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パパ男医という概念
最近の総合病院の一番終わってるなってポイントは若い男医も「女医マインド」を身に着けてしまっていること。「当直したくないです」「育休取りたいです」「家のことがあるので残業は無理です」と言い放つ男医が本当に増えた。もちろん当然の権利と言えばそうなのだが、それでは病院は早晩崩壊する。
— Neo_EMA (@NeoEMA2000) January 4, 2025
少し前になるがこのツイートが物議を醸していた。
これ自体に対して特にあーだこーだ言うつもりはないし、そもそもこのママ女医論争はTwitter文学では古典の領域である。
サイゼリア初デートありなし論争やデートでの奢り奢られ論争に匹敵するレベルに擦り倒されて来ている。
しかしなぜこの使い古された手法について再度注目が集まったのかは、女医という主語がデカすぎることに加えて、男性側も同様の「女医マインド」を持ち始めたと言う点が新しかったからだと思われる。
ここで言う「女医マインド」とは、
要は「当直、オンコール、残業はしたくないです。時間内はしっかり働きます。」という至極真っ当な思想のことだと推察するが、
それが可能な科、病院はとても限られる現状がある。
加えてその働き方は、単身者もしくは
従来のバリバリ男医+専業主婦家庭の犠牲によって成り立っていることがよく論点として上げられる。
この既存の枠組みにはない新人類が
ここで言う「女医マインド」を持った男性医師、
パパ男医という存在である。
実際自分も一人の子供を持つパパ男医の当事者であり、妻も働いている。
そもそもバリバリの既婚男性医師の妻も、元は働いていたが家庭のために仕事をやめた場合が多い。
それは明らかに現在の医師の働き方では育児をすることができないからだ。
どちらかがバランスを取らない限りフルタイム共働きで医師が育児をするのは不可能だ。
今までその矛先が女性医師のみに向かっていた。
ママ女医と揶揄され、働きたくても働けない中、
徐々に理解され、一定の働き方ができるようになっているのが現状である。
しかし今はその矛先が男性医師にも向き始めている。
今や男性医師はただがむしゃらに働いているだけでは妻から評価されることはなく、家事育児にも積極的に参加する必要がある。
そのためには当然育休も取るし、定時に帰りたい、急な休みも起こるだろう、育児や家事も妻と折半で自分も積極的に頑張るというのがパパ男医の概念である。
それ自体は自然な流れであるし何より他の職種ではもっと前からこの流れはできていた。
では何が問題なのだろうか。
それは賃金と人手の問題である。
当直や残業、オンコールはほぼボランティアで正当な対価が支払われている病院はほぼない。
もしバリバリ男性医師+専業主婦の家庭で完全に男性が仕事にコミットできて、パパ男医よりも給料が3倍であればそこまで文句は出ないだろう。
また、現在の日本の医療を支えているのはまちがいなくこのバリバリ既婚男性医師や単身者であり、この人たち自体を否定したいわけではない。
しかし、
現在の医療経済や人手の観点からは男性医師は全て幹部候補生で、仕事だけにコミットすることが正義とされている。
この現状は昭和日本企業の総合職と変わらず、正直周回遅れである。
さらに昨今の名ばかりの働き方改革で医者の給料は上がる見込みはない。
今後はオンコールや当直はありつつ、ある程度時間内に帰れる年収900万くらいの職種として落ち着く気がする。
おそらく一番割を食うのはバリバリ男性医師+専業主婦の家庭だろう。
まだ長らくこのパパ男医としての葛藤は続くだろうが、時間を使って指導してくださる先生や妻への感謝を忘れず、日々時間内に精進していくしかないとは思う。
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