51つ目のあじ(北海道塩キャラメル) "赤と黒"が交差する夕刻に、その味は復活した。(前編)
「唐揚げに合うソースってどんな味?」
この連載やる上での大前提のテーマ。
多くの人が「辛さ」とか「酸味」と言った方向性に舵を取るだろうし、俺も普段はそう思ってる。
そんな今回は「甘じょっぱさ」。
甘辛ではなく、「甘み」と「塩気」だ。
ピロザンギ団に走った衝撃
この連載にも度々登場する北海道コンサドーレ札幌のホームゲームの話。
9月は札幌ドームでのリーグ戦が3回。
その3回全てにピロザンギカーが出店する予定だった。
以前に書いた通り、9月最初の試合ではかつての味を復活させ「シン・燃えよオニオン」として販売し好評を得たのであった。
続く9月16日の湘南戦にも出店する予定が出ていた。
試合数日前、コンサドーレ公式サイトにてテラスに出店するキッチンカーの一覧が公開された。
見た瞬間震えた。
キッチンカーのリストの中に、ザンギで有名な老舗「吉川(店舗名は仮名とします)」の名が。
公式の方でも「吉川初出店!」を大々的にアピールしていた。
そりゃもう俺個人としては心が震える話だ。
老舗であり、アウェーサポーターが札幌に来た際の選択肢に必ず入ってるほどのお店なんだし。
その反面で過ったことが。
「これ、ピロザンギカーにとってはピンチなのでは・・・?」
そう思った数分後。
「いや、そうじゃない。むしろ食べ比べてもらえるチャンスじゃないか。決して負けてはいないんだし。」
と思いつつリストにあったピロザンギカーのところを見直す。
「・・・ピロザンギコンサ限定味?」
ここで俺は察した。
もう9月だと言うのに「コンサ限定味」という今までしたことがない表現をしている。
もしや、これは昨年から出してるのと別の味を準備してるのでは・・・?
一方、新札幌にあるピロザンギ団のアジトでは、入念な会議と開発が行われていた。
湘南戦の時期は3連休と言うこともあり、別のイベントの準備もしていたそうな。
キャプテン「ばっく。」
おーるばっく『呼びましたか?』
「3連休に向けた準備は出来ているか?」
『イベントの方のメニューは出来ました。ただ問題はドームですね。あの吉川が出店するそうなので。』
「ばっく、何をうろたえている!ピロザンギ団の一員ならその程度のこと恐れるな!」
(殴る音)
『ぐはぁっ・・・し、しかし初出店のインパクトは強いですよ。』
「・・・確かに、正攻法では難しい。ならば、我々は外道に落ちようじゃないか。いや、既に我々は外道だったな。ハッハッハ、ワーッハッハッハ!!!!」
『・・・?』
「まだわからんか貴様は!・・・こう言うときは・・・これを使えば良いじゃないか。」
『そ、その味はまさか!?』
(殴る音)
※会話内容はフィクションです
界隈に走った衝撃
湘南戦前日の夜。
ピロザンギ団からの声明が出された。
この時点で把握できたこと。
・スタジアム限定フレーバーであること。
・過去にスタジアム限定では辛い味しか出してなかったため、今までと違う味が出てくること。
・何かしらへの対策をしてたんだな。
それでも、今まで追求してた辛い味ではなく別の方向にシフト。
この時点では俺もまだ酸味か和風系の味を想定していた。
その数時間後、界隈に衝撃が走る情報が出た。
「し、塩キャラメルぅ!?」
スゴい方向に行ったなと。
「なるほど、吉川対策だな。」
そう思いつつ、他の人の反応を見る。
過去にあった的な話が見えたので、大急ぎで情報収集を始めた。
確かにあった。
2年ほど前「塩キャラメル味」というフレーバーが限定販売されていた。
ただ今回は「北海道」が頭についている。
多少のアップデートはしてるのかもしれない。
まあ細かいことは良い、明日の夕方を待とう。
そう思い布団に入り、翌日を迎えるのであった。(続く)