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10年前に突如ケモ着ぐるみを始めた話 (4:初デビュー)

前回の記事の続きです。

着ぐるみ到着から試着まで

着ぐるみ一式と必要最低限の衣類を揃えたのでいよいよ着ぐるみのお出迎えです。今回は業者へ取りに行くのではなく宅配便で送って貰いました。

着ぐるみ到着

宅配当日朝、160サイズの比較的大きな箱が届きました。
明らかに着ぐるみだと思いつつも念のため品名を確認。

実際に記載してあった品名

品名で発注者の性癖暴露大会が爆誕してました。

いや、その、意味は通じるかも知れないけどその言葉は違うような???????というか配達員の人これ絶対見てたよね???????せめて「動物」か「ケモノ」って書いて???????????

「一発でクロノアという言葉を言い出したあの着ぐるみ業者の担当者、ただ者ではない……」と思いつつ、とりあえず品名の事は忘れることにします。

箱を部屋に持ち運び、ドキドキしながら開封。
品名のインパクトが強すぎて開封写真を撮っていなかったので別の写真を上げておきます。

開封後の写真(のうちの一つ)

やはり実物を見ると感動しますわね……。
写真通りの実物を確認し、運搬による損傷が無い事も確認。

試着と視界

事前にサイズを測って貰ったとはいえ、もし頭が入らないとかになってしまったらそれはそれで大問題なのでとりあえず試着することにしました。

その時にセルフで撮影した写真がこちら。

初装着時のセルフショット

なぜか顔を斜めから撮っていますがこれには理由があります。
着ぐるみは構造の関係上視界がものすごく狭く、正面が全く見えません。
今回のハピ着ぐるみで言うと赤い目の部分がメッシュになっており、そこから見えるようになっています。

簡単な図で説明するとこんな感じです。

着ぐるみの視界箇所イメージ(※ 暗い部分は何も見えない)

このように視界が狭くなっており、構造上中央部分が何も見えません
スマホのデバイスは視界中央で操作することがほとんどなので、着ぐるみの視界に入るよう右もしくは左にずらして見る必要があります。もっとも、着ぐるみの状態でスマホ弄るなよって話なんですが。

今回はスマホ(iPhone)のセルフで撮影したもので、少し右を向けることにより画面を見ることができるというようになってます。

元々「着ぐるみは視界が狭い」ということは話として聞いており、発注時点で覚悟してましたが、「ここまで狭いとは……」と試着時点で思わされる経験となりました。

なんとか正面を撮影しようとした結果(失敗してる)

いよいよ実践。初デビューへ

試着は完了しました。あとはニコニコ超パーティの開催を待つのみ……の前に実際に着て慣らしておかないといけないと思い、とりあえず練習も兼ねて一旦着て回れる場所というのを考えました。

着ぐるみはキャラクターのイメージもありますが、マスクの中の声は普通の大きさだと確実に相手に聞こえない関係も含めて声をあまり出すことができません。基本的に着ぐるみの場合、相手の会話に対してはジェスチャーで返します。(どこぞの梨のような例外もいますが)

そして前述の「視界の狭さ」や「着ぐるみには着ぐるみなりの動きが」必要になってくるので慣らすのも兼ねて練習が必要になっていきます。

「着ぐるみの動き」というのはテーマパークの着ぐるみを実際に見たことある人ならわかると思いますが、着ぐるみは動きが活発で独特性があります。
この独特な動きはキャラクター性を活かす意味では重要なポイントであり、着ぐるみのバイトの際に実際にレクチャーされることがあるほどです。

そして着ぐるみという特性上、コスプレと同じく非常に目立ちます。
公衆の場でのデビューは明らかにマズい。かといって家でやるのも違う。

小規模なスペースを借りる……というのも考えたところであるイベントが目に付きます。
それは大阪日本橋で開催されていた「第9回日本橋ストリートフェスタ2013」(以下、ストフェス)です。

日本橋ストリートフェスタを主催している日本橋筋商店街振興組合のページ。
(※ 2013年の情報はもう消去されていたので、公式サイトのスクリーンショットを流用)

ストフェスは大阪日本橋を盛り上げるために日本橋筋を丸ごと歩行者天国かつコスプレブースにするという、当時としては日本最大級のコスプレイベントでした。
2019年辺りまでは毎年開催してましたが、2020年以降はコロナ過が原因で見送りの状態が続いています。

