吹奏楽のソロ
吹奏楽ではソロというのは特別な位置付けのもののようである。
響けユーフォニアムのアニメでも、主人公が同じユーフォの同級生との間でソロ争いをしている話があったくらいだ。
アニメではソロをオーディションで決めるとかいうので驚きだったが、リアルの吹奏楽部でもオーディションで決めるということもあるらしい。
学生時代はソロをしなかった
振り返ると、私は学生時代はソロをしたことがなかったなと思う。
そもそも私の昔々の学生時代は、ユーフォにソロがあるなんて曲はやらなかった。
ソロがあるのは、オーボエ、フルート、アルトサックス、クラリネットくらいなもので、ソロは全くの人ごとだった。
高校生のときに短いソロがある曲をしたが、上級生の先輩が演奏していた。
「ユーフォはソロがある楽器」という認識は学生時代にはなかった。
吹奏楽団ではソロが多かった
大人になって吹奏楽団に入ってからは、結構たくさんソロをさせてもらった。
定期演奏会の曲で、毎年1〜3曲はユーフォのソロがある曲が入っていた。
中にはオーボエ並みとも言える、伴奏なしのドソロも何曲か演奏した。
ユーフォってこんなにソロが多い楽器だったのかと思ったのは大人になってからだ。
目立たない、忘れられがちな脇役じゃないんかーい。
だれも演奏する人がいないため、やむなく私が演奏するしかなかった。
ソロのときに何を考える?
ソロを演奏するときに、仲間からアドバイスをもらった。
ソロが得意な人からは、「オレの演奏を聞け〜、っていう感じで吹く」「自分が気持ち良〜く吹けばいいんだから」という全く参考にならないアドバイスをもらった。
そんな風に演奏できたら苦労なんぞしない。
色々悩んだ末、「上手く演奏する」「上手いと褒めてもらえる演奏をする」と思うと上手くいかないのでその考えはやめる、とまずは決めた。
「失敗しない」という目標だと、失敗に着目してるので、これも良くないと思い、この考えもやめた。
最終的にたどりついたのは、「観客を無視する、いないものと思う」ということと、そこから発展して、「(唯一で最大の観客である)自分が納得する演奏をする」ということだった。
おそらく観客を意識するという外向きの感情ではなく、自分をみる内向きの感情にしようとしたのだ。
振り返ると、私はソロを大失敗したということはなかったけれど、自己採点60〜90点くらいの少し後悔混じりの演奏ばかりだったなと思う。
憂鬱な気持ち
曲の中でソロが近づいてくると、憂鬱な気持ちになってくる。
「よし、やるぞ!」ではなく、逃げられないから仕方なくやる、というマインド。
やる気が感じられないやつだ。
有名曲のソロを、他の人がやることになったとき、私もやりたかったなとちょっと思ったことがあった。
でも本番になって、そのソロが近づいてくると、「あぁソロやらなくて良かった」とほっとしていた。
こんなドキドキした状況に耐えられないー
と思いながら、その人がやってくれたソロを聴くのはなかなか良いご身分だった。
ソロ争い
中にはソロ争いで人間関係にヒビが入ることもあるようだ。
たかだか吹奏楽の曲のごく一部の旋律のために。
学生の場合は特に顕著なんだろうなと思う。
反対に、一般吹奏楽団ではソロをやりたくなくて、押し付け合っているところもあった。
上手い人がソロをした方が音楽的にはもちろん良いのだろう。
でも一般吹奏楽団だと、みんな同じ立場なのだから、上手い下手に関わらずソロをしたい人には平等にチャンスが与えられるのがいいのかなと思う。
一般吹奏楽団でさすがにソロ争い、みたいなのはないだろうが、「いつもあいつばかり美味しいソロをしやがって」的なことを思う人はいるに違いない。
鍛えられて良かった
私はソロ争いとはほぼ無縁で、ソロをたくさんさせていただいた。
最初の頃は、ソロについて本当に真剣に悩んだが、今はもうそんなこともない。
プレッシャーを感じることはあるが、観客無視のほぼ通常運転でソロができるようになった。
これは鍛えられて良かった。
本番で機会をたくさんいただいてありがたかったと思っている。