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【資産運用】リバランスって何ですか?

人生の可能性を広げるお金の専門家
ファイナンシャルコーチの佐藤ななみです。
 
熊本日日新聞社発行の生活情報紙『くまにちすぱいす』で、お金に関する記事の執筆を担当して23年。ここでは、紙面でお答えした家計相談の中で、文字数の都合で説明しきれなかった用語やポイントについて触れていきます。
名付けて『はみ出し☆すぱいす』張り切って参りましょう♪
 
本日は、2月21日付(第765号)のご相談より
「リバランス」について深掘りっ♪

※ご相談者様に了解をいただいて記事をご紹介しています。
 
 
あらためまして、本日のお題はリバランス
金融資産をどのように管理・運用するか?方面のお話しとなります。

 

リバランスの「リ」は…

初めに、リバランスとはrebalanceと書きます。
分割すると「re」+「balance」
英語のreには「再び」の意味があり
🔹リユース(再利用)
🔹リサイクル(再資源化)
🔹リストラクチャリング(再構築)
と同じ使い方。
日本語に直すとリバランスは「再均衡」あたりになりましょうか。

アセットアロケーションとリスク・リターン

さて、資産運用の世界にはアセットアロケーションという概念があります。
アセットは「資産」、アロケーションは「配分」で、
アセットアロケーションは、まんま「資産配分」の意味です。
預金〇%、債券◇%、株式□%、不動産△%、その他▽%
といった具合に、資産クラスごとの配分を表します。
 
ここで…あらゆる金融資産には異なる性質のリスクがあります。
金融の世界でリスクと言えば「値動きの幅」を指していますが
🔻価格変動幅が小さいとリスクが小さい代わりにリターンも小さい
🔻価格変動幅が大きくなるほどリスクが拡大する代わりにリターンも大きく
という関係性に。
俗に「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」と言われる通りです。
 
ちなみに、資産クラスによるリスク・リターンは
預金 ⇒ 債券 ⇒ 株式
と大きくなっていく性質があるとお考えください。
 
ここまで、OK?
こうした前提を踏まえて・・・

資産の分散と時間の流れ

金融資産を運用・管理するとき、資金の利用使途によって、また人それぞれの性格によっても、どれだけのリスクを取れるか?の度合い(=リスク許容度)は異なります。
そうしたことから、資金の置き場所は、リスク許容度に合わせた配分で分散しておくことで最適化できると考えられています。
 
しかしながら、最適な配分を行って運用をスタートしたとしても、各資産間でリスク・リターンが異なる性質上、時間の経過とともに最初に決めた割合からズレが生じてきます。
 
例えば、お持ちの金融資産800万円を
預金、債券、国内株式、海外株式を25%ずつ均等の割合で持つと決めたとしましょう。(数字はあくまで例えです)
この場合、各200万円ずつ配分することになりますね。
 
そして1年後・・・仮に
預金0.5% / 債券1% / 国内株式10% / 海外株式20%
のリターンを得られたとすると
 
資金の残高は、以下の通りとなります。
預金201万円 / 債券202万円 / 国内株式220万円 / 海外株式240万円
合計863万円
(話をシンプルにするために税については考えないものとします)
 
以上を割合に直すと
預金23.3% / 債券23.4% / 国内株式25.5% / 海外株式27.8%
と元の「オール25%」のバランスが崩れていることがわかります。
 
次の年、さらに次の年・・・
と、放っておくと初めに設定した資産配分からズレが拡大していくことは感覚的にイメージしていただけるでしょうか。
 
全体的に運用がプラスで推移する局面では、よりリターンが大きい資産の割合が膨らむことになります。それでも、常に運用が右肩上がりであるならば、バランスが変わることを気にする必要はないとも言えるのですが・・・

 

下げに備える重要性

しかしながら、相場は常に上下するもので、過去にいくつも事例があるように暴落と言われる現象も時々起こります。
こうした場面では、ハイリターン(=ハイリスク)の資産が多ければ多いほど目減りする金額は大きいもので
 
例えば、お持ちの資産が20%の減少に見舞われたとして
10万円を持っていた人にとっては2万円の損失ということになりますが
1000万円を持っていた人にとっては200万円の損失が生じることになり
後者の方が、心理的な負担もより大きいことが容易に想像できますね。
 
もちろん、相場が回復すれば残高も回復するものですから、焦って売って損失を確定させることは避けたいところではありますが
例えば上記のように20%の下げに見舞われたとして、その後、20%回復したとしても資産は元の金額まで戻らないってことにはお気付きでしょうか。
 
どういうことか?
1000万円持っていて20%減少
⇒ 1000万円×20%=200万円 の減少で資産は800万円に
 
その後、相場が20%回復
⇒ 800万円×20%=160万円 の増加で資産は960万円に
 
ね。
ではこの場合、相場が何%回復したら元の残高に戻ってくれるか?
取り戻したい200万円を現在高の800万円で割ることで求められます。
⇒ 200万円÷800万円=25%
 
20%の下落から元の残高に戻すには、25%の回復が必要ということ!
という訳で、資産運用には、「殖やす」という視点と「減らさない」という視点の両方が必要ということがわかります。

で、リバランスとは?

何のお話しだったのか忘れちゃいそうですが・・・
はい。リバランスでしたね。
 
リバランスとは、一定期間ごとに、最初に決めた資産配分より割合が大きくなった部分を売却して、その資金で割合が小さくなった資産を購入、全体的な配分を元に戻すという手法です。
こうすることで、資産全体のバランスにおいてリスクを取り過ぎず、暴落に備えながら安定的な運用を目指すことが可能になります。
 
割合が大きくなった資産は、値上がりしているということであり、逆に、割合が縮小した資産は割安であると言えます。売り買いのタイミングを読むのが難しい相場にあって、リバランスは、初めに決めたルールに従うことで「安く買って高く売る」を部分的に実現できる方法であるとも言えそうですね。 

最後に

リバランスも資産運用の手法のうちの一つの選択肢です。そして、投資・資産運用において何を重視するかは人それぞれで絶対はありません。実行の際は十分な情報収集のもと自己責任において判断をお願いします。


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