過去に何度か参加しましたが僅かながらも着ぐるみ勢がいたことと、コスプレイベントという特性もあり、周りの目を気にする必要はありません。(そもそも視界狭いからあんまり見えないんだけど……)
着ぐるみの到着がストフェス前であり判断し実践も兼ねて参加することにしました。

ストフェス会場へ運搬

ストフェス当日。着ぐるみを持ってイベント会場へ。
元々頭が160サイズなのでまあまあ大きく、着ぐるみ一式の荷物だけでダンボール2箱分になりました。

本来なら車で運ぶべきなのですが、駐車場は混雑はもちろん、道路規制も入っているのでそもそも向かいづらい状況。かといって宅配便を会場へ送ることもできない……となると解決方法は一つ。キャリーカートで運搬して直接持っていきます。

ストフェス当日、実際に持ち運んだ荷物。

明らかに着ぐるみどころかコスプレ用品が入ってるかすら怪しい風貌です。
これをそのまま運び、ストフェス会場のクロークへ。

初デビュー

クロークで着ぐるみ一式を着ていきます。初めてということもあり着ぐるみ(特に手足のスーツ)の装着に戸惑いながらもなんとか着ることができ、いざ外の世界へ。いよいよ初デビューです。

そこにいた自分の姿は……。

一番最初に撮影してもらったハピ着ぐるみ写真

くたびれたオッサンでした。

当時着ぐるみをやっていたベテランが参加していたのもあり、さすがに同行者から「キャラクターイメージ崩さないで。ちゃんとやって」と怒られました。
表情は動かせなくても動きや姿勢で感情が伝わるもんです……。

その後、他の同行者からアドバイスを受けた結果、某クレープおじさんのポージングを参考にすればキャラクターのクール性を保てるんじゃないか」という話になり、それを基本ポーズとして真似る参考することにしました。

ポージングを取ったあとの写真


実践参加

ストフェス当日は会場内をひたすら歩き回りました。初めてなのもあり動き回るので精一杯だったので自分の手持ちは最初と最後に写真以外は撮ってません。というか着ぐるみのまま自ら撮ることはまず無理です。
自身の写真はありませんが、当時コスプレとして参加かつ同行していたねこみりん氏に自身の写真を撮影してもらっていたのでそちらをいくつか出しておこうと思います。

こうしてみると服はただの作業着姿で頭に付けてるニット帽は明らかに面積が足りない、しかも手やブーツは明らかに頭との比率が噛み合っていないとツッコミどころは満載ですが、撮影方法次第でわりと格好良くなるものですわね。これも撮影担当のねこみりん氏のおかげです。ありがとうねこみ。

あと、何人かに声をかけられて撮影してもらいましたがそこはやはり動物的な可愛さを全面的に出している着ぐるみ。親子連れに写真を撮られる事が非常に多かったです。自身のみの撮影よりも子供と一緒に撮影された回数が思いっきり多かった気がします。

イベント中は他のコスプレイヤーと一緒に写真を撮ったり、他の着ぐるみ勢の方々と写真を撮ったりしてました。やっぱり経験積んでる着ぐるみ勢ほど動きがしっかりとしていた印象がありました。

ちなみに当時のTwitterのツイート。

何の写真が出回ってたんだっけ……覚えてねえ。

参加してわかった課題点・問題点

ストフェス参加も終わり、結果として良かったか?と言われるととても良い経験になりましたし、むしろ「課題点や問題点を実感することができた」という意味ではものすごく貴重な経験となりました。

暑さと活動時間

ストリートフェスタの当時の気温は3月下旬の平均にしては高く、当時の最高気温はおおよそ18℃を記録していました。
その日は晴れで「たかだか18℃」であったとしても太陽の光が着ぐるみを吸収しその分中はドチャクソ暑くなります。

肌に密着するインナーを着用していることもあり、とにかく汗が滲み出てることが身体全体で伝わります。
ストフェス自体の開催時間はおおよそ12時~15時の3時間。終了間際は更衣室が混雑することも踏まえおおよそ2時間半ぐらいで撤退したにも関わらず、インナーがずぶ濡れになるようなレベルで汗がびっしょりと出てました。

そもそも通常のコスプレとは違い、着ぐるみの連続活動時間は長くても30分。それ以上は休憩を推奨、休憩無しで活動し続けるのは危険と言われてるほどの過酷な状況となり、特に酷暑の中の着ぐるみの仕事は地獄そのものと言われてるほどです。
「たかだが2時間半」と言われそうですが、2時間半は活動の限界を余裕で超えるレベルであることを今回初めて知りました。

