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ハダカノオウサマ

子どもの頃から王様だった

最初の子どもということ

病弱だったこともあり

本当に大切に育てられた


新しいものを次々と与えられ

飽きた頃には

下の子に回されて

また新しいものを手に入れる


食べたいと思えば母が用意してくれる


もちろん手に入らないものもあった

どうにもならないこともあった


あの子は持っていて

私は手にすることはできない


その恨みも忘れていない


大きくなるにつれて

「制約」されることが増えてきた

〇時までには帰りなさい

夕食の準備をお願い


そうやって家族として頼られることが増えてきて

正直うざったかった


なんで私は

どうして私だけ

そんなことを考える自分が嫌だった


今まで王様

自由にさせてもらえてたのに

欲しいものは手に入れてきたのに


世界が大きくなるにつれて

どんどん手に出来ないものが増えて

我慢することも増えて

窮屈だと思った


ここから抜け出したいと思った


抜け出せば何かが変わると

抜け出すしかないとしか思えなかった






抜け出して分かった


私は王様じゃなかった

バカ殿だったのだと


親の愛も分からずに

ただただ鼻だけ伸びきって

傲慢ちきなバカ殿だったことを


私はちっとも王様なんかじゃない

ただのバカな殿様だったのだと


こうして振り返ると分かる

どれだけ親に愛されて生きてきたのか

どれだけ親の愛に報いることなく生きてきたのかを


私は何かを返せるだろうか?

いや返さなくちゃならない


親から受けた愛を

それ以上の愛を返そう


これからずっと



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