズ攻略法 (5)につづく
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