夜の歌より
雨が紐の垂れる
紐で布を縫ひ合はす
紐の細ひ
音のかはきの近くへ
寄せ その
紐の垂れる
音を雨に濡らしてゐる
紙があり
紙のうへを
身の内側の星の漂ふ
その星を手と
指先の紐より
色づけ 潜め
紙さへ布に
変へるくらひ
雨が降り 降り頻り
紐のかはひた
こゑの行き交ふ夜の暗さです
/小倉信夫
#礫
2022年1月28日に、詩人の和合亮一さんが Twitter で行った企画、詩の礫「Ladder」に参加しました。そこに投稿した詩です。
※ Ladder =梯子
※新型コロナウイルス感染症に惹起された現況を「有事」と考えて創作物をツイートする企画です。
※作者名と題を付しました。