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少子化対策と誤嚥性肺炎
どんな題名だよと医師の方々は思うかもしれない。
2024年の日本の出生数が70万人を割って68.5万人になるそうだ。
2024年のわが国の出生数(日本人)は、前年比5.8%減の68.5万人になる見通し。
少し前まで100万人を割ったことを大騒ぎしていた気もするが、そこから加速度的に出生数が減っている。
2019年の厚労省の予測では2040年で出生数が74万人と予想しており、どれだけ想定外のスピードか想像がつく。
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ここで槍玉に上がるのが日本政府である。
少子化対策をする気があるのか、もう少子化対策は手遅れ、子ども家庭庁はただの中抜き組織だとか政府の少子化対策に対する不満が溜まっている。
そもそも少子化対策とはなんなのだろうか。
今までは既に子供がいる世帯への対策がほとんどであり、そのこと自体は確実に必要なことであるし、何より政策としてやった感があるし、効果を実感しやすい。
しかし皆もお気づきの通り、
実態として危機的なのは未婚化や晩婚化であり、そうならざるを得ない経済的、社会的理由やジェンダーギャップが複雑に絡んでいる。
この辺りについては数多の専門家が論説を出しているため下記ページ等を参考にしてもらいたい。
https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/fy2023/lm20231004.pdf
こうなった時に、なんかこの状況見たことあるなとふとした時に感じた。
そう誤嚥性肺炎の治療に似ているのである。
誤嚥性肺炎は主に高齢者がなる病気で、
年齢や脳疾患による嚥下機能の低下により細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎である。
要は肺炎であるため抗菌薬を用いて治療を行えばいいわけだが、
嚥下機能が落ちていることや高齢で摂食する体力がないこと自体が問題なため、治ったとしても繰り返す。
根本的には嚥下のリハビリをしたり、摂食の方法を工夫したりするほかないし、それで食べられなければ、栄養をどう取るのか、もしくはもう取らないのか、今後の人生の方針も立てる必要がある。
これのどこが少子化対策に似ているのかと言えば、
一見抗菌薬を投与すれば治るし効果はある。
しかし、根本的には嚥下機能を改善したり、食事の形態を工夫して元気に元通りにすることは複雑であり、大変難しい。
もしくは何かしらの着地点を家族とも協議して決めていかなくてはならない。
これには看護師や栄養士、言語聴覚士、家族含め施設の介護士などの協力が不可欠である。
自分もそうだが誤嚥性肺炎に抗菌薬を投与して満足していないだろうか。
児童手当を子ども世帯に配って終わりでいいのだろうか。
回し者ではないが、少し前に発売された
「誤嚥性肺炎の主治医力」はいい本なので、
市中病院で働いている方はぜひ読んで欲しい。
おそらく医療施設によってもできることは異なるし、
地域の状況もあるので必ずしも正解はないのだと思う。
少子化対策も誤嚥性肺炎も、
確実に少子化は進んでいくし、誤嚥性肺炎も年齢や病態の進行からは逃れられない。
しかし、複雑だから解決できないし、どうしようもないよねで終わってはいけないのだなと勝手に一人で思い直したので、
このnoteに雑多にまとめてみた。
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