大学等の進学資金支援制度について子育て世帯の皆さんにお知らせしたいこと
人生の可能性を広げるお金の専門家
ファイナンシャルコーチの佐藤ななみです。
熊本日日新聞社発行の生活情報紙『くまにちすぱいす』で、お金に関する記事の執筆を担当して23年。ここでは、紙面でお答えした家計相談の中で、文字数の都合で説明しきれなかった用語やポイントについて触れていきます。
名付けて『はみ出し☆すぱいす』張り切って参りましょう♪
今回は、12月20日付(第757号)のご相談より、「大学進学資金の支援制度」について深掘りっ♪
※ご相談者様に了解をいただいて記事をご紹介しています。
1. 高等教育の修学支援新制度とは
早速ですが、あなたは「高等教育の修学支援新制度」をご存知でしょうか。
ここで言う高等教育とは大学・短大・高等専門学校・専門学校のこと。つまり高校卒業後に更に進学する人へ向けた制度です。
制度の前提として
☆ 一定の所得以下の世帯を対象としており
☆ 入学金や授業料の減免が受けられるほか
☆ 生活費の支援として返済不要の奨学金が給付される
ことになっています。
この制度は、
2020年4月に開始して以降、2回の制度改正が行われており
2024年4月からは、多子世帯および私立大学の理工農系学部の学生を対象に支援を拡充
2025年4月以降は、多子世帯向けの支援がさらに拡大
という流れをたどっています。
制度の内容と、拡充のポイントを順に押さえて行きましょう。
2. 2020年4月~制度開始
現行制度のベースとなる内容です。まずはココを理解しましょう。
対象者は、所得に応じてⅠからⅢまでの区分を設定、区分に応じた金額の支援を受けることができます。
≪第Ⅰ区分≫
住民税非課税世帯(年収目安~270万円)
支援額:標準額×100%
≪第Ⅱ区分≫
年収目安~300万円の世帯
支援額:標準額×3分の2
≪第Ⅲ区分≫
年収目安~380万円の世帯
支援額:標準額×3分の1
さて、標準額とは何ぞや?と思われた方もどうか慌てられず。
標準額は、以下の表の通りです。
もし≪第Ⅰ区分≫の世帯の学生が
国公立大学へ自宅から通学、4年間で卒業する場合は総額およそ383万円
私立大学へ4年間、自宅外通学する場合は総額およそ670万円
の支援が受けられることになりますね。かなり大きな支えとなるのではないでしょうか。
3. 2024年4月~拡充
以上に加えて、2024年4月以降は、多子世帯および私立大学の理工農系学部の学生を対象に支援が拡充されています。
具体的には、以下の通りです。
1.多子世帯の場合
☆ 扶養する子が3人以上いる世帯について、第1子から対象
☆ 対象世帯の年収目安は約600万円まで
☆ 給付額は、標準額の4分の1(入学金・授業料・給付型奨学金)
2.私立大学の理工農系学部の学生
☆ 対象世帯の年収の目安は約600万円まで
☆ 給付額は、私立大学文系学部の授業料との差額(授業料のみ)
4. 2025年4月からの拡充
多子世帯について、さらに支援が拡充されます
☆ 扶養する子が3人以上いる世帯について、第1子から対象
☆ 世帯の年収を問わず対象
☆ 給付額は、入学金上限26万円(1回)・授業料上限70万円(年額)
5. 注意点
上記で示した年収については、あくまで目安です。
正確には、市町村民税の所得割の課税標準額を基準に判定され、年収ラインは家族構成などにより異なります。該当するかどうか気になる方は、日本学生支援機構の「進学資金シミュレーター」で試算してみてください。
また、支援を受けるには、ご自身で申請を行う必要があります。学校からの案内に従って手続きされてくださいね。
6. 最後に
現在、大学に在籍中の学生さんのいる世帯、近く進学を控える高校生のいる世帯の方は、既に制度についての情報をお持ちの方も多いかもしれません。
さらに私がお届けしたいのは、もう少し小さなお子さんがおられるママさんパパさん。また、これからお子さんを望んでいる若い世代の皆様です。
将来の教育資金のこと、長期計画はもちろん必要ですが、こうした制度もあることを知って、どうか心配し過ぎないでいただきたいのです。
お金のことが不安なせいで出産や教育を諦める必要のない社会へ、夢をもって次世代を育成できる社会へ、今後もさらなる支援を期待したいものです。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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