構造デザイン講義~スティール1~
1. 災害と鉄
建築と災害の関係は切手も切れないものだと思う。この構造デザイン講義でのスティールの冒頭では、災害について内藤さんは語っていた。言葉を選びながら伝えたかったことは、「災害とは自然がくれたまたとない教材。だから、実際の現場に行っておくべきだ。」ということだとおもう。私も読みながら、WTC9.11の崩落の動画を見た。建築が凶器にもなることを人生で初めて実感した。
この本では日本の災害事例の2つとWTC9.11の崩壊について、構造的な見解を詳しく書いてあった。
WTC→ワールドトレードセンター
① 地震の種類による崩壊の違い
Ⅰ.縦揺れ
阪神・淡路大震災では直下型地震だったため、建物の真下から地震が入ります。そのため、質量のある建物や高架構造物(橋、高速道路とか)そのものが上の方に放り投げられる。その結果、柱頭部が座屈する(柱が折れてしまう)。
→一層分ペチャンコになったものもある。
Ⅱ.横揺れ
一方、中越地震では、真下からの地震ではなく、横からの地震だった。そのため、柱の三分の一あたりで座屈祖手織り構造物が多かった。横から力が加わった曲げ力による座屈が原因だと思います。(細長い棒が横に揺れて曲がってしまう状況)
② 超高層ビルと合理性
WTC9.11は超高層とは?建築とは?を問われた重要な事件だったと思います。鉄にすることで、建物として非常に軽くなり、鉛直力の負荷が小さくなり(軽くなったため、重力の対する負荷が小さくなった)、逆に、水平力の影響を強く受けてしまう。(軽くなって、細長くなったから風の影響で揺れてしまう)
その結果、ベアリングウォール構造(中央で重力荷重を支え、筒型の殻で水平力を支える。縦方向の荷重と横方向の荷重を別々で支える構造)にした。その結果、飛行機で追突しエンジンが熱を発し、中央の鉛直荷重を支える部分の鉄が熱せられ、柔らかくなった。重力を支える構造が潰れてしまったことで、周囲の構造ごとまるごと崩壊ししてしまった。
ある種、究極の合理性を追求してしまい、少しの欠陥が生まれただけで全体に決定的なダメージを与える結果となった。「効率性を超えた冗長性(じょうちょうせい)」が鉄という構造には必要になってくる。
2. 鉄という材料とは
① 4つの種類
鉄というのを整理すると4つの種類がある。「銑鉄」「鋼(スティール)」「鋳鉄」「錬鉄」の4つがある。
次回4種類の鉄から要約