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12 施設

私達きょうだいは施設に引き取られる事になりました。

本家の伯父さんは、会社や入院した伯母のこともあり、毎日とても忙しそうでした。そんな大変な時に、私達のために時間を割いて、施設を探してきてくれました。

施設はすぐに見つかり、私達は本家を出て、施設に入ることになりました。

そこでは私達のように両親がいなくなってしまった子ども達や、両親が育児を放棄した子ども達が集団で生活をしていました。

そこにはガミガミと怒鳴ったり、説教したり、酔って手を上げるような大人はいませんから、私達兄弟は安心して生活することができました。

ただ一つ残念な事と言えば、好きなアニメが見れない事でした。私達はアニメを視るのが唯一の楽しみで、心の癒しでしたが、その施設にはテレビもビデオもありませんでした。

その代わり、図書スペースに行けば、読む本には不自由しませんでした。そこには児童文学や偉人伝、小説やライトノベルが沢山並んでいました。私はその中でも特に、星新一さんのショートショートは夢中になって読みました。

図書スペースの一角には「〇〇文庫」というコーナーがあって、そこにはシリーズ化された児童文学本がズラッと並んでいました(〇〇さんは地元の名士で、施設に本を寄付されたのだそうです)。

私は私は高校を卒業するまでその施設でお世話になりましたが、いつも心の中では「早く自立して弟と妹を引き取らなきゃ」とそんな事ばかり考えていました。

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