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純愛バカの戯言「ガンダムSEEDFREEDOM」

「無限のリヴァイアス」をリアルタイムで観ていた流れから入り、無印の頃から大好きな「ガンダムSEED」。アムロとシャアの所謂「宇宙世紀」と並ぶくらい好きになった唯一のシリーズで、キラもラクスもアスランもカガリも大好きだけれど、ここまで愛や恋や個人をテーマにした劇場作品に仕上がっているのにはかなり驚いた。

 無印で辛い目に遭いすぎなキラは頼むからもう幸せにしてやってくれよ勢の自分としては、種自由小説版で、

〝誰に知られることなく、どこかこの世界の片隅で、ひっそりとキラと静かに暮らせることが一番の幸せなのだ〟

 というラクスからの心情吐露があったことと、キララク双方からの「愛してる」発言にキスシーンまでついたことで完全に昇天した。十数年ごしの突然のラブラブなデュートリオンビームの過剰供給で、しばらく鼻血とけしからん妄想が駄々漏れになった。

 NTR展開大嫌いな自分としては、ラクスを押し倒して乱暴しようとしたオルフェは万死に値するけど、アコードやディスティニープランの設定については意外と色々考えさせられた。
 人類平和や平等な社会実現のために自分とラクスは世界を導く存在だとか壮大なことを言いながら、結局はごく個人的な感情に帰結していくのがこの作品の肝だろうと思う。
 自国に核を撃ち込むような大虐殺をやっておきながら、キラとラクスのイチャイチャを目の前で見せつけられ、少し後ろを振り返るだけで自分にも抱きしめてくれる人がいることにも気づかず、自分の求愛を断った相手に罵詈雑言を喚き散らした挙句出た言葉が、

「わたしは今! あなたが欲しい!」

 などという情けない台詞なのは、エゴ丸出しで最高にガンダムしてたと思う。

 個人的に、オルフェとラクスの関係を「遺伝子上の運命の相手」とかいう言い方するのがめちゃくちゃ嫌。意図的に遺伝子操作してるのに運命って何言うてますのん?
 監督さんの舞台挨拶の度に色々とネットがざわついていたけど、結局ラクスを籠絡できないところを見ても、〝心〟などという最高にわけのわからんものを持った人間なんて生き物を、遺伝子だけで完全にコントロールしようなんていうのが無理な話しなんだろうなと思う。
 ラクスもキラも、お互い「ありのままのあなたが好き」だと明言していて、その人の生き方や心の在りようにハートで惹かれるものがあるんだとすれば、もしラクスがオルフェと先に出会っていたとしても、ラクスはちゃんとキラを選んでたんじゃないかなと、個人的には得心している。

 イングリットがラクスに何度か言い放っていた、
「貴方の幸福はオルフェと一緒になることなのに」
 というような台詞が印象的で、ディスティニープランの本質をよく表していたと思う。
 このあたりは、観ていて一昔前のラブコメを思い出した。良家の生まれで、親が選んだ顔も学歴もいい相手と結婚するのがあなたの幸せなのよと詰め寄られているヒロイン。自分たちアコードを革新的な存在と謳いながら、前時代的と捨てられてきたステレオタイプの価値観に逆戻りしているのは皮肉が効いていて考えさせられる。しかもラクスだけではなく、幼少期からアコードとして育てられたはずのイングリットがすでにイレギュラーな存在になっていて、その時点でディスティニープラン自体が破綻していると思う。身内の遺伝子すら全然管理できてへんがな。
「僕はラクスの全てを愛してる」は使い古されたありきたりな台詞かもしれないが、アコードの価値観では(ミーアがそうだったように)たとえラクスでも世界の統治者としての「役割」から逸脱すれば切り捨てられるわけで、だからずっと変わらずに「ただの一人の女の子」として見てくれるキラからの「愛してる」は、ラクスにとって普通の好きとは重みがまるで違っただろうなと思う。

 旧式で最新鋭機2機の手練れ相手に小破程度しかしないキラはやっぱりバケモンよねと思った(ファーストガンダムでサザビーとIフィールド持ちのα・ジールの2機を相手にしてるようなもんだと考えるとえげつないハンディキャップ)けど、それ以上に終盤のラクス様がフリーダムすぎて、よくよく思い返すと彼女完全にキレてたなと思う。
 アウラたちの非道な行ないが許せないというのはもちろんあると思うけど、「私が愛するキラを貶めて亡き者にしようとしたことは絶対許しませんわ」的な雰囲気がバシバシ出ててなんかもうちょっとかなり怖い。小説だと地の文で静かにキレ散らかしててさらに凄かった。
 フッた相手にキラとのイチャラブ見せつけて入念に傷口へ塩を塗り込み、メンタルと機体を同時にフルボッコにするという斬新なスタイル。キラはキラで「ラクスの愛が武器だぁッ!」ってオープンチャンネルで高らかにイチャラブ宣言して煽り倒してたし、プラウドディフェンダーなくてもラクスに横へ座ってもらうだけでストフリ二式の隠し性能とか引き出して勝ってたんじゃなかろうか。
 人間なんてみんな、好きな人が近くで見てくれてるだけで普段の倍くらいの実力発揮しちゃう中学二年生なんだけど、そういう感覚が遺伝子とカタログスペックでしか価値を判断できない人間からすると全くわけのわからんロジックで、最後の最後まで理解不能とされてるのもいい。
 能力ではなく、打ちのめされ、立ち上がってきた経験のある人間の方が強い。そういう描写だって、たとえアニメであっても心にグッとくるものがあった。

 キラとラクスの立ち位置は、F91〜クロスボーン・バンガードのシーブックとセシリーに近い設定だなと感じた。貴族主義の呪縛から逃れ、ベラ・ロナの名も捨てたセシリーとシーブック(キンケドゥ)がパン屋を営む横で、アコードの最高傑作だとかスーパーコーディネイターだとかいう肩書きから解放されたラクスとキラもカフェか花屋あたりを開業しててほしいもんである。
 でも、スパロボ参戦の際にキラ・ラクスとクロスオーバーしてほしいのは、絶対「Gガンダム」のドモンとレイン。
「石破ラブラブ天驚拳」見て感化されたキラが、

「僕にも武器はある! ラクスの愛だ!」

 と叫び倒す展開がめちゃくちゃ見たい。
 ラクスのキラへの激アツな愛という点では、「劇場版ナデシコ」の最後に救出されたユリカさんとも会話の相性良さそうなので、早くスパロボ参戦してもっとキララクのイチャイチャ供給してくださいお願いします。

まとめ

 ラストの浜辺はロマンティクスしてたと思います。


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