16 遺産
私達3人は、ダムに空いた穴を塞ぎながらも、どうにか3人での生活をつづけました。
そして一番下の妹が二十歳になった時、両親が遺してくれたものを3等分して、それぞれ新しい生活を始めることになりました。
お墓の管理など、弟には長男としてのお役目があるとのことで、弟には多めに配分がなされました。
また、遺産に関しては追加の要求を一切しない旨が書かれた書類にサインをすることになりました。
全ての手続きが終わった時、私は本家の伯父さんにお礼のご挨拶に行きました。
「おれがしてやれることは、ここまでだ。」伯父さんは目を真っ赤にしてそう言いました。
その時は意味が分かりませんでしたが、今思えば「今後頼って来られても助けてやれないんだ」という意味だったのでしょう。
その時の伯父さんの心中を思うと、今でも心が痛みます。
こうして私達は、それぞれが年齢不相応のお金を手にして出発することになったのです。
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