悪徳マルチ商法に挑んだ親子の話⑤
ある朝、娘が
〇〇さんがママに会いたいって言ってるんだけどさー。今度いつ休み？(〇〇とは娘が友達の誘いに乗って行った時にその場にいた人。上層部の人って事ね)
会いたいの？私に？なんでよ？
この仕事を親にも理解して欲しいと思ってるので、私の母親に会ってもらえないか？って話したら
貴女のお母さんってどんな人なの？って聞かれたの。
ええ。冷や汗が出ますけど
で？なんと？
ジャニヲタでそしてYouTubeのレペゼン地球を見て喜んでる人。って話したんだけどさ。
間違ってない。けど
なんなの？その説明。
そしたら？
なんか楽しそうなお母さんだね。お母さんならこの仕事理解してくれそうだね。
って。
親に相談したい。と言ったら偏見あるからやめといた方がいいよ。って言っておいて、お金払った後になって
親に理解して貰うために会いましょう。って
後出しジャンケンみたいじゃね？
なんだか気にくわん。更にムカつくけど、私も興味がある。どんな人達なのか？この声は心の内に留めておこう。
色々突っ込みどころは満載だけど、それは横に置いておく。向こうが会いたい。と言うなら
断る理由は全くないので日にち決めようよ。
幾つか日程を上げて，後ほど連絡が来ることになった。
ええ。ですよ。奥さん！
なんでしょうかね？理解してくれそうだから
って。どんな心境で来るんですかね？
このビジネスは親と面と向かって説明出来るくらい安心なんだよ。と娘に更に植え付けさせる作戦なんでしょうか？
想定外の事が起こりましたよ。
こんな時は、消費者センターへ
相談員のお名前も覚え、こちらの名前も覚えて頂き、話がスムーズと流れます。
有難い事に。
家に来る事になったんです。会いたいって事らしく、ちゃんと話をしてわかって貰いたい。って事らしいんですけど。
これってなんの思惑なんでしょうか？
えっーー。そんな事があるんですね？
初めてです。そんな事例！！
で、いつ来るんですか？
まだわかりませんけど、早くて3日後かと思うんです。
なんでいらっしゃるのか？よくわかりませんが
大丈夫ですか？お母さん。
親子でマルチ。な事になったら笑って下さい。←なんだか楽しそうな語呂だな。おい
上手く丸め込まれない様にして下さいね。
まぁ。お母さんなら大丈夫そうですけど
笑笑
で、その後もよかったら電話下さい。笑笑
もしや？相談員さん？ワクワクしてらっしゃる？←心の声
はいはい。連絡します。報告します
でわ，無事を祈ってますね。頑張ってください
つって。なんか楽しそうになってきたけど？
まさかの展開。
で、どー対応するか？なんだけど
向こうは百戦錬磨で言葉が巧みなお方な訳で、論破するぞ。なんて事は出来るはずもなく。
そもそも、やりたくもない。
だって全く法律の知識もないんだもの。
私は、自分が思っている素朴な疑問を投げかけて見たいと思う。
この会社が何故に裁判沙汰になってるのか？って所なんだけど
一体何が問題なのか？
適合性の原則。と言う法律があるんですって
かいつまんで言うと
その商品に関係する知識や経験の不足につけ込み勧誘をし、財産の状況により照らし合わせて不相応又は 不要な支出を強いる契約。
返済困難な借金をさせる。などが上げられる。
要は，知識も経験もお金もないのに勧誘し，消費者金融に同行して借りさせその場で回収する。そのやり口ががアウトらしいのです。
これまさに娘と重なるわけですね。
裁判をおこされてる事に対して会社はどー思ってるのか？
この事をどう対処するのか？
違法じゃ無ければ何やってもいいわけ無いと思うけど、違法じゃ無ければ良いもんなのだろか？
まぁ。聞きたい事はたくさんあって
紙に書き出してみる。そして向こうの了承を得て録音しておこうとも思った。
旦那はこの話を聞いて、戦闘態勢に入った
もー。ウズウズするらしい
論破する気満々である。それは旦那の思いなんだろうから好きなように。と思う。
日程が決まった。
両親揃って出迎えるから。と話した様だ。
ここから突破口が見えるのか？
はたまた、更にもっと娘は信用してその会社に止まると決めるのか？
瀬戸際だな。
予定の時間の5分前に到着したその上層部。
高級車で乗り付け降りてきた。成功者を全面に押し出した絵に描いたような風貌である。
黒のスーツに、ハイブランドのバック
いい香りを漂わせて彼はやってきた。
今日はお時間を作って頂きありがとうございます。と名刺を渡され
名前はなんと読むの？
これって芸名なの？と思わせるなんともキラキラした名前の青年。
いえ、本名です。
へーーー。と、どーでもいいけど。
そこから話が始まった。我が社の説明をさせて下さい。とノートとペンを取り出して
説明が始まる。
んだけど，結局何がなんだかわからない。
法律を上手くすり抜けてる感じがして、複雑な上に全く理解出来ない。
我が社は法律にのっとって違法な事は一切しておりません。と何度も話してた。
私の素朴な疑問をぶつけてみましたら
ええ。そうですね。ごもっともですね。
と、のらりくらりとかわされる。
この時点で録音する事は一切忘れている。
笑笑 あー。私の詰めの甘さよ。
てかさ。やり方がズルイよね？って思います
お金がない。って話からなんですぐさま消費者金融で、って話になるの？
それは娘さんが自分で決めたものであって強制したわけではないです。
そんなのはわかってるけど、お金を借りる方法は他にもあるでしょ？
ええ。そうですね。
しかし、そんな高額を消費者金融に借りてまでやりたい。と思ったって事はさ
このビジネスはい儲かる。と話したからですよね？
いいえ。そんな話ではなく、必ず儲かるわけではない、損もする事もある。と話しています
だからさー。それにこの金額を投資しようと思うはずがないと思うんですけど？
だってね。リスクしかないのに
そんな高額を払うとは思えないんだけどさ？
しかも、投資って借金してやるもんなの？
ええ。そうですね。
えっ？そーですね？ なんだよ。そーですね？って、さっきから、笑っていいともの観客かよっ！
この契約者みるとさ
JRA 競馬ソフト。と書いてあるでしょ？
これは公認って事なの？
えっと。それは、、、。
この先は私の心の声
おっ？言葉に詰まったわね？
今まで流暢に話してたのに、明らかに顔が焦ってる。
娘も、青年の顔を凝視して見てるぞ？
これは、チャーーーーーンス！
JRA のサイトに注意喚起されてるよね？
当方と一切関係ないって。
公認って事ではなくって。
公認じゃないならJRA と載せてはダメなのでは？
それがズルイって話よね？
いや、これは社長に確認して改めてお応えさせて下さい。
えっ？なんであなたが把握してないのよ。
あっ、えっ、私もしっかりとお応え出来ないないし、不確かな事を言えませんので。
ふーーーん。テーブルの下でガッツポーズ
改めなくって良いです。
が、それも束の間だった。ここから更に衝撃的な事実が発覚する。
で、娘は一体何にお金を払ったの？
FXですね。
えっと、それの権利を77万円で買ったのよね？
これって投資でしょ？
投資するにはそのお金も必要よね？
その権利を買うのにも借金したのに、投資するお金がないのにどーやってするのよ？
心拍数が上がってくる。
ええ。なので娘さんは百万円借りてると思います。差額引いた分で投資に当てるって感じですね。
だよね？と娘に話を振って、うんうん。と頷く娘。
だよね？だよね？だーよーねー？
息を吸うのを一瞬忘れた。
思考が追いつかない。
ひゃ、ひゃ、百万円？
殴りかかりたい衝動を必死に抑える。
誰か、私を羽交い締めにしてくれ。
落ち着け、落ち着け。
いや、無理だ。ブチ切れの5秒前まで来てる。
マジで恋する5秒前って歌があったな。
あれ誰だっけ？
広末涼子だよね。あぁーーー。そうそう。
人はパニックになると意味のわからないお喋りが脳内で始まるのだとこの時初めてわかった。
いったんCM行きまーす。
続く。