女将さんー1
幼い娘と2歳になったばかりの息子を実家に預け、私はお掃除のお仕事を始めました。
オフィスビルの清掃を請け負う会社の女社長(女将さん)が私を厳しく指導してくれました。
私がお掃除のお仕事をしている間に、元ダンナが子供たちの姿を見に、実家近くをウロウロしていたそうです。
親権を失った親が子供に声をかけ、そのまま連れ去る事例があるそうです。まさかとは思いましたが、その話を母親から聞かされた時には、弁護士さんからキツく戒めてもらいました。
女将さんの下で修行した数年間は、とても貴重で、夢中になって過ごした期間でした。その間の私は、ずっと何かに立ち向かっていました。
息子が小学校に上がるころ、ようやく私も独立することになりました。これまで会社が用意してくれた車や道具を使い、会社が請け負った仕事をこなす毎日でしたが、これからは全部自前で用意しなければなりません。
私は中古の軽バンを購入し、道具を買いそろえ、人を雇いました。最初は女将さんの紹介でお仕事を頂き、そのお客様からのご紹介でさらにお仕事を頂くようになりました。
ここまで来るのに、両親や女将さんの助けなしにはとてもできなかったと思います。特に女将さんには、何かと私の事を気にかけてくれて、子どもたちのためにお菓子やパンを買って来てくれたり、夕飯のおかずまで作って来てくれました。
お仕事から私生活に至るまで、何から何までお世話になり、女将さんには本当に感謝しかありません。
私は女将さんの期待に応えるため、ますます日々の仕事に打ち込むようになりました。
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