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41 1円たりとも
いとこのお兄ちゃんは、私が受け取る準備ができたのを見計らったかのように、再び話し始めました。
「可愛そうだけどな、犬とネコは誰か貰い手を探して引き取ってもらった方がいい。犬とネコの面倒を見ている余裕はないはずだよ。」
「クルマは手放して、税金だの駐車場だの余計な出費がないようにしよう。」
「多少不便でも、家賃の安い所に引っ越そう。近くにスーパーがあればいい。」
「赤ちゃんを産むにも、産んだ後もお金が必要だから、1円たりとも無駄にしないでな。」
「美容室だのネイルだのはな、後回しだ。なりふり構ってたら子供は育てられないよ。」
「・・・頑張ってな。」
お兄ちゃんは最後にそう言って私を送り出してくれました。
手を振って私を見送ってくれたお兄ちゃんの目に、うっすらと光るものが見えたような、そんな気がしました。