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医師から見たサラリーマンのいいところ その③

前回のnote、医師から見たサラリーマンのいいところその②の続きで今回が最後である。


7.緊急の呼び出しがない/退勤後に電話がかかってこない

労働時間は科によるだろうし、一般的なサラリーマンとあまり変わらないかもしれない。しかし普通の病院に勤務する若手であれば(特にメジャーと呼ばれる内科や外科)は時間外に職場から電話がかかってくることがある。

この電話が仮に些細な事であっても対応するのはストレスになる。運転中など気が散って仕方ないし、就寝中なら睡眠不足になってしまう。そもそも今病院にいないわけで(休日だったり退勤後なので当たり前だが)、患者さんを気軽に見に行ける状況でないため電話越しに考え対応を指示するだけでも気を取られてしまう。

筆者は今すぐに出勤すべきかどうかを考え、上司に報告するLINEを打つのがとても億劫だった。

複数の知人に聞いたところ、サラリーマンも退勤後や土日に連絡が来ることはあるが無視してもかまわないし自分は返事をしないという人が多かった。若手医師の多くは、電話に出られないと上司に連絡が行き後ほど締められるためお風呂場にも携帯電話を持ち込むという人も多い。ここも医師業界の特殊なところだと思う。

特に悪しき習慣がオンコールだ。病院から30分以内の場所で常に待機するように求められるが、待機料は出ない。徒歩10分以内の場所に住んでいても出勤し着替えてカルテに救急科に行くだけで20分以上は必ずかかるため、遊びに行く余裕はない。

何より電話がかかってくるかもしれないという状態で寝るのはそれだけで緊張が取れないし間違いなく身体に影響がある。今はバイト医なのでそのような心配はなく、夜中はしっかり眠れるため幸せだ。

オンコールは病院ごとどころか同じ病院でも診療科ごとに定義が異なるため医師同士でも話が通じないことも多い。オンコールなどの労働環境に関しては別の記事でいつか書きたいと思っている。

8.日曜や祝日に出勤する必要がない

診療科によっては(病理や放射線科、麻酔科など)土日出勤はなかったりするだろう。外来しかしていない医師も出勤はしないだろうが、若手のうちは基本的に病棟に患者さんが入院しているため回診をする必要がある。病院によっては回診当番が決まっていたりするが、実際には若手ばかりが当てられていたりと就職するまでわからないのも嫌なところだ。

手当はなかったり2000円だったりするのでわざわざ日曜日に出勤しカルテに記載して時間を取られ、さらに検査をやっていたりするとまともに休めずストレスがたまる。

外では楽しそうにしている人たちが目についてしまい、周りの状況を羨ましく思ってしまうものだ。

9.人事課が強い(機能している)

医師の人事は医局や院長自身が握っており、病院の人事部には何の権限もない。そのためパワハラなどが起きても人事評価が下がることはない。

筆者は疲れて病院を辞める話をしていたところ、知人に「俺なら辞める時に人事課に(パワハラを)チクってやめるけどなぁ」と言われた。しかし人事課が機能している普通の会社と病院は違うため意味がないと思う。

このように勤務態度のフィードバックがかからない(給料に反映されない)ため、他の業界よりパワハラも起きやすいし問題を起こしたりする医師も多いと感じている。

ただ医師の場合何かあった時に辞めやすいというメリットはあるのでトータルでみればトントンかもしれない。しかし地域枠の場合は就職先も完全に縛られており辞めることが出来ず最悪だと思う。


以上である。
総合的にみればサラリーマンより医師の方が融通も効くし良いとは思っている。(地域枠を除けば)人にお勧めできる職業だ。
ただし世間で言われるほど完全な上位互換では決してないということは強調したい。


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