春の別れ
思ふ…、と言ふ
そのかがよふ
瞳へ手で
思ひさへ浚ふやう
思ふ…、と
囁かれた気がした……
夕暮れの
お寺のほとりの
(墓所で…、
風が
思はう心へさはり
なずみ 思ひを
浚つた時に
その風の
内の
何もなひ優しひ指より
墓所の片はらの木立ちを思ふ
……、思ひがあつたと 風にこころ濡らされた
/小倉信夫
#礫
2022年3月25日に、詩人の和合亮一さんが Twitter で行った企画、詩の礫「Ladder」に参加しました。そこに投稿した詩です。
※ Ladder =梯子
※新型コロナウイルス感染症に惹起された現況を「有事」と考えて創作物をツイートする企画です。
※題を付しました。