17 将来とか未来とか
私は地元から新幹線の距離にある、ある大きな街に引っ越し、そこで保険の外交員のお仕事を続けながら新しい生活を始めました。
地元にいたころの感覚で広いアパートを借り、クルマを買いました。
都会では物価も家賃も田舎とは全然違います。また田舎では必需品のクルマも、電車やバスでどこにでも行ける都会では全く必要のないものでした。
この2つだけでも結構なお金を使ったはずですが、通帳の残高はあまり考えず、その後も生活に必要と思ったら、その必要性や値段は一切考えずに、次々と買い足していきました。
3人で暮らしていた時は100円の出費でも惜しんでいたのに・・・無駄使いはその反動だったのでしょう。もしかすると、一人暮らしの寂しさを、買い物をすることで埋めていたのかもしれません。
20代半ばの私は、将来の事は何も考えていませんでした。「未来」というものが信じられず、今を楽しむことしか考えていなかったのです。
気が付けば車があり、ペットがいて、雑多なモノがあふれている、そんなお部屋になっていました。
それは母が亡くなった後の、実家の様子にそっくりでした。
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