汗をかくことは身体の水分が出ることです。つまり水分補給は必須となります。今回発注した着ぐるみは口自体はあるものの、メッシュが貼られているためマスクを被ったままの水分補給はできません。
ストフェスはほとんどマスクを被った状態で動いていたのでとにかく喉の渇きが凄かったです……。

なお、この次に出演した超パーティーでは出番は準備も含めておおよそ10分程度だったのでこの課題点はどちらかといえば超パーティ以降の着ぐるみイベントの参加時に注意すべき事項として留めていました。

手足のスーツがズレる

手と足のスーツはそれぞれ独立しており、肌を覆い隠す役目をしているのですが、これが完全に固定されていないため動けば動くほど段々とズレてしまい、シワができます。

シワがいちばんひどい時の写真

見た目の印象が悪いのもそうですが、スーツの下は長袖のインナーのため見た目がものすごく悪くなります。定期的にシワを無くす形で整えてました。

その後の対策として右腕と左腕はそれぞれゴムで繋ぎ、それぞれ引っ張り合わせる、そして左脚と右脚は簡易的なソックスベルト化することによりそれぞれ対策を行いましたが、シワができる問題点は回避できていません。

アームバンドのようなもので固定するのも考えましたが、そもそも固定できる箇所が存在しないのと生地の脱毛の問題もあり諦めることにしました。

これが以前の記事で触れていた「納期を優先した結果、後悔することとなった原因」のうちの一つです。
「全身スーツにしていればこんな問題にぶち当たることは無かった」と今でも後悔しています……。

当時のツイート。

ソックスベルトだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

着ぐるみの運搬

今回は自動車無しのキャリーカートのみの運搬でしたが、当時のキャリーカートにおいて荷物を固定するゴムの長さが頭を収納している160サイズ分のみにしか届かず、他のパーツ類が入った140サイズそのまま載せた状態で会場に向かっていました。

移動手段はバスや電車。これだけの大きさなので人目はもちろんのこと、ダンボールの接触で箱が潰れないかが気になりましたね……。着ぐるみは衝撃も大敵。移動も人が多い電車には乗らないルートを選ぶなどかなり気を遣いました。

帰りはさすがに箱ごと宅配便に送りました。

超パーティ以降は会場もしくは近場の宅配便の営業所宛に送り、そこからキャリカートで運搬するという可能な限り移動手段を少ない手段を選択していました。

衝撃対策のために着ぐるみ専用のコンテナの導入も考えましたがお値段はだいたい3万円前後……今に至るまで導入は見送りましたね。
現在もなお箱は届いた時のダンボールを使い続けています。

活動後のメンテナンス

前述している通り着ぐるみを保管する上での大敵は菌。特に汗が染みついたらその匂いがずっと残ります。頭はタオルを巻いたり長袖のインナーを着たりと可能な限り対策は取ったものの初回のイベントで2時間近く活動したのもあり、汗は多少ながらスーツやマスクにも付着していました……。

イベント参加終了時はそのまま家に宅配で送ったので多少ながら汗の臭いがしたので即座にメンテナンス策を考えました。

状況的にも水洗いはできる環境ではなかったので、とりあえず汗の部分を可能な限り水をあてその後、ファブリーズの一番消臭力が高いやつで内部を拭きかけました。
結果匂いはほぼ無くなりました……が、その代償としてマスクの中はファブリーズの香りが漂うようになりました。嫌な香りでもなく、汗の臭いはしなくなったのは救いですが……。

「パーツ」の大切さ

当時は納期(と予算)の関係で見送ったゴーグル。ストフェスではゴーグル無しで挑みましたが、こうして見比べると……

やっぱり、物足りない……。

キャラクターとしての物足りなさが出てしまう形になってしまいました。
実際にデビューすることで
これも「納期を優先した結果、後悔することとなった原因」となります。

さすがにこれでは個人的に納得はいかず……ストフェス後に業者に連絡してなんとか「ゴーグルだけ作っていただけませんか?」と追加発注の相談しました。
その結果、「超パーティ当日納品前提での制作であればなんとか間に合う」という返答をいただいたのでそのまま依頼することにしました。

見積金額は前回の記事に書いた通り50000円。想像以上に高い買い物となりましたがキャラクター性を出すなら無いよりはマシだったし、最終的に作って良かったと思います。

ストフェスを終え、そして超パーティへ

ストフェスでの着ぐるみデビューを終えて、課題点や問題点をなんとか解決しつつ、いよいよ4月末の超パーティに向けて準備を始めます。

これに関してはまた次回の記事にて。

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