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ブラック病院への就職を避けるために若手医師が出来ること

ようやく朝は涼しくなりました。暑い夏もそろそろ終わりになりそうです。今年は職場環境に関するニュースも多かった一年ですね。

そこで今回はコネなど何もなく情報を得られない医学生や若手医師(初期研修医)がブラック企業に就職するのをどうしたら避けられるか考察していこうと思います。


前提:なぜブラック病院を避ける必要があるのか?

みなさんの同期でなくなった方はいますか?
同期と言うのか微妙ですが、私と同じ年に医師国家試験を受けた医師が過労死していたことが判明し驚きました。まだまだ若いはずなのに、です。

甲南医療センターの専攻医とは違う方です。このように文字通り命がけとなる勤務環境も存在します。病院は最先端の医療と言う前に、まずは労働環境から最先端にして欲しいですね。

『適応障害ですめばいいがうつ病までいくと大変』とは某精神科医の言葉です。交通事故と同じで遭わないことが一番大事です。

当たり前ですが残業代を支払わないといった違法行為に手を染めている病院に努めてはいけません。理由は単純でしっかりと法律を順守している病院が競争で負けてしまうからです。

それでも専攻医(後期研修医)期間くらいはがむしゃらに働けという先生も多いかと思います。合法かどうかはさておき、確かに個人の自由なのでそれは否定しません。

しかし私が主張したいのはそのリスクを取った先にリターンはありますか?ということです。そこを考えていないと過去の私のようにブラック労働に従事しても誰も評価してくれないという悲惨な状況に陥ります。

同じ専門医を取るのなら、同じ技術を得るのなら労働環境はホワイトであればホワイトの方が良いはずです。

ブラックなら辞めればいいとか労基署に申告すればいいと軽く考えている研修医も存在しますがそんなに甘くありません。ブラックなところは是正勧告を受けても、払わない宣言をしています。

労働基準監督官は司法警察職員だからなのか、従う病院も多いのですが…。

私が地域枠について疑問を書いたところほとんど公務員なので労基署は対応できないと言われましたが、今回の大崎市民病院は公務員のようなのに労基署から是正勧告が出ているそうです。この辺よくわかりませんね。

それにもかかわらず経営状態が悪いという理由で支払おうとしませんでしたが、全国ニュースになったことからか今後は支払う方向だといいます。

ブラック企業のよくある「労基法なんて守っていたら潰れてしまうよ」ですが、支払ったら本当に潰れるのか見物です。

例に洩れず私のnoteにエビデンスなんて存在しません。主観偏見マシマシで書いていきます。

昨今はやれ誹謗中傷だの信用棄損罪で訴えるだの不穏な情勢のため、記事の内容は最大限配慮した記載になることをご承知おきください。

1.Dr.JOY導入病院を調べる

Xでバズっていた勤怠管理システムです。

公式HPによると「働き方改革」を支援するコミュニケーションインフラだそうです。ということで導入している病院はホワイト間違いなしです。

ビーコンで位置情報を記録し働いているときと休憩しているときを自動で判別してくれるスグレモノです。医局にいるときは休憩とカウントしてくれるそうです。働きすぎと思われがちな医師にも好評です。

以前は導入病院一覧がネットで見れたのですが今はなぜだか見れなくなっています。ホワイト病院一覧なんだから見せてくれよ。

病院見学や説明会のブースで直接聞くしか知る方法はなさそうです。

2.有名チェーンのイメージを把握する

突然ですが、徳洲会にどういったイメージを持っていますか?

上の記事によると定時が8時-19時のようです。
救急車受け入れ台数日本一の湘南鎌倉病院は有名ですがどこも断らない救急をあげ、常に患者さんファーストで対応しているイメージです。

患者さんに個人的な携帯電話の番号を教えていつでもかけてきてくださいと言っている医師がいるという話も聞いたことがあります。圧倒的成長が見込めるかもしれませんがその熱量についていけないという人もいるかもしれません。


他にも済生会は忙しいが働いた分だけ給料がしっかり出ると聞いています。


民医連はどうでしょう。差額ベッドを作らないがモットーのグループです。私が研修医の頃見学した学生がよく聞いてくるのが「この病院は民医連の病院ですか?」でした。

いったいなぜ民医連であるかどうかを気にしているんでしょうか。
その答えはYouTubeで民医連の病院名を検索するとわかるらしいです。

日赤はどうでしょうか。研修医ですらPHSを自宅に持ち帰っているという噂は本当なのか気になります。

首都圏で展開している中央医科グループも要チェックです。
関連病院も含めて多数の病院があるためスポットバイトで検索するとよく名前が出てきますが、絶対に時給1万円未満で医者を雇うぞという熱意を感じます。バイトで時給1万切りの案件に応募するなよ。そして医療機関売上ランキングのランクイン常連です。儲かっているみたいですね!

他にもたくさんのチェーンがあると思いますが各々のイメージを作り、自分の姿勢と合わない病院は候補から外しましょう。余談ですが、医療業界は人件費の比率が高く人件費を抑えた病院こそが儲かります。

3.給料の相場を知る

実家激太で給料なんか気にしないという方も給料相場は知る必要があります。経験上高すぎても低すぎてもまずいです。スポットバイトもそうなのですが、相場の1.1倍や0.9倍を提示しているところは何かしら悪い噂がある病院が多い印象です。

普通の金額では人が来ないような労働環境(例えば常時オンコール、例えばの話ですよ?)だから1.1倍なんです。ホワイトな病院に勤めて休みがあればその時間にバイトも出来ますし、1.1倍程度の給料は余裕で逆転されます

私が常勤医の頃であれば首都圏(東京都除く)の後期研修医の月給は60,70,80(専攻医1,2,3年目)と言われていました。
今は状況がどうなっているかはわかりませんが、就職先を探す際は地域の相場を把握するのは必須です。

4.悪評が立っている病院は避ける

ネットで有名になっている病院は覚えておき避けましょう。

例えば某弁護士が担当した下記の裁判は医療法人社団誠馨会事件(千葉地判令5・2・22)になります。

逆張りは絶対にしてはいけません。

5.周囲の人の話に耳を傾ける

研修医の時は長時間労働に耐えられた人も専攻医の時は耐えられないかもしれません。労働の質が違うからです。

研修医は休みの日は電話がかかってくることは一切ありませんが、専攻医となればそうはいってられません。

甲南医療センターの方は研修医の時から甲南医療センターです。悪質な労働環境をなぜ知らなかったのか疑問に持たれている方もいるかもしれませんが、研修医で見える景色と専攻医で見える景色は違うのです。

だからこそ上司や先輩の言うアドバイスはよく聞いた方がいいです。

ネットでは「昔〇〇科にお前は向いてないって言われたけどそのまま続けてもう30年です。〇〇科を選んでよかった」なんて書き込みがバズりますがただの生存バイアスです。特にハイパー科は大量の屍が存在します。

周囲の発言は無責任ではありますが、言うからには何かしらの理由があるはずです。理由を聞けばその病院はブラックだからとかその診療科はほとんど辞めていくからなんてことを教えてくれるかもしれません。

病院見学先で「この病院はやめておいた方がいい」とこっそり教えてくれる人がいた場合は絶対にやめましょう。特に研修医がたくさんいるのにその病院の専門医プログラムには誰もいかないような大病院は要注意です。


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