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『狼くんを落としたい』 第14話




○○家

麻:「今日は私が料理を振る舞うからね〜!」

私たちは○○と彩ちゃんのお母さんに
おもてなしをしてもらっていた。

菅:「美味しい〜♪」

一:「でも、○○のほうが…美味しいような…」

麻:「今、なんて?」

麻衣さんは微笑む

一:「いや、何でもないです!」

普通に失礼ですよ。

私、美空、桜、咲月、彩で食卓を囲む

桜:「○○と一緒にいれると思ったのに。」

一:「茉央も酷いよね。」



そう。○○と茉央がいない。
2人はデートしているみたい。

せっかく、麻衣さんがおもてなししてくれるのに

麻:「まあ、いいじゃない。」

麻衣さんは次の料理を机に運ぶ

麻:「で?皆は○○のことが好きなの?」

一:「はい!全員そうです!」

和:「私は違うよ!///」

桜:「和も好きでしょ。嘘つかないで。」

和:「だって、分からないから…//」

皆、彼のことが好きだけど
正直、私は分からない

麻:「和ちゃんも多分、好きになるとして…」

え、確定なの?

麻:「他の子は○○とどこまでいったの…?」

麻衣さんは小声で喋る

彩:「いい歳した大人が色恋…」

麻:「彩?」

麻衣さんは彩ちゃんに微笑む

彩:「な、なんでもない…」

麻:「それでどこまでいったの?」

一:「私は恋人繋ぎを…///」

桜:「私は一緒に寝て…///
あ、でも…変なことはしてないので!」

みんな、楽しんでいるね。なんか羨ましいかも。

菅:「私はキスしました。」

はぁ⁈ キス⁈

麻:「キス?」

麻衣さんは目を見開いている

一:「咲月!どういうこと!」

美空は咲月の胸ぐらを掴む

菅:「私がデートの時に一方的にしたことだから!」



初めて聞いたんだけど。

桜:「私もキスすればよかった…」

一:「私も…ディープやるのに。」

想い人の親の前で何を言っているのだ。

私もキスには興味あるし
人なのでその先も興味あります…///

麻:「本当に○○のことが好きなのね。」

一:「はい!」

麻:「あの子のことを見守ってくれる?」

菅:「もちろんです!」

麻:「ありがとう…。」

麻衣さんは安堵した様子だった。



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嵐噴岩

五:「着いた!」

私と○○は嵐噴岩に着いた。

○:「ラフな恰好にすればいいのに。」

彼はTシャツに長ズボン

五:「幼稚園の遠足もちゃんとした恰好だったからね。」


あの頃に近づけたかった。

五:「幼稚園の頃のことを覚えている?」

歩きながら、私は彼に問いかける。

○:「うん。といっても最近思い出したけど。」

五:「幼稚園の頃だから当然だよ(笑)」

〇:「茉央はいつも友達と遊んでいたよね。
でも、僕はずっと一人だった。」

そう。彼はずっと一人で遊んでいた。

虫をずっと眺めていたり、本を読んでいた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

五:「○○君は一人で
作業するのが好きだからね。」

和:「そうなの?」

五:「同じクラスの時に
そういう場面が多かったの。」

和:「初知り。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

和に言いそうになってしまったけど。

五:「高一の時は虫の観察をしていなかったね。」

○:「僕も成長したから(笑)
ただ、図書室で本ばかり読んでいたから
一人でいる癖は抜けていなかったけど。」

五:「私だけだよね。幼稚園の時。
あなたに話しかけていたのは。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○:「〜♪」

五:「ねぇ、○○君。一緒に鬼ごっこしようよ!」

彼はサクラの木の下で虫の観察をしていた

五:「おーい。」

○:「こっちのほうが楽しいから嫌だ。」 

五:「遊ぼうよ~!」

〇:「い・や・だ!!!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○:「あの頃から狼だったかもね。」

五:「私、悲しかった。○○と遊びたかったのに。」

○:「ごめん…」

五:「でも、こうやって
今は話せているからいいよ♪」

私は幼稚園の時から彼のことが好き。

彼がサクラの木の下で目を輝かせながら
本を読んだり、虫を観察している姿に惹かれた

好奇心旺盛なところが好き。

一緒に学んでみたいと思っていた。

でも、私は卒園を機に引っ越してしまい
小学校で彼と一緒になることはなかった。

五:「好きだったの。○○のことが。」

○:「えっ…?」

五:「好奇心旺盛で笑顔が素敵で
ちょっと、泣き虫でネガティブ。」

○:「泣き虫って…今はそんな事ないけど。」

五:「幼稚園の頃のイメージだから。
でも、笑顔が素敵なのは何も変わっていない。」

五:「私が隣じゃダメかな…?」

咲月も桜も美空も和もみんな手強いから
私があなたの隣にいれるのかは分からない

分からないけど、伝えたい

あなたのことが好きだから

○:「ごめん…今は決められない。」

五:「うん…」

○:「それに僕は誰も選べないのかもしれない。」

五:「なんで…?」

○:「誰かを選ぶと傷つく人がいるから…」

彼は本当に優しすぎる
でも、そんな優しさは…

五:「そんな優しさは必要ないよ…
中途半端なことはしてほしくない。」

五:「フラれるよりも辛いことだから。」

皆、あなたに決めてほしいと思っている
急がなくてもいい。
ゆっくりでいいから。

五:「私は○○が桜を選ぶと思っている。」

○:「なんで?」

五:「サクラが似合うから♪」

○:「それは木のサクラでしょ?」

五:「桜とアイドルのことを話す○○は
一番楽しそうだよ♪」

○:「…茉央は僕と桜をくっつけたいの?」

五:「だって、桜と○○がアイドルについて
盛り上がらなかったら、私たちと
仲良くなっていないと思うし。」

○:「確かにそう言われてみれば…
美空と話すこともなかったかな。」

五:「でも、私を選んでほしいと思っているよ。」

他の人に渡したくない。

○:「そういうこと言われると迷う…」

五:「でも、必ずあなたは誰かを選ぶ。
私の勘がそう言っている。」

いざ、という時…あなたは決める。

○:「何それ(笑)」

私たちは談笑しながら、歩いた。

五:「あ、和たちに連絡してもいい?」

○:「なんで?」

五:「迎えとかお願いしたいでしょ?
ほら、帰るのが楽になるから♪」

早く、麻衣さんともお話ししたいし

五:「[嵐噴岩でデート中と…
終わったら、迎えにきてほしいと
○○のお母さんに伝えてくれる?]送信!」

五:「今日は○○の家でお泊まりするから、
早く帰らないとね。早く頂上に行こう?」

早く帰らないとみんなに怒られそうだし。

○:「そうだね……」

私はここで引き返せばよかった。

そうすれば、あんなことは起こらなかったのに…

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〜♪(通知音)

和:「茉央から連絡きた。」

一:「イチャイチャしている写真?」

妬みがひどいな。

和:「ううん。迎えにきてほしいだって。」

一:「勝手にデートして
迎えにきてほしいとは都合のいい女だ。」

そこまで言わなくても(笑)

和:「麻衣さん、お迎えいけます?」

食器の片付けをしている麻衣さんに声をかける

麻:「いいけど…場所はどこ?
今日、○○に聞いても教えてくれなかったのよね。」

和:「場所は嵐噴岩って書いてあります。」

麻・桜・彩:「えっ……」

麻衣さん、桜、彩が同時に声を出す

桜:「ねぇ!!!本当に嵐噴岩って書いてあるの⁈」

桜は目の色を変える

和:「うん…そうだけど…何、驚いているの…?」

彩:「お母さん、早く迎えにいかないと!」

麻:「う、うん…」

麻衣さんも動揺している様子

嵐噴岩に何があるっていうの…?

麻:「皆、今から迎えにいくよ。車に乗って。」

一:「大事みたいだね…?」

菅:「う、うん。」

桜、彩ちゃん、麻衣さんの三人が
動揺する理由が分からないまま

麻衣さんの車に乗った。

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五:「もうすぐ、頂上だよ!」

○:「う、うん…」

私は彼の手を引く

五:「着いた…!」

そして、頂上へ着いた。

私たちはベンチに座り、景色を見渡す。

昔、彼と何度も見た景色。

五:「やっぱり、綺麗だね。ここの景色は…」

○:「はぁ…はぁ…」

彼も疲れているみたい。

五:「お水飲む?」

私はリュックからお水を取り出すが

五:「○○?おーい。」

彼は私の呼びかけに応じず…

五:「○○…⁈///」

彼は私の肩に寄りかかる

五:「私、汗かいているから…」

匂いがするかもしれないから
ちょっと、離れてほしい…///

○:「…」

五:「○○…?」

彼の目は虚になり、黙ってしまった。

五:「ねぇ…!○○!!」

私は彼の体をゆするが彼は反応しない。

五:「どうしたの!ねぇ!」

本当に何も反応しない。

五:「どうしよう…」

こんな彼は見たことがない
幼稚園の時も高校の時も…私は何をしてしまったの?

五:「○○…」



私が困っていると…

麻:「いた…」

彩:「お兄ちゃん!!」

麻衣さんと彩ちゃんが来た。

麻:「○○?私だよ。聞こえる?」

○:「(こくっ)」

彼は麻衣さんの呼びかけに応じる

彩:「お兄ちゃん、歩ける?」

彩ちゃんの呼びかけにも応じる

麻:「よいしょ…」

麻衣さんと彩ちゃんは彼の体を支える

五:「あの…麻衣さん…これって…」

麻:「話は後で。帰るよ。」

五:「は、はい…」

私たちは急いで、駐車場に向かった。

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桜:「茉央!!!」



駐車場に着くなり、私は桜に胸ぐらを掴まれた

桜:「なんで!ここに彼を連れてきたの!!!」

彼女は涙目で私に問いかけてきた。

五:「…」

桜:「答えてよ!!!」

私は桜がこんなに怒る理由が分からなかった。
私はただ純粋に彼と思い出を共有したかっただけなのに。

和:「桜…!一旦、落ち着いて!」

和は桜を抑える…

麻:「桜ちゃん、車に乗って。
今は帰ることが優先だから。」

麻衣さんは桜を宥める

麻:「茉央ちゃんも。あなたは何も悪くないから。」

五:「…」

麻:「桜ちゃんも冷静になって。」

桜:「は、はい……ご、ごめん…茉央…」

私たちは車に乗り、○○の家に戻った

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私たちの間の空気は重かった。

麻:「今は部屋で寝ているよ。
彩と桜ちゃんが見守っているから大丈夫。」

五:「麻衣さん…
私は彼に何をしてしまったのですか…」

和:「茉央…」

茉央は涙を流しながら、麻衣さんに聞く

麻:「その前に…
茉央ちゃんは何であの場所に連れて行ったの?」

五:「私は彼と同じ幼稚園で…
遠足で何度も嵐噴岩に行ったから…
そこに行けば、あの頃の思い出を
共有出来るかなと思って…」

嗚咽しながら、彼女は声を振り絞る

五:「ごめんなさい…」

麻:「謝る必要はないよ。
あなたが○○の過去を知らなかっただけ。
それに○○が幼稚園の頃のことを
私も知らなかった。」

和:「どういうことですか?」

一:「過去ってなんですか?」

菅:「教えてください!」

麻:「それは本人が話すこt…」

ガチャ…(扉の開閉音)

○:「…」

麻:「○○⁈ 体調は大丈夫なの?」

○:「う、うん…」

桜:「もう少し休んでいたほうが…」

彩:「そうだよ。」

彩ちゃんと桜は彼を止めようとする

○:「僕だって、昔よりも成長しているから…」

彼は涙を流す茉央の元に向かう。

○:「茉央。泣かないで。」

五:「私は○○のことを何も知らなくて…」

○:「僕がみんなに話さなかったのが悪い。
皆んなをもっと信頼するべきだった。」

○○は茉央の背中をさする

○:「お母さん。彩。話してもいい?」

麻:「どうぞ。」

彩:「こくっ(頷く)」

彼はスマホを取り出し

○:「何から話せばいいのか分からないけど…」

彼は写真を1枚見せる。

和:「写真…?」

一:「これって、桜のお母さんが見せてくれた。」

小川家と川﨑家の写真だった。

菅:「○○がその日は
休んでいたと言っていたやつだよね?」

○:「うん。でも、ピンポイントで
その写真の日のことを思い出せると思う?」

一:「○○なら出来るよね?記憶力もいいし。」

確かに○○なら昔の出来事を思い出せる気がする

○:「それなら、小川家と川﨑家の
関わりも覚えていると思うよ。」

和:「確かに…あの時、○○は…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

桜母:「○○くんもこんなに立派になって…」

和:「○○くんも会ったことあるの?」

○:「覚えていない…」

桜母:「桜が小さい頃に小川家と
うちは関わっていたことがあるの。」

○:「へぇ…」

○○くんは何にも覚えていない様子

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○:「あの日、僕は写真に写っていない理由を
咄嗟に嘘をつかなければならなかった。」

○:「僕が昔の小川家の写真に
写っているわけがないから。」

和:「待って…それって…!!」

○:「僕は…」


○:「彩と血の繋がりがない。」


○:「僕はこの家に引き取られて
彩と義兄妹になった。」

彼は淡々と話す

○:「僕がこの家に引き取られた理由は
両親の遺言書があったから。」

一:「本当の両親は亡くなっているの…?」

○:「うん。母親は病死。父親は嵐噴岩で倒れた。」

五:「だから…嵐噴岩で…」

あの場所がトラウマだったんