september / 9月
野苺ジャムづくり
朝ルーンに会うなり今日はジャムを作るぞ!のかけ声とともにバケツと長靴を渡された。いつものメンバーのカイとリス、ライラとクリスチャンと三人の子供たちが揃い、一緒に家の脇にある林に向かう。
海岸沿いを歩くこと5分、丘を登ったその先はデンマーク語でボンベア(ブラックベリー)と呼ばれる野生ベリーがたわわに実るちょっとした茂み。こんなの初めてと目を見開く私を横目に、他のメンバーは戦闘準備完了で早速茂みをかき分けブラックベリー摘みにかかる。自然味たっぷり美しい自然と戯れるベリー摘みは、イメージとしてはのどかなのだけれども、実際に体験してみるとそんな優雅なものではなかった。ボンベアの葉や茎は棘が沢山で手をあちこち引っ掻き、長そで長ズボンでないと茂みをかき分けて入るのは難しい。手を伸ばして取ろうとすると、棘が洋服に引っかかりすごく痛い。そんなことはハイジも教えてくれなかった。うまく熟れたボンベアは手でちょっと摘むとコロンと手に落ちてくる。熟れてないベリーは取るのが難しいのでどれを収穫したらいいのか悩まない。ベリーを摘み初めて1時間ほどで持参したバケツに山盛り一杯収獲した。8人でバケツ山盛り5杯の収穫。大収穫を祝いながら帰途についた。
取ったボンベアは、新聞紙の上に広げ虫を追い出す。2キロだけジャムにして残りのボンベアは冷凍庫で保存することにした。ジャムは、いつもの通り伝統的な作り方を踏襲するリスのレシピを使う。次の日、ルーンと子供達は早速パンケーキ作り。取れたて出来立てのジャムを付けて手作りのパンケーキで朝食だ。私はまるで野生児になったような感覚が続いていてなんとも居心地がわるかったのだけれども、こういう体験を通して自然の恵みをタップリ受けられる感覚も養って行くんだろうな。
ブラックベリージャム / Brombærsyltetøj
材料
熟れたブラックベリー 200g
りんご 数個
ブラウンシュガー 150g程度の分量 もしくはジャム用の砂糖 125g
*ベリーとりんご対ジャム用砂糖は、2対1の割合にすると良い。
■作り方
1. ボンベアを新聞紙に広げ虫がベリーから出てくるのを待つ。
2. りんごを小さく切る。
3. ボンベア、小さく切ったリンゴ、砂糖を鍋にいれる。
4. 水をひたひたに入れ、ゆっくりかき混ぜながら煮詰める。
5. 消毒した瓶に詰めて蓋をする。
生のくるみ
デンマークでは、毎日の生活の中で自然を近くに感じる。ヴェヌーでは、この季節には生のクルミがお茶請けに出てくる。生のクルミってどのようなものだと思う?クルミは殻に入っていて乾いているものしか知らなかった私は、見てもクルミだとわからなかった。
生のくるみは、この時期にしか食べることのできない自然の恵み。韓国では生の栗を食べることがあるという話は聞いたことがあったし、韓国料理として食べたことはあったものの、生のクルミは初めてだった。そもそも、木になっているクルミを見たこともなかった。どんな風にクルミができるのか、考えてみたこともなかったことに今更ながら気づく。
クルミの実は、梅の実のよう。梅は、周りの果肉を剥くと種が出てくる。種を噛んで中の小さな実を食べることもできるんだけれど、クルミも似たような構造になっているみたい。梅の種の中の小さな実の部分が、私達が普段食べるクルミの実なのだということを今初めて知った。あの固いクルミの皮を剥くと出て来るのは、苦い薄皮にくるまれた、白いクルミの実。生のクルミの薄皮は苦すぎて食べられない。でも、とても柔らかいので簡単に剥ける。
ヒュッゲなお茶の時間には、クルミの皮を割り渋皮を剥きながら、口に放り込み、ひとときの会話を楽しむ。また、サラダにそのまま入れるのも美味しい。定番のキャベツとリンゴのサラダにちょっと飾り付けとして添えるのもおすすめだ。
キャベツとりんごのサラダ / Spidskål med æble og walnut
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A Year in Venø
ヴェヌー島の人たちは、先端技術を上手に利用しながら自然に触れる生活をしています。 季節の変化に繊細に対応し、春の訪れや秋の実りに感謝しなが…
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