構造デザイン講義~スティール3~
3. 鉄の歴史
① 古代の鉄
Ⅰ.BC12:鉄の使われ方の最初は武器だ。青銅器の代わりに軽い鉄を武器にしたことが始まりだ。
Ⅱ.C14 :ヨーロッパで銑鉄が作られ始めた。
Ⅲ.C15 :高炉が開発→銑鉄の大量生産が可能になった
Ⅳ.C18 :コークスが開発→生産量のさらなる拡大で産業革命の始まり
Ⅴ.1779 :コールドブルックデール橋ができた。世界初のアイアンブリッジ。鉄の使い方がまだまだ稚拙で木造の継手のような方法をとってる。
② 鉄の時代の幕開け
産業革命によって鉄が大量に生産されるようになり、鉄の時代が始まった。この時代は鉄が使われるが、鉄の手法が稚拙なところがこの時代の特徴だとおもう。
Ⅰ.駅舎
列車が入ってくるところに、それを覆う巨大な空間が必要で大架構を作りあげるのにスティールは最適の材料でこれが、機能的に鉄が使われ始め、鉄が普及した理由の1つだ。
Ⅱ.大温室
鉄が普及した理由の2つ目に、構造が繊維になるコトだ。温室が大航海時代によってイギリスで普及し、太陽光を多く入れるため、繊細な構造体が求められた。そのためで、鉄とガラスが一気に普及した。
Ⅲ.アイアンブリッジ
この時代の橋というのはとてつもない。ブルックリン橋(1883)では中央径間が486mで、技術の進歩を感じる。その先、フォース橋(1892)では支間では511mだ。しかし、この構造として力強さもあるが、それより驚くのは、プロポーションだと思う。最小限の部材で繊細さを追求した。爆撃されても壊れないような剛性の高さももっている。
③ 近代から現代へ
Ⅰ.ギュスターヴ・エッフェル
彼は元々、棟梁のエンジニアとしてスタートしました。そして1877年マリア・ピア橋、1885年にギャラビー高架橋を作りました。その後、設計会社を設立し、エッフェル塔の建設を請け負った。(エッフェル塔をエッフェルが作ってはいないそうです。)このエッフェル塔は長い部材が潤沢だったため細かい部材を組み合わせて作っています。
Ⅱ.オットー・ワグナー
彼はC19にウィーンで活躍した建築家で、組積造が中心だった時代に鉄骨造を持ち込んだ人です。
彼の建築の特徴として、外見は石像でも中身は鉄骨造というところです。ウィーン郵便貯金局(1906)では、外観は町並み似合わせて石張りですが、構造は最先端の鉄骨造です。
Ⅲ.ゴールデンゲートブリッジ
1937年ニューディール政策としてゴールデンが作られました。中央径間1280mで主塔の高さは水面から227mという圧倒的な巨大さです。この建物は構造的に素晴らしいことはもちろんのコト、当時の未来志向の装飾様式として最先端だったアール・デコが用いられました。エッフェル塔と同じく技術と文化が融合された価値のあるものです。
④ C20を彩るスティール
戦争によって建設技術は飛躍的に進歩します。その結果、これまでにない造形が可能になりました。その1つを実現したのが、バックミンスター・フラーです。
彼は、変わった世界観の持ち主で「宇宙は正四面体と球という2つのエレメントに還元できる」と言っています。これを解説すると、正四面体といのは極めて安定的な構造体でこの四面体を最小単位として極限まで広げていくと、球ができるということらしいです。その哲学的な概念を建物に落とし込んだものがモントリオール万国博覧会アメリカ館です。彼の思想を強く影響したこの建物は子供にも親しまれる層です。
最後に、紹介されたのが、ジャン・ヌーヴェルでした。彼はルッツェル文化会議センター(2000)を設計しました。45mのキャンチレバーの屁がある建物です。この巨大なキャンチレバーはスティールトラスです。スティールのもつ軽さと強さによってなせる技です。このキャンチレバーは湖に対して突き出していて、そのしたが街の人たちの広場になっています。この屁の裏の天井には銀色のアルミパネルが平面に張られていて、それが、湖の光を写して一日中変化します。スティールの可能性を極限まで追求した素晴らしい建築表現だと思う。