東京”超”一極集中がもたらすもの ~医師特有の事情とは~
コロナ禍が過ぎ去り、東京一極集中が再加速している。
東京の魅力や一極集中の原因はさておき、今回の記事では首都圏で働く医師にとって東京一極集中の何が問題なのか、他の職業と比べたときとの違いを取り上げる。
捕捉されている数字よりも、都内在住の医師数はずっと多い
東京一極集中の流れは医師の場合も同様であり、国の調査により東京は医師も集中していることが明らかになっている。
こうした国や県、行政の調査は主たる従事先の都道府県をカウントしている。そのため住居を構えている都道府県と異なっていることに注意が必要だ。
医師の場合、通常のサラリーマンとは逆に東京都に住みながら周囲の県に通勤しているケースが多い。
都内に住み栃木県や静岡県に通勤する医師も知っている。東京駅から宇都宮駅まで新幹線でわずか48分だ。筆者も宇都宮駅近郊の出張健診を前泊なしで行ったことがある。
さらに千葉・埼玉・神奈川の県境の病院に勤める医師の大半は東京都民だ。県の真ん中あたりの病院であっても東京都心から出勤してくる医師はそこそこいる。
先ほどの調査では主たる従事先の都道県のため彼らは東京都の医師とはカウントされない。
医師は基本的に常勤先+非常勤バイトという働き方をしており、非常勤バイトを探す先は居住地の東京都を中心として探すことになるため競争相手となってしまうのだ。
また、筆者のようなフリーランスの医師はどこにも登録していないのでそもそもこういった調査には表れてこない。
そのため都内在住の医師の数は相当多いと思われる。
ただでさえ東京は医師が飽和していると散々言われているが、実際にはそれ以上存在しているのだ。
流入した医師は東京から脱落しない
ここが一番重要なポイントだと思う。
一般的なサラリーマンであれば一人暮らしの時は都内にいたが、結婚後は家賃を含む生活費の高さから東京近郊に引っ越したという方も多いだろう。
しかし医師の場合は異なる。
今後稼げなくなったとしても年収800万は固いため耐えきってしまい、郊外へ転出しないのだ。何より教育や日常生活の便利さを考えると東京都心に住むメリットは大きいだろう。
住居費などの生活費はインフレもあり年々上昇していく。それでも給料は右肩下がりというプレッシャーを感じながら、日々働き続けるしかない。
まとめ
東京という魔力に引き寄せられるのは誰でも同じだが、医師の場合は脱落しないという特殊性がある。
首都圏のバイト医の争いはますます激化していく。筆者自身も肌感覚としてだが実感している。椅子の数は増えることがないのに参入する人は増え続ける恐怖の椅子取りゲームだ。
書き入れ時である11月のスポットバイトの総評は別の記事で出そうと思っているが、昨年よりは厳しい状況である。
これ以上首都圏に医師が増えてほしくないというのは皆が思っている偽らざる本音だろう。フリーランス医師は医局から離れて自由と言えば聞こえはいいが、そこにあるのは降りることのできないチキンレースかもしれない。