oktober / 10月
デンマークで砂漠体験
芋休暇という秋休みがデンマークにはある。この芋休暇は正式な休暇ではないのだけれど,学校の授業が休みになるという休暇。芋休暇は、スウェーデンやノルウェーにはないそうで、どうやらスカンジナビアの中でも、デンマーク特有の半休暇らしい。そもそもこの一週間は、学生が実家に帰ってポテトの収穫を手伝うための休暇だったという。そういえば、日本の一部学校でも秋休みがあって、これは米の収穫を手伝うためだと聞いた事がある。今では、デンマークで収穫のために秋休み=芋休暇を使う人はいないだろうけれど、休みは継続して続いている。
この機会にカイとリス、ルーン、ライラ家族と一緒に、スケーゲン(Skagen)とよばれるユトランド半島北部のリゾートへ行くことになった。
芋休暇2日目に行ったのは、ロベア・ミル(Råbjerg Mile)と呼ばれる砂漠だ。なんてことはない、ちょっとした砂浜のような砂丘。ユトランド半島の北側の半島にあるこの砂丘は、西から吹く風で少しずつ東側に移動してきていてユニークな形を作っていることで有名だという。風で砂にパターンが描かれてよく見る砂漠のイメージが一面に広がる。昨日とはうって変わった暖かい気候で、砂山を登りちょっと先の湖まで足をのばしてみた。
砂丘の少々小高い丘の上で、持ってきた手作りパンのサンドイッチランチとクリスチャンが皆に内緒で隠し持ってきたビールで昼食。こんな人工物が何一つ視界に見えない場所で、青空のもとお昼ご飯を食べるなんて、ちょっと前は考えられなかったことで、とくに贅沢に思える。砂だらけになって、キャスパー、モータンと追っかけっこをしながら、帰途についた。
自然の中でめいいっぱい遊んだ後は、がっつりとした伝統的なデンマークのローストポーク料理フレスケスタイ(Flæskesteg)がよく似合う。
フレスケスタイ / Flæskesteg
材料(4人分)
ポークの皮付き塊肉 1, 2kgほど
ベイリーフ
荒塩
■作り方
準備:オーブンを225度にセットする。
1. ポークの皮部分から肉5mmぐらいの深さまでナイフを入れる。
2. 荒い塩を擦り込む。
3. ベイリーフを切り込みに入れこむ。
4. 皮部分を下にしてフライパンで焦げ目をつける。
5. オーブンに水を張り、15分225度で焼く。
6. オーブンを200度に落としさらに焼く。
7. 肉の中心が57度になったら、グリル機能をオンにしてさらに焼く。時々水をチェックして、継ぎ足す。
8. 肉の中心が65度になったら、オーブンから出して出来上がり。
9. 15分ほどおいて食べる準備が整います。
10. グレービーを作りたいときには、肉から出た汁に生クリームなどを入れて、味を調整していく。
お祝いのデザート
カイとリスは、お祝いが大好きだ。誕生日もデンマークの記念日も。一生に一度のお祝いのときに必ず作る特別レシピなんかも、もちろんきちんとある。子どもが生まれ洗礼を受ける時といったお祝い時に、リスの家族がかならず作るというレモン・スフレ(Ctronfromage)を、今日は作ることにしたという。ルーンが幼児洗礼を受けたときも、ライラが幼児洗礼を受けたときも、ライラの3人の子供が幼児洗礼を受けたときも、レモンスフレを作ったと、懐かしげに話してくれる。
普段デンマークで食べるケーキは甘すぎると言い続けていたから気にしてくれていたのかな。「さっぱりしたデザートだから気に入ると思う」そういってリスが作ってくれたシトロン・フロマージュ、つまり直訳するとレモン・チーズケーキという名前のケーキは、レモンがたっぷり入ったムースやスフレを思わせるケーキ。生クリームなど乳製品たっぷりで普段はさっぱりという感じには思えなさそうだけれども、確かにデンマークのケーキの中ではさっぱりの部類に入るかも。砂糖の量を少し調整して少なめにしたら、酸味が程よく聞いてまさに日本人好みのレシピになりそうだ。
シトロンフロマージュ / Citronfromage
材料
卵の黄身 4個
砂糖 125g
ゼラチン 4 枚
レモン 2個
生クリーム38% 2.5dl.
卵の白身 4個
飾り用
生クリーム38% 1dl
レモンスライスレモンバーム、ミント、チョコレートのかけらなど
■作り方1. 卵黄と砂糖を白くなるまで混ぜる。
2. ゼラチンを冷たい水で柔らかくし、レモンしぼり汁の中に溶かす。
3. 生クリームを軽く泡立て1に入れる。さらに、2を加え、最後に、白身を泡立てたものを入れる。
4. 食べる前に、飾り用の生クリームを泡立て、飾りつけをし、レモンスライス、レモンバーム、ミントやチョコレートのかけらなどを飾る。
暦という文化
そろそろ夏時間が終わるらしい。ルーンにいつ夏時間から冬時間に切り替わるのか聞いたら、そろそろと言われた。そろそろじゃわからないよ、と言ったら、今週か来週だと思うと言われた。じゃ、皆はどうやって変わる日を知るの?と聞いたら、テレビで言うし、ラジオでも言うから自然とわかるんだ。でも、ルーンはテレビ見ないし、ラジオも聞かないよね...コンピュータスクリーンに出てくるからわかる。なるほど。
冬が来るのかと思いながらメランコリックな気分に陥っていたら、キッチンからりんごの焼けた甘い匂いがしてきた。途端に幸せな気持ちになれる。
ルーンのリンゴパイ / Runes æble tarte
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A Year in Venø
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