AI美空ひばりに、私は感動した
昨年の紅白歌合戦でのAI美空ひばりの歌唱に、賛否が巻き起こったのは少し前。
山下達郎さんは冒涜だとかなんとかいったとか…。
しかしながら私は、NHKスペシャルの番組を見て、
”あれから”をきいて、
感動で涙した。
感動したのだ。
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なので紅白のAI美空ひばりに期待していた。
娘のお風呂も寝かしつけもほっぽって、いまかいまかとテレビの前で待ち構えていたわけだが、いざ出番と見てみたら、
全然感動しなかった。
NHKスペシャルで感じた感動がまるで嘘のように
なんにも感じなかった。
なんでだろう…?
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紅白歌合戦が“歌合戦”ではなくなって久しいと思う(まるで何十年も見続けてきたような口ぶりだが…)
“演出合戦” といえばいいのか、画面をみていてゆっくり歌をきくという感じではないし、歌が全然入ってこない。
(幸子さまの豪華衣装がどうだったかといわれたら、それは…歌は全然入ってこなかった笑。紅白バージョンの編曲はどれも素敵だと思ってる)
例えば、天童さんが歌唱された『大阪恋時雨』
通常の歌番組で聴くとグッと胸にくる曲なのだが、紅白のあの演出のなかでは、そんなもの全然感じなかった。
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うたう前に喋らせてもらうことがある。
この曲を選んだ訳、どういった思い入れがあるか、
自分の思い出と合わせてお話ししてうたいだすと、
ぐぐぐーっと皆さんの耳が私に集中してくれているのを感じる。
たぶん、こういうのが足りなかったんじゃないかと思う。
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NHKスペシャルはひばりさんに関わってた方がたくさん出演されていた。
森英恵さんがプライド戦わせてひばりさんのドレスを作ってきたこと
天国から華麗に舞い降りてきた姿をイメージしてドレスを作ったこと
ひばりさんのヘアメイクを25年手がけていた白石文江さんが、ひばりさんと同じ背格好の人に髪型を作る場面
天童さんが幼い頃からひばりさんに憧れて、背中を追い続けてきたこと
ひばりさんならこう歌うだろうと動きをつける
息子の和也さんに童話を読み聴かせるために録音したカセットテープ
その想い出を語る和也さん
開発途中のAIの歌声を聴き、『ひばりちゃんの歌声じゃない、何か足りない』という美空ひばり後援会の皆さん
川の流れのようにを作ったことで作詞家を名乗ることを決めた秋元康さん
ひばりさんが今、どんなことを我々に語りかけてくれるだろうかと新曲の作詞をする姿
AIを開発するエンジニアの苦労も見えた
色々な人の様々な思いが見えた。ひばりさんをそれぞれ大切に思っていた。
どんな新曲が披露されるのだろう。
果たしてひばりさんに見えるのだろうか。
ひばりさんの歌声が聴けるのだろうか。
たくさんの人の思いがどんな形として現れるのだろう。
高まった期待とともに聴く“あれから”は素敵なうただった。
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私のように感じなかった人もいるかもしれない。
でも、私は確かに感動した。
VOCALOIDに出会ったときも感じたが、こんなことができる世の中なんだと、希望と可能性を感じたのだ。
NHKが20日(金)にAI美空ひばりの検証番組を放送したそうだ。
見逃してしまった。。。