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誰も取り残さないデジタル社会に向けて

デンマーク電子化庁が6月22日にレポートを出した。その名も「デジタル社会におけるデジタルインクルージョン(analyse brugerperspektivet er centralt i arbejdet med digital inklusion)」。30ページにわたる分析レポートは、自治体連合KLとの共同で作成された。

取り残さない戦略

分析データ元としては、今までの知見や質問紙フォーカスインタビューが使われている。デンマークの電子政府は、国連の2020年電子政府指数世界第一位と高評価されているが、そんな「うまくいっている電子政府の国」が、なんで今更デジタルインクルージョンについて話す必要があるんだろうか?って思うかもしれない。

その理由は単純で、まだ100%インクルージョンが達成できているわけではないから。デンマークは、全ての市民がアクセスできなければデジタル社会の達成にはならないと考え、そして、自分たちは、まだまだだと真摯に現状を受け止めて解決策を模索しているからに他ならない。

レポートの概要

レポートには、デンマークで誰一人取り残さないデジタル社会を構築するには、7つの課題があること、そして5つの取り組むべき道筋を示している。7つの課題としては、デバイス所持有無、言語の壁、ITやデジタルセキュリティに関する知識などの一般的に議論されているものばかりでなく、公共機関や行政手続きに関する市民の知識や知り合いや家族からのインフォーマルサポートが受けられていないなど、一見電子化に直接関係なく見えて実は電子社会を支えているソフトな部分に踏み込んだ課題の指摘となっている。

なぜ注目すべきなのか

感心するのは、世界最高レベルの電子政府進展度との評価を嬉しく思いつつも、他国との比較ではなくデンマークとして目指す道とそこに至るための国内の課題を認識して、その解決に取り組もうとする姿勢だ。そこからは、限りない人間への愛と、社会をよくしていきたいという純粋な姿勢が見えると思うのは私だけだろうか。

日本でも同様の調査をおこなったら(定量分析じゃなくて定性分析ができればだけれども)、きっと課題としては同じことが炙り出されるんだろうと思う。解決策としても、同じようなデジタルとアナログ(家族やコミュニティの支援)のハイブリッドサポートが必要だということは目に見えて明らか。つまり、アナログ部分はどうしても必要なので、そこを無視しない戦略を考えていかないといけないと、と、改めて自分の親やデンマークの義母を見ていて思う次第です。

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