構造デザイン講義~コンクリート1~

1. コンクリートとスティールの対称性
スティールとコンクリートは、同じ人工素材でも大きく異なる。この本では。「父性的な素材スティール」「母性的な素材コンクリート」と表現している。
 スティールは「意志的」だ。どこにこの柱を配置するかなど、手順が明確で、整合性をかくことを嫌う。しかし、コンクリートは「受動的」だ。だからこそ、自由な造形をコンクリートは可能にする。

打放しコンクリート

 それゆえ、「打放し」という技法ができる鉄もコンクリートも空中にさらされると中性化してしまう。コンクリートなら中性化するとひび割れ、スティールだと錆びてしまう。そのためスティールを空中に曝露すると構造体としての機能ははたせなくなる。しかしコンクリートなら大丈夫なのだ。厚みがあるので、多少中性化してもコアの部分まで到達しなければ問題ないのだ。
 この「打放し」を行うことで、コンクリートは表面的に劣化していく。しかし、この劣化はプラスの見方として、「エイジング」として捉えることができる。だから、建築素材として使用するとスティールとは同じ科学素材でも大きくイメージが異なる。コンクリートは受容的で、空気すらも受け入れ、エイジングしていく。

2. コンクリートという素材
 コンクリートとは、その受容性ゆえに色々な性質へと変化できる。
例えば、「ALC」は金属アルミニウムをいれることで、軽くて断熱性、耐火性を高めることができる。しかし、柔らかいため、強度は底まで強くない。一方、強度が非常に高い「CFRC」もある。骨材として炭素繊維を混ぜることで細かな亀裂を防止することができる。
また、「高強度コンクリート」というものもある。これは通常のコンクリートに比べて3倍も強度が高い。それを生かし、島根県文化芸術センターのホールにも利用されている。
しかし、強度の高さにも問題が生まれることがある。現場打ちコンクリートの弱点として、強度をあまり高めることができない。なぜなら...

次回、現場打ちコンクリートの弱点から説明する

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