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歳をとったら
歳をとると涙もろくなるのはなぜだろう。
若い頃は 鍵の付いた扉だった出入り口が、今は出入り自由なカーテンくらいにはなった気がする。
子供が可愛い。動物が可愛い。
レジのお姉さんが可愛い。
苦手だった人までが、苦笑気味だけどたまに可愛い。
みんな偉いな。凄いな。グッときちゃう。
で涙がポロポロこぼれ溢れて泣けてくる。
嬉しくて泣けるのと 可愛くて泣けるのって似てる気がするけど、そこはずいぶん違う。
嬉しくて泣くのには何か嬉しい理由がある。
でも可愛いだけで泣けちゃうのに理由なんかない。
それは優しさとか博愛じゃなく、昔はほんのちょっとしか許せなかったものが、長く生きてきた中でそれよりも少し多めに許せるようになったため。
他者を許すと言うとなんだか偉そうだけど、それも罪を赦すとか何かを許すのじゃなくて、異なる相手を許容するって感じかも。
長く忙しい毎日を、ろくに振り返りもせずにただ生きてきて身体は古くなったけど、それに反して心は豊かになっていく、そして沢山たくさん許せるようになる。
そんな年寄りに私はなりたい。
…すでに年寄りだけど。
だめじゃん。