スポットバイト医はどこに住めばよいのか -東京都民の車通勤、駐車場事情を考察-
私は現在急性期病院をドロップアウト後、定職に就かず日雇い労働に従事しています。電車やバスなどの公共交通機関だけではなく、勤務地によっては車通勤することもあります。四方八方に出張しているため、どのルートが混むのか、車通勤を考えて住むならどの場所が良いのかを自分なりに考えてきました。
今回は東京都内から関東全域まで出張している私が、専門科不問の出張健診(スポットバイト)をするにあたってどこに住むのが良いのか、何を重点的に考えていかないといけないのかを言語化していきます。
山手線の内側にお住いのパワーカップル(たいてい夫婦ともに医師)は想定しておりません。1馬力の医師であることを前提に考察しました。
多種多様な意見があるとは思いますが、あくまで個人の独断と偏見に基づいた話です。高速道路事情について熱く語りすぎな気もしますが、どうかご容赦ください。
1.東京都の駐車場の特殊性
都心に近ければ近いほど駐車場の値段が上がるという単純な話ではありません。まずは東京都独自(と思われる)の問題点と、都内で駐車場を探すときの注意点を書いていきます。
①おとり物件(おとり駐車場)の存在
皆さんは引っ越しを考えるときにSUUMOなどの大手ポータルサイトで物件を探すと思います。
東京都と他の県の違いは掲載されている物件の大半がおとり物件の可能性があるということです。
「おとり物件」とは、不動産ポータルサイト(SUUMOなど)に掲載されているのに、「現実に存在しない物件」「建物はあるけれども実際には入居できない物件」のことをいいます。
特に3月末の引っ越しシーズンはこれが顕著で、同一物件を多数の業者が掲載していたりすでに埋まっている物件を掲載し続けていたりしており今現在募集中の物件がどれなのか大変わかりにくくなっています。
本当の情報はREINS(国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステム)というサイトにしか載っていません。
そしてREINSは不動産会社しか見れません。私は目の前でREINSを検索してもらったことがあるのですが(本当は見せてはいけないらしい)、SUUMOで検索すると1700件もヒットして物件がたくさんあるように見えてもREINSでは50件もヒットせずに驚きました。
SUUMOでは3月末入居可と表示されているがREINSでは4月中旬入居可になっているといった微妙な違い(故意かどうかは不明ですが)も何件かありました。
良さそうな物件も何人も順番待ちに並んでおり(不動産屋が「並ぶ」と言っているのはREINSの申し込み順のことでクリック一つで出来ます)自分に順番が回ってくるのかわからない状況でした。
都内に3月末に転居しようとするのは過酷ですし、当然高額な家賃設定になっていますので気を付けてください。
賃貸についても言いたいことは多々ありますが、今回は駐車場の話なのでこれくらいにしておきます。
「月極 駅名 駐車場」で検索すると下記のようにたくさんヒットすると思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1733008048-0lx3q4cMiRpTJGYvX7njEIuC.jpg?width=1200)
これは大島駅周辺の月極駐車場の画像です。
本当にここに掲載されている駐車場は空いているのでしょうか。大島駅周辺の実態は知りませんが、私の家の近くで掲載されていた30件ほどの駐車場はすべて募集が終わっておりました。
先ほどの賃貸の話と同様に本当の情報はREINSに載っています。私の場合は(REINS上では)周囲に空いている駐車場が存在しなかったため結局現地で歩いて探しました。賃貸物件と違いREINSに載せていない駐車場も存在するということで、歩き回って探すのも手です。
②月極駐車場より時間貸し駐車場の方が貸主は儲かる
不動産屋から直接聞いたのですが、最近は時間貸し駐車場の方が儲かるから新規で月極はなかなかでないそうです。法律には疎いのですが、月極駐車場は借地借家法の対象外のため、いきなり契約を終了して時間貸し駐車場にすることも可能なのかもしれません。
このため都内(特に都心)は空いている駐車場自体が存在しない、または存在しても強気の値段設定になっていることがしばしばあります。私が見た中で最も高いものは月11万円です。家ではなく駐車場の話です。
