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コロナワクチンバイトが診療科の給与格差をあぶり出した話 

今回は回顧録です。医師の給料って公開されていませんし、聞くわけにもいかず年次や診療科によってバラバラで実際のところはわからないですよね。

診療科ごとや地域ごとの年収のデータは転職業者が出しているものくらいで、オフィシャルと呼べそうなものは消化器外科学会の集計データくらいしかありません。
Xで話題になっていたので消化器外科医の年収データの存在を知ったのですが、他の学会も出してほしいですね。

転職業者は「あれ?私の年収低すぎ?」と思わせて転職させるのが狙いですから実際の年収とは違う可能性も大いにあるわけです。


勤務医の平均年収は厚労省によると1428万だそう


診療科別
画像2枚ともhttps://www.doctor-agent.com/contents-career/annual-incomeより引用


私が以前総合病院に勤めていた時、コロナワクチン1・2回目の職域接種を院内で募集していました。それに応募した医師達を見ていると図らずともおおよその給料が見えてきました。

例のごとく私にエビデンスなんぞありませんし、少ないn数で全体を語っております。偏見に満ち溢れた内容ですが、どうかご了承ください。

当時は医療従事者などをエッセンシャルワーカーと呼び職域接種を優先で行っておりました。そこで地域で最も大きい病院が周辺の医療従事者含めてワクチン接種を行うことになったわけです。

1コマ半日(約3時間)を土日祝日を含めて毎日、1か月間続けてやるため院内メールで医師を募っておりました。時給は1.5万、だいたい半日で4.5万ほどの給料です。

この募集に殺到する様子をみて私は絶望しました。時給1.5万とはいえ半日わざわざ働いて4.5万ですよ、

専門医・指導医の資格を大量に持って病院のホームページに載せてる凄そうな先生って大きな病院には必ず一人いるじゃないですか。そういう先生方も次々に申し込んでいました。

ブラック労働に耐え論文をいくつも書き、競争に勝ち出世した人たちが半日4.5万のバイト募集に必死になる姿を見てこの先の到達点の限界を感じました。これも常勤医(正社員)を辞めようと思ったきっかけの一つです。

各科とも割と応募していたなという印象ですが例外は麻酔科です。レジデント(後期研修医/専攻医)含め誰一人も応募していませんでした。麻酔科医からすれば半日4.5万なんてアホらしくて働けないんでしょう。

眼科の先生は応募していましたが平日のみでしたね。研究日が午後だけ半日というパターンの先生方も多かったからか平日は瞬く間に埋まりました。

内視鏡バイトが儲かるなんて医学生や研修医は思っているのかもしれませんが、内視鏡専門医・指導医を持ちダブルバルーン内視鏡や何か特別な手技も出来る先生方もこぞって応募していました。ここでは詳しくは書きませんが、内視鏡バイトは修練期間の労働環境・手技自体のリスク・裁判沙汰を考えると親のウハクリを継ぐことが出来るなどの一部例外を除いてペイできないと思います。
せいぜい問診聴診のみの健診バイトより少しだけ時給がいいくらいです。

ちなみにこの時期のワクチンバイトは日給14万とかの時代です。病院はどんだけ中抜きしていたんだよって話ですね。

さらに言うと私が所属していた診療科はレジデントの応募をすべて禁止していました。病棟業務に集中してほしいという理由でしたが、いい話はスタッフ(指導医/上司)だけで回そうとする必死さにドン引きです。
スタッフは病棟に集中していないのか?と言いたくなります。
というかそんなに美味しいバイトでもありません。

他の診療科は「レジデントは給料が低いのでレジデント優先で枠に入れます」と書いているところもありました。わざわざ院内メールで流すくらいですから、上ばかりで独占しないで若手に譲ってあげろよと苦言を呈したかったのかもしれません。

一方で我が診療科は本当に情けない…。

今ならわかるんですが半日で4.5万の案件に部下を蹴落としてでも奪おうとする奴らは年収2000万もないですよ。
私は今資産形成期で無茶して働いていますがそれでも日曜は半日5万から、それも早く終わりそうな案件にしか申し込みません。

年収2000万あってもさらに稼ぐために働く人もいるという意見もあるかとは思います。ただ年収2500万近くまでいくと基礎控除がなくなる領域で効率が悪いので半日4.5万程度は無理に申し込まないでしょうし、3000万あったら絶対やらないでしょう。

Xでは年収2000万は最低限みたいな扱いですが、急性期の大半の医師は2000万ないかその辺りと思っているのはこういった経験からです。

あれだけ専門医/指導医を持っている人たちでも給料は意外と大したことないのかなと思いましたね。

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