某インフルクリニックで1日だけの管理医師案件が高額で募集されていた理由
今回は小ネタです。
「書き入れ時」とまで書いてしまった(が実際は厳しかった)11月の総評を出そうと思っているのですが長くなりそうなのでいくつかに分けてみます。
1時間や30分だけのインフルワクチン問診の案件で、管理医師を募集されているのを目にされた方も多いかと思います。Xで時給8万だの10万だので騒いでいたのは全部これです。
私は時給ではなく日給で見ますので、遠いところまでわざわざ赴き30分だけ働いて4万や1時間やって8万では全く割に合わないと思っています。さらにここは交通費が上限2000円ですのでそれを上回る分は自腹となります。新幹線を使い1万円足が出る場合、税金で引かれる50%を考慮すると実質給料から2万円引きみたいなものでさらに割が合いません。
時給10万円と書くと医者がワクチンで大儲けしているという印象を与えるが
— のの子 (@DeparturesDr) November 19, 2024
(1日で新車買えるとのコメントもあり)
実態は
往復4時間+勤務1時間でトータル5時間
交通費は往復新幹線で15000円かかるが、2000円しか支給されない
実質5時間拘束で手取り37000円だからそこまで美味しくない案件です😅 https://t.co/Ne82d13U2E
前置きはここまでにして1日だけの管理医師を募集しないといけなかった理由を解説します。
コロナ前から巡回健診をする場合はクリニックがある場所の都道府県と巡回健診先の都道府県が同一であることが条件でした。これが令和4年のコロナ禍の時に厚生労働省より特例措置として同一の都道府県でなくても一時的に認める旨が全国の保健所に配信されました。
巡回診療及び巡回健診の実施は診療所所在地と実施場所が同一都道府県であることが条件でした。令和4年2月9日厚生労働省医政局総務課より「新型コロナウイルス感染症に対応するための「巡回診療の医療法上の取り扱いについて」等の読替え」の通知が都道府県にだされ、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大下における巡回診療の臨時的・特例な取扱いとして、同一都道府県の条件が緩和されました。
この取り扱いが今年(令和6年4月)よりなくなりました。コロナ前も存在していたルールだったのですが今まではなぁなぁだったそうです。
特別扱いが解除されたことにより保健所も気付き、ちゃんとこのルールを守ってねとクリニックに周知したそうです。
ここから下は伝聞です。
実際には都道府県によって厳しさが違うようで、昔から隣県に巡回健診をやっているクリニックとかは黙認?されている所もあるそうですが残念なことに東京都は厳しいようです。
そういう場合はどうするのかというと、保健所もそこは考えていて1日だけ臨時開設という形で認めているのだそうです。当日に廃業してねということで開業届を出してもらうそうです。
そのため1日だけの開設管理医師が募集されていたというわけなのですね。
以前のnoteでも書きましたが、時給〇万のバイトがあると煽りインプレッションを稼いでブログやアフィリエイトに誘導するのはよくないと思いますし、特に管理医師のリスクがわかっていない若手医師にとって悪影響だと思っています。
名義貸しのリスク🥲
— あらきん 👩🏻💻弁護士 (@arakin_1019) November 19, 2024
部外者(内装工事業者)からすると実質オーナーと雇われ院長との間でどんな話になっていたかなんて関係ない。 https://t.co/j1qSbLwCV1
ここからの話は先ほどまで取り上げたクリニックとは無関係の話で、一般的な管理医師のリスクについての話です。
法律には詳しくはありませんが、管理医師は連帯保証人のようなものだと考えています。しかも借金額がわからない連帯保証人です。
何より簡単には辞めることができないというのがとても大きいです。どんなブラック企業でも雇用契約である以上は辞められるんですよ。
しかし管理医師は弁護士を立ててもそう簡単には辞めることができません。弁護士に頼む費用を考えれば着手金だけで30万とかいきますし、私としてはたとえ時給〇万円だったとしても割に合わないと思ってしまいます。
名義貸しは実質取り締まられないと言っている方もいますが、問題は保健所だけではありません。それを知った反社半グレが強請ってくることもあるということです。
具体的な話は口が裂けても言えませんが、怪しい人間や会社も多いですから私たちは気を付けなければいけませんね。