③東京都というだけで値段が跳ね上がる
東京都に隣接する県境の駐車場の値段を比べてみると5,6000円高いこともあります。一駅違うだけで駅前の立体駐車場が東京22000円、千葉17000円だったりします。さらに言うと、千葉県側は即日使用可にも関わらず東京都側は順番待ち10人なんてこともあります。
まとめると都内(主に23区)は駐車場の争奪戦が起こっており、価格が上昇しているだけでなく借りること自体が難しい状況になっています。
法律で車庫は自宅から2km以内と決まっているため車を置く場所はどこでもいいわけではなく、家の場所次第では相当な金額を出す必要が出てくるかもしれません。
東京は本当に駐車場を借りるのが難しい。置きたい車の重量、幅、高さ、全てをクリアする屋内駐車場を徒歩圏内で探すのが大変。高くていいから、近くに欲しいと思う人多いだろうと思ったら、僕の周囲はみんな同じだった。それで、また商売を思いついて動きたくなる。思考が商人過ぎて、ほんと忙しい。
— 中野優作|人生に愛車を。 (@yuusaku_buddica) September 5, 2024
④高級車や(普通乗用車における)大型車に注意
医師はベンツなどの外車に乗っている方も多いかと思います。
都内の駐車場は狭く、幅が大きかったり縦に長い外車は探すのに難渋することがあります。
様々な車を運転しているとわかるのですが、幅や長さは10cm違うだけで都内の運転のしやすさは大きく変わります。
田舎の駐車場は何も書いていないことも多いのですが、都内の駐車場は縦横長さの制限があります。縦は5メートル、横は1.8~2メートル、高さはハイルーフ車NG(主に機械式駐車場)などがよく見かける記載です。
長さ5メートルを超える車は駐車場を探すのがかなり難しいのではないでしょうか。ちなみに大型車のイメージのアルファードは全長 4,995 mm x 全幅 1,850 mm x 全高 1,935 mmです。このギリギリ5メートルを超えず全幅も1.85メートルに収めているところにトヨタの芸術性を感じます。
同じく大きな車のイメージでもあるハイエースはコンパクトカーと同じ横幅(1690mm)の車も存在します。このあたりはさすがトヨタで、日本の駐車場や道路事情によく対応している印象です。
⑤機械式駐車場
突然ですが機械式駐車場の耐用年数はご存知ですか?
基本的に15年で部品等入れ替えなどをしっかり行って30年と言われています。
耐用年数を超えて使い続けると事故が起きます。金属が耐えきれずパレットが落下などすれば大惨事です。たまたま人がおらず誰もケガをしなかったとしても、車を出すことができず封印されてしまいます。
問題なのは都心近くの機械式駐車場は耐用年数が限界を迎えると短期間で転売を繰り返されるケースが存在するということです。
世の中には危ない橋を渡り歩く業者が存在します。利用者の知らないうちにババ抜きをしているということですね。
耐用年数をしっかりチェックしてから借りることをお勧めします。
2.東京都の中でも限られた場所に住まざるを得ない理由
いやいや埼玉県(千葉・神奈川)に住んで家賃も安く駐車場も借りればいいのではないかと思う方もいると思います。
東京近郊は家賃もそこまで安くないとか朝の満員電車は相当辛いと思いますがそれはさておき、埼玉県(千葉・神奈川も同様)に住んでしまうと車通勤できる場所が限られてしまう理由を説明します。
①朝の大渋滞
前回のnoteでも書いた通り埼玉県は横移動に弱く、県内の移動なのに一度東京都に出る必要があったりします。ここでの問題点は都心に向かう方向に朝5時前から大渋滞が起こっているということです。
わかりにくくて申し訳ないのですが高速道路の地図に赤い矢印を入れて朝の渋滞を表してみました。赤い矢印の向き先が渋滞の進む向きです。
![](https://assets.st-note.com/img/1733008285-plTXjnuI5WmEi8SGHcfy9sgo.jpg?width=1200)
赤矢印は筆者編集
首都高速5号池袋線、首都高速S1川口線、首都高速6号三郷線の3本が埼玉県から都心に向かって大渋滞を引き起こしているのですが、スポットバイトでの問題点は到着時刻が読めなくなることにあります。
正社員と違って決して遅刻するわけにはいかないため早く着く必要があるのですが、万が一を考えると朝4時には出発することになるかもしれません。
それが嫌であれば千葉の奥深くの案件は取ることが出来ません。
それでは千葉に住めばいいのかと言われるとそうとも言い切れません。
湾岸線(画像下側)、首都高速中央環状線(C2の北側部分)、外環道の3つはなぜか東から西側に向けて大渋滞をしています。
例えば湾岸線の場合、朝4時台から渋滞の気配が出てきており5時台に完成するようなイメージです。
こうなると反対に埼玉方面や群馬栃木方面に行くのも一苦労となります。
前回触れた葛飾区の金町に住むと車通勤が限られる理由もここにあります。金町の場合、最寄りICは四つ木となりますが中央環状線が東から西に渋滞を引き起こしています。
特に王子過ぎの飛鳥山トンネル前で完全に止まることもあること、5号池袋線は下りであっても渋滞していること、外環道に接続後美女木JCTから大泉JCTまで渋滞していることもあり関越道を通る場所に行くことが出来ません。常磐道や東北道経由の仕事に限られてしまいます。
②都内の車は増えすぎている
コロナ禍が過ぎ去り、電車通勤の人が増えて電車が混みすぎると毎年のように言っていますが車も同様に増えています。首都高もどこも明らかに渋滞の発生が多くなっているだけでなく、朝早い時間帯から渋滞が起きるようになったと感じます。
以前と比べて通勤に時間がかかってしまう分、より早めに家を出る必要があるわけで健診バイトの集合時間を考えると断念せざるを得ない仕事も出てきてしまいます。
③下道も当然混んでおり危ないところも
基本的に踏切は通らない方が良いです。東京都及び近郊は人通りも多く渋滞も発生しやすいからです。高速道路に早めにアプローチできないもしくはアプローチしにくい場所は住居として選ぶことができなくなります。
例えば津田沼駅周辺です。
![](https://assets.st-note.com/img/1733008674-LldUqF6cuhgb1IiSYfOe9otn.jpg?width=1200)
このように近いところに3つも駅があり踏切も多数あること、無茶な横断をする歩行者もおりヒヤヒヤさせられることからこのあたりの仕事は車通勤可能でも極力電車通勤を心掛けています。船橋周辺も同様だったと思います。
④神奈川は?
神奈川方面は都心からであっても何か所か渋滞することから二宮あたりなら意地でも電車通勤をするべきだと思っています。都心へ向かう方向ならなおさら渋滞しています。
車通勤になる仕事はたいてい悪名高き小田原厚木道路を通ることになります。いつ見ても誰かしらスピード違反で捕まっていることから神奈川での車通勤はオススメできません。
そもそも神奈川は医師の数が東京に次いで多いのか案件があまりありません。埼玉や千葉と比べてもほとんど神奈川に行くことはありません。
3.結局どこに住めばいいのか
私なりの結論を出します。いわゆる山手線の左下側になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1733011878-BGSy93LdAFWnqaPHwsfkibmE.jpg?width=1200)
この青い円に囲まれたあたりです。北側はもう少し上限を南側に下げ、南側は大井あたりまで含んでもいいと思います。
最初に伝えた通り山手線の内側に住んでいる人は遠方まで出張健診なんてしないと思いますので除いています。
ポイントは首都高の上り路線を使わないこと、C2山手トンネルは(朝の時間帯)内回り外回り共にそこまで混んでいないため山手トンネルにアプローチしやすいところです。
世田谷区や杉並区の一部は場所によっては上り路線を使用するため混んでしまいます。逆に辰巳あたりの江東区は渋滞を回避することもしやすいのではないかと思います。
個人的なポイントは紫の矢印で示した練馬ICです。ここに下道で(下り方向で)到達できる場所に住むことが一番大事だと思っています。
大田区や品川区に住んでいても山手トンネルの途中で降りて練馬ICに到達すれば問題ありません。
ただ練馬ICに近い場所や南東方向は家賃が高いにもかかわらず地獄の中央線や西武池袋線を使うことになり電車通勤がとても大変になります。
賛否両論あるとは思いますが、電車通勤も勘案すると山手線の左下側+新宿区+中野区+板橋区の一部というのが私の結論です。