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読了記録/夜明けのすべてー瀬尾まいこ

「PMS(月経前症候群)で感情を抑えられない美紗。パニック障害になり生きがいも気力も失った山添。友達でも恋人でもないけど、同志のような気持ちが芽生えた二人は、自分にできることは少なくとも、相手のことは助けられるかもしれないと思うようになりーー。人生は苦しいけど、救いだってある。生きるのが少し楽になる、心に優しい物語。」(背表紙引用)


心に優しい物語ブームなので読んでみました。
小気味の良いやりとりに声を出して笑うこともあれば、涙がこみ上げるものもあって。
終盤に差し掛かるにつれ、ポロポロと泣きながら読み進めました。所謂、良い読書体験というやつですね。
「生理」に感情を振り回されたり、精神的に参ってしまう経験をお持ちであるとすると、共感度というか解像度が高いお話だと思います。


本文の引用と覚書。

パニックにPMSに鬱。自分の体や気持ちなのに、自分ではどうしようもないできないことが多すぎる。

誰かの負担を和らげるのは、強引に髪を切ったり、勝手に告白(*アウティングのほう)したりすることなんかじゃない。(水虫で悩む人の)靴に炭をしのばせる。そういうことが、苦しさを軽減させてくれるのかもしれない。

仕事というしばりがなければ、朝起きることも外に出ることもなくなってしまう。そうなったら、自分がどうなってしまうのか。想像すると怖くなる。

働くことで、漠然と目の前にある大量の時間に、少しは意味を持たせられる気がする。


仕事という"縛り"が生活の規律になるというのは、「ああ、わかる。」と思いました。
仕事を覚える楽しさも、自分ができることが増えて生まれるやりがいも、仕事から享受できる幸福感というかアドレナリン的なものは、それはそれで人生の楽しみの一つではあるんだろうけど。それはなんと言うか、働く意味の”しゃきっとしてる”部分であって。
そうじゃなくて、1日1日を積み上げるために労働って不可欠なんだよなあと思っています。私にとっては、その点の共感度が高かったです。

何のために働くのか、仕事に何を求めるのか、仕事とプライベートの両立だとか。禅問答的に話がなされるお題な気がしますが、人それぞれが自分に合った答えというか認識を見つけられると良いですよね。正解なんてなくて、各々が自分の人生を歩まざるおえないわけですから。

別に深く考える必要すらないのかもしれないけれど。


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