04 母の葬儀
母の葬儀は修羅場でした。
自ら命を絶った母。その原因は父。母方の親戚は、どの方も険しい表情で葬儀に参列していました。
私達3人をいつも優しく、笑顔で迎えてくれた祖父や祖母、おじさんやおばさんも、皆一様にこみ上げてくる怒りを抑えているようでした。
葬儀が終わり、参列された方々が帰ると、母方の親戚は父に対して「人でなし!」「謝れ!」と激しい言葉をぶつけました。父は下を向き、固めた拳をブルブルと震わせながらそれに耐え続けました。
私は弟と妹の手を引き、できるだけそういう場面から遠ざけることしかできませんでした。
一番辛かったのは、母の亡骸に父が涙声で「ごめんなー」と謝った時でした。
近くにいた、母の兄弟が「そんな声じゃ聞こえないだろ!」と怒鳴るように言ったのです。
父は膝をつき、棺の前に土下座すると「ごめんなさい!」と大声で叫びました。
父のそんな姿を見て、私は涙が止まりませんでした。
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