28 わけみたま
いとこのお兄ちゃんは、本家の伯父さんの会社を継いだ人です。
伯父さんの会社は本家の敷地に作業場と事務所があり、私がお兄ちゃんとお話をしたのは事務所でした。
お互い大きくなってからは会話らしい会話はほとんどありませんでした。
いとこのお兄ちゃんに何を話したらいいのか私は迷いましたが、思い切って現状を打ち明けました。
お兄ちゃんは私の話を、ウンウンと頷きながら真剣に聞いてくれました。
お兄ちゃんは私が話すことをすべて知っているかのように、上手に質問を挟んで私が話しやすくしてくれました。
話をしていると、辛い時の感情が湧き上がってきましたが、お兄ちゃんはその都度質問を挟み、私を引き戻してくれました。そのおかげで私は、感情的にならず、理路整然と話すことができました。
私が一通り話し終えると、お兄ちゃんは「『わけみたま』って知ってる?」と言いました。
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