ゆがいたとうもろこし
夕飯時にふとウイスキーが飲みたくなって、ニラ玉を作りながら飲んだ。
キッチンの北側の窓からお隣さんのお風呂の匂いがする。
あぁ、なんてこった。
酒とニラ玉とシャンプーの香りはあまり知らないのにキスした人の口の匂いが蘇って焦った。
わたしはしゃがみ込んだ。
どうしよう。
いや…どうもしないのだ。
生きることは食べて飲んで悩んで楽しむことが醍醐味なのだから。
後30年生きれるかな。
あと15年でもいい。
そんなに未来には期待しないし、わたしはひとりだし。
ひとりも好き。
お風呂上がりのお隣さんにゆがいたとうもろこしをお裾分けしに行く。
なんだか体がムチムチしてるのを気にしながら、飲んでシャワーを浴びて寝る。
春なのか夏なのかわからないこの夕方の風は思い出を運んできた。
呼吸をする。
それを飲む。
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