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企業分析【コロプラ】

『白猫プロジェクト』や最近では『ドラクエウォーク』で有名なコロプラの企業分析を行います。

企業分析について初学者の方は、聞きなれない専門用語も出てきますので下記説明書noteも併せて読んでいただくと理解が深まります。

さて、早速見ていきましょう!!!

収益性

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診断シートを見ての通り、なかなかの勾配で業績が落ちています。この会社はスマホゲームの全盛期の後半2016年がピークで、そこから目ぼしいタイトルにも恵まれず、どんどんと業績を落としています。後ろの方で説明はしますが、ここ最近の四半期業績では若干回復しています。これはドラクエウォークのおかげです。

安全性

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さて、一方で財務状況はどうでしょうか?スマホゲームのバブル期の蓄えがありかなり健全です。現金も豊富にあるので、すぐすぐ会社がどうにかなるものではありません。自己資本比率も非常に高く他人に頼っていないのでこの分もプラス面ですね。しかし、やはり問題は収益性。安全余裕率もそこまで高くありません。このままではいつ赤字に転落するかわかりません。

内訳を見ていこうと財務諸表に目を通しましたが、特別何かにお金を使っているわけでもなく内部留保で蓄えてるスタイルです。
B/Sの左側の現金以外の部分、流動資産(他)は売掛金が主で、固定資産(他)は有価証券が主でした。P/Lの方は経費の半分近くがプラットフォーム使用料で次に業務委託費です。アプリはあくまでもソフト提供なので、そのソフトを展開できるApp StoreやGoogle Playなどのプラットフォーム利用料が必要なんですね。しかし、その割合が多い。がっつり取られるんですね。売り上げの30%も。(下記コロプラ本体の原価明細抜粋)

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さて、販管費の方はというと、1/3が広告宣伝費、1/3が研究開発費となっていました。やはりこういった業界は新作ゲームをいかに多くの人の目にとめてプレイしてもらうかなので広告宣伝費はかなり割合多いですね。研究開発費が広告費並みというのは意外でした。そこそこ開発にも力を入れているようです。

将来性

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将来性を見ていきましょう。業績が落ちているのであまり生産性は高くないですね。しかし、先ほども言った通り研究開発費への投資は積極的で、売り上げの9%もそれに充てています。これだけ業績が下がり基調だとさずがに危機感が出て、次の事業の柱への投資に積極的なんでしょうか。VR×ゲームへの投資も個人的にはいい判断をしているのではないかと思います。とはいえ、まだ芽が出ているわけではないのでこれからの動向を注視したいと思います。
CFに関しては、前年度の法人税が効いているようで今年度の営業CFはほとんど無いです。しかし配当や投資有価証券の購入は、単発の営業CFに左右されず気にせずに行っているようです。

企業価値

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株価の数値は、決算月末日での数値を用いているため2019.9のPERなど各指標はスポット的に異常値を出しています。株価推移の方をご覧ください。2019/09/30で急激に株価が上がっていますね。何故ここまで急上昇したのでしょうか?当時の記事が出ていたのでわかりました。ドラクエウォークの配信です。このようにスマホゲーム業界はヒットしそうな商品に対しては市場の反応はすこぶる良いようです。実際ヒット作品となり、ここ最近の業績はドラクエウォークのおかげで改善しています。

今では株価は戻りPERも2017,2018年の値に戻っているので2019.9時点のPERの異常数値はあまり気にする必要はないですね。大事なのは、何故反応が良かったのかということを押さえることです。これを積み重ねることで業界の株の値動きについて強くなっていくでしょう。ちなみに、2019.9はドラクエウォークリリース直後なのでまだ業績は悪く、一方で配当は維持しているので配当性向は上がっています。

総合判定は下記の通りです。内部留保の使い道がカギですね。
次に今後このお金を何に使っていくのか?決算報告書から読み解いていきます。

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決算報告書を読む

さて、有価証券報告書から企業の財務状況がわかったところで、今度は決算報告書からこの会社の今後の取り組みについて読み解いていきます。

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まずは、各タイトルの売り上げ比率のグラフです。
全盛期の2016年には白猫PJの比率が大きく、このタイトルが売り上げに大きく貢献していたことがわかります。しかし、現在では白猫PJの売り上げは大きく落ち込んでいます。ドラクエウォークが出るまではそれに代わるヒット商品は生まれずかなり厳しい状況でした。そして現在、ドラクエウォークにより売り上げを持ち直したことがよくわかります。正直これがヒットしていなかったら相当やばかったですね。しかし、スマホゲーム市場自体が衰退していますので、ドラクエウォークも昔のヒット商品ほど寿命は長くありません。すでに四半期経過後の20年2Q時点でドラクエウォークの売り上げは減少トレンドです。コロプラの厳しい戦いはなお続きます。

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という、スマホゲーム市場の厳しい見方もあり、コロプラはスマホゲーム以外にも力を入れているようです。報告書を読み込んでいくと、特に最近M&AしたMAGESに期待しているということがわかってきました。

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ドラクエウォークなどの他者IPに頼らない独自のIPの創出と、ゲームアプリ自体に頼らないエンタメの多様化を次の軸にしたいようですね。MAGESはその中心といったところでしょうか。しかし、コロナでイベント関係が軒並み中止ということで、ゲームからリアルのエンタメビジネスはここ数年は拡げることは難しくなるでしょう。オリジナルIP ⇒ アニメ・ゲームからバズる ⇒ 実写版でリアルへ落とし込み。というスキームが崩れてしまうわけですね。

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では、そのコロナへの対策はどう考えているのでしょうか?これを読む限り、コロナへ対しての打ち手は特にないといった様子です。静観しじっと耐える選択をするようです。(多くの企業がそうですけどね)

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報告書の最後には、ライブエンターテイメントPJをリリースとあります。ライブと言えばリアルですが、コロナで制限掛かっているなか、この社長直轄のプロジェクトをどのようにリモートで展開していくのか見ものです。

ちなみに、有価証券報告書の中には社長の馬場さんがコロプラの次に進むべき道として、3つのポートフォリオを謳っています。

① コンテンツポートフォリオ戦略
ゲームのみで終わらせるのではなく、他のエンターテイメントに分岐して多様化する。リーチできるユーザーを多様化してリスク分散するというもの。ゲームの中身も若年層だけでなく中高年にもリーチできるスポーツゲームに展開したり、コンテンツも多様化しポートフォリオを分散する。

② 地域ポートフォリオ戦略
エンタメの「面白い」尺度は地域の所得水準、価値観により変化する。その地域に合わせた「面白い」を提供していく、グローカルな考え方。

③ デバイスポートフォリオ戦略
新しいプラットフォームやデバイスをいち早く取り入れて新規のユーザーを先駆けて取り込む戦略。コロプラは特にVR開発に力を入れている。

王道のポートフォリオ戦略ですね。個人的には③を特化して世の中にまだないサービスを生み出して欲しいですね。

自分がCMOならどうするか?

最後に、ここまで読んでみて自分ならどうするかを考えていきます。

✅ 西野亮廣エンタメ研究所の活動を支援
未来のエンターテイメントといえばキングコングの西野亮廣さんです。300年続くエンターテイメントを実現しようと日々試行錯誤のTryをせっせとやっています。この人の背中を追えば少なくとも100年続くエンターテイメントは見えてくると思います。

西野さんの描くストーリーにコロプラの描くストーリーが合致することがあれば、そこは急成長すると思います。コロプラは「エンターテイメントで日常をより楽しく、より素晴らしく」を掲げています。西野さんは「エンターテイメントで世界を救う」としています。これからの時代はどちらかというと西野さんの社会にどう貢献するのか?の方が重要です。投資家もそこにお金を出すようになってきています。ですので、もともと恵まれている人の人生をより素晴らしいものにするエンターテイメントではなく、社会的に課題となっていることや困っている人たちの問題を解決するエンターテイメントがこれからは求められます。

西野さんは時代を創る側の人間です。未来の予測者ではなく創造者の側です。エンターテイメントで生きていくならエンターテイメントの未来を創る彼の動向は追ってきましょう。

✅ シナジーマップを描く
西野さんの活動を支援することでコロプラにはどのような恩恵が出るのかを考えます。西野さんのエンターテイメントで世界を救う活動に積極的に関わり、本当に困っていることがあれば例えば1000万円でもコロプラから支援します。また、コロプラの幹部候補の社員を株式会社NISHINOへ出向させます。とにかくコロプラのリソースを惜しみなくつぎ込んで協力をします。

コロプラにはこれによりどのような恩恵があるのでしょうか?コロプラ側へ戻ってくるシナジーの矢印は「西野亮廣のブランド」です。西野亮廣の創るエコシステムの枠にうまく収まることが出来ればそれで十分です。しかし、もちろんこれには彼の良しとするものをコロプラが提供できなければなりません。悪いものはたとえ企業からお金が出ていても彼は利用しません。彼が面白いと思うことに彼のリソースを使うので。そこがwin-winになるようなものをコロプラ側が見つけなければなりません。だから出向なんです。これは近くで一緒に仕事をしていけばたぶんおのずと何かしら出てきます。また、西野さんは「人で選ぶ」とも言っていたので出向させる人は、仕事が出来なくても人間味のある方がいいです。決めた相手と紡がれる歴史を大事にしてくれるので。

✅ コロプラは何を提供できるのか?
コロプラは彼に何を提供出来るのか?もうだいたい見えていて、コロプラは最新のテクノロジーをエンターテイメントに落とし込む仕事をひたすら尖ってやっていったらいいと思います。

西野さんは新しいテクノロジーは時代の変化で古くなるので使いたがりませんが、そうはいってもその時代その時代での広告のためには最新のテクノロジーは必要です。彼が手掛けているエンタメ創りの根本はどの時代でも古くならないように設計してますが、枝分かれしたものは最新のテクノロジーを使います。今でいうと何でしょうか?そうVRです。コロプラにはVRの提供が出来ます。しかし、ありきたりなVRゲームではいけません。そこには他には無い「面白い」がないと利用してくれません。その「面白い」とはなんでしょうか?

その面白いとは「映画を見ることが出来ない人たちに、VRによる映画上映を行う」です。映画館の魅力ってなんでしょうか?家のテレビとの違いは何でしょうか?それは臨場感です。ではVRの魅力ってなんでしょうか?そう臨場感です。VRを使うと映画館に行かなくても臨場感を味わえるようになります。そして徹底的にこだわって映画館以上のエンターテイメントをVRの中に創り出す。これにより映画というエンターテイメントを楽しめなかった多くの人たちが救われます。これこそまさに「エンターテイメントで世界を救う」やり方です。コロプラはVRでゲームにこだわるのではなく、VRで映画の未来を変える方向に舵を切ったほうがいいと思います。映画館を超えなければ意味がないので、体験する映画館とでもいいましょうか?映画館では味わえない5感(色・におい・音・味・触)を刺激するものに仕上げる必要があります。VRで映画体験はニューノーマル時代にもベストマッチした方法です。

おわりに

コロプラがほかのアプリゲーム会社と違うのは、他のエンターテイメントに積極投資しているということです。ゲームだけにこだわっていないんです。彼らがいた領域とは違う外に新しい柱を作ろうとしている感じが、決算書を読み解くことで伝わってきました。ですので、西野亮廣さんと関係を築くことを提案しています。

また、エンターテイメントにはいろいろな形がありますが、いずれも根底には人を楽しませるがあります。人を楽しませるというのは国境を越えて全人類共通のものです。新しいことを積極的に取り入れ、グローカルに世界をエンタメで満たすというようなコロプラのイメージも西野亮廣さんと合致しました。

私は製造業で畑違いですが、エンターテイメントを生業とする人たちを尊敬しています。人間の本質は社会貢献で人に尽くすことにあると思います。決して経済活動だけが人生の根幹ではありません。エンターテイメントを提供するという仕事は、多くの人の人生を心から幸せにする素晴らしい仕事です。コロプラさん、これからも多くの人の人生を心から豊かにするエンターテイメントの創出を頑張ってください!応援しています。


※※※注意事項※※※
HAPPO独自の企業分析ですので、この記事の著作権は「©HAPPOリーマン@企業分析家」に属しております。まるパクリはしないでくださいね。引用などで私の記事を拡散してくれる分は応援します。一緒に企業分析出来る人口を増やしましょう!(^^)!

また、個別銘柄として投資をされる方におかれましては自己責任でお願いいたします。企業のIR情報を元に作成はしておりますが、情報が誤っている・情報が古くなる可能性がございます。本記事を参考にした投資を行う場合は、それによって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。


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