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あの頃私に羽根なんて無かった。きっと堕天使だった。

渋谷の街にひとり、空を見上げていた。

ちらりちらり、視線を感じていた。
エスカレータの後ろから、3万でどう?と
サラリーマンがニヤニヤしながら囁いてきた。

思い切り睨んで
ふざけんな!とどなり
109のトイレに逃げ込んだ。

鏡に映る自分の顔を見つめる。
震える手、
茶色に染めた髪、
大人ってずるいと思っていた。

短い制服のスカート、
ルーズソックス、
プリクラ。

そんな時代だった。

今思えば女子高生がもてはやされる時代の先駆けで
何もかもが味方で敵だった。


弱くて精一杯、強がった。

出来る、と言っては出来無いことを知り
否定ばかりされた10代だった。

皆ができる事が私には出来ない。

そこに気が付いて
自分の小ささに常にバツをつけてきた。


色んな人を見た。
色んな場に行った。
色んなことを知った。

あの頃。

時代のうねり。
何かが変わろうとする、あのエネルギーを。

私は感じて生きてきた。

iモードから始まるSNSのはしりを、
ワードプロセッサーからパソコンへ移るその様を
カセットテープからCDになり
どんどん変化する街並みを

この目で見てきた。

でも親に恥じるような
人には言えないようなことは
してこなかった。

この人生でピアスも開けず
たばこ一本だって吸ったことない。

酔って記憶が無くなったこともないし
ケンカもマッポの(台本にあったセリフ笑)
世話になったこともない

なにげに優等生な私です。

小さな足で都会を歩き
大人ってズルいと
いつも思って生きてきて

大人になった今でもやっぱり
大人ってズルい、と思うんです。

だって、
子供より大人のが何百倍も楽しい。

仕事も楽しいし
お財布にあるお金で
どこにだって行ける。

そして自分のキャパを超えるような出来事が
起きたり、
ちょっとそれキツイよね、ってことも
ダイレクトに自分の責任になるけれど。

でもね、楽しい。

大人って楽しいです。

あの頃堕天使だった私に伝えてあげたい。

大丈夫だよ、って。
世界中が敵に見えても
いつしか時代が変わって
周りも落ち着いて

みんな変わんないって言ったじゃん。
なんて唇尖らせて言ってたあの女の子に、
大丈夫だよ、って。

ある意味、あの頃から
私の心は変わってない気がする。

結婚して子供もいて
【大人】として生きてるけど。

心のどこかではあの渋谷の街で空を見上げて
ひとりぼっちを感じてる
小さな小さな女の子のままなのかもしれない。

変に正義感が強くて嘘が下手で
男性がニガテで…

強がって平気なふりして
傷付いても耳に水海作るくらい泣いて目が腫れても

頑張ってた私の、
むき出しの心のまま。

我が、ままに。

たくさんの出会いや別れ、
そしてバケツ何杯ぶんかの嘘をついて

本当の自分がわからなくもなったりしたけど。

今は、元気です。

大丈夫。
きっと、大丈夫。

あえて哀しいことに焦点をあてて
わかってくれないと嘆くクセもだいぶ無くなったし
めんどくさい感情もとっくに無くして
懲り懲りだと呟いて決めたあの日の想いに蓋をして

あとは歩んで行くだけだから。

たまにその宝物のような思い出たちを取り出して
眺めてセンチになるけど
何も心に影のない人はいないから。

通り抜けてきたひとたち。

わだかまりを残したまま過ぎ逝くひとたち。

疑問を投げかけ不思議そうに横をすれ違うひとたち。


そうした思念から開放され解き放たれ
少しずつ重りをおろし
軽やかな自分になれたら

柔らかな素の自分に逢えた。


こうして紡いだ言葉はきっと
揺らいだ心の叫び。

だって、もでもも、いらないくらい
受け入れてもらえるひとたちがいることに感謝。

だけど本当に受け入れて欲しい人は
別だったりもするんだけどね。

つらつらと長く書くことはできるけど
まとまりが無くなるから割愛。

頭の整理、デトックス。
言葉遊びも嫌いじゃないから

こうして文章だけで表現する場を遺しておくのは良いのかもしれない。

気にしてるからこそ気付く想いもある。
気付きたくなかったのに笑

教訓。



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國木あさみ
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