構造デザイン講義~組積造1~
1. 石の精度を求める感性の高さ
組積造→塊状の材料を積み上げて作った構造
パルテノン神殿の遺跡の近くに行くと壊れて倒れている輪切り状の柱は転がっている。しかし、その転がっている石には精密に加工技術が施されている。石の加工技術の高さがうかがえる。また、柱はエンタシスとして極くわずかに膨らみを持たせている。石と石が接する断面が1つ1つ違う。
古代から存在するパルテノン神殿でさえ石の加工技術は相当なものだったことがわかる
2. 組積造の歴史的変遷~ビルディングフットプリントを通して~
C18以前の建物はほとんど組積造だ。組積造の利点はその耐久性の高さだ。今でも作られているものもあり、半永久的に使える。逆に短所は石の入手が難しいところだ。石は簡単に手に入れたり、長い距離を運搬したりできない。しかし、それを補完するような形で煉瓦というものがつかわれるようになる。
これからは、ビルディングフットプリントという本を通して、歴史的に組積造がどのように変化していったかをみていく。
① 古代
古代の組積造は石を積み上げて自立する柱や壁をつくり、その上に軽い木造の小屋組みを置いただけで、柱はとてつもなく太く、壁は厚くなる。カルナック神殿では、使われるスペースより構造部材を占める面積のほうが大きい。また、パルテノン神殿でも構造部材のほうが大きいうえに、屋根が木造だ。しかし、切妻の破風部分はファサードだけ石造でできている。このように、構造的に制限がまだまだある時代だ。
② ローマ
ローマ時代になるとアーチ九蔵が発明される。アーチ構造の最大の特徴は空間の大きさが石の大きさに制約されないことだ。さらに、ドームは圧縮力をベースにした構造のため、石との相性がよい。しかし、開こうとする力のスラストが生まれてしまうというデメリットがある。そのためパンテオンなどではドームのスラストを吸収するため厚い壁にし、スラストを吸収している
③ ロマネスク
ロマネスクとは「ローマ」+「ネスク」でローマンスタイルの様式を意味しています。ゴシック様式を分けて扱ためにつけられた名称です。中世の前半がロマネスクで後半がゴシック様式と分けられます。
そんな、ロマネスク様式はローマの集会であるバシリカを世襲したものです。特徴として、壁は垂直に積み上げた厚い壁で、その上に交差ヴォールトが掛け合わされその上に屋根はスパンを飛ばすために、木造で架けられた屋根が架かっている。
次回、中世の後半の様式「ゴシック様式」から説明します。