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31 赤ちゃん

いとこのお兄ちゃんはお話を続けます。

「人はこの世に生まれてきて、様々な喜怒哀楽を経験する。そうするとどうなるのかというと、磨かれるんだな。磨かれるような経験というものは、肉体を持って生まれてこないとできないことなんだな。」

「そうやって色んな経験を積みながら大きくなって、年を取って、やがてあの世に帰って行く。そうなるとな、最初に神様がこぼしたワインがな、濁りや不純物が取れてな、すっかりキレイな透明になっているんだよ。」

「そうやってキレイな透明になってグラスに戻ってきたワインをな、神様が大きなカメに戻すんだな。まどろっこしいけどな、こうやって少しずつ、少しずつキレイにしていくしかないんだな。」

私は地上から戻ってきた赤ワインが、神様が手にしているグラスにヒュッと戻るシーンを想像していました。

神様はそのグラスを掲げ、キレイで透明になっていることを確かめると、ニヤッと笑ってカメに注ぎます。

まるでアニメの1シーンですが、私の脳内ではそんな感じで再生されていました。

「な?赤ちゃんというのはな、『神様のわけみたま』なんだよ。」

「あ・・・」お兄ちゃんのその言葉を聞いて、私は強い衝撃を受けました。

映画やドラマの中で流れていた様々な伏線が、一つにつながる。あの時のあのシーンの意味が分かる。「あぁっ!そういうこと?」そんな感じで、断片的にしかわかっていなかったことが、一つのストーリーとして、私の中で初めてつながったのでした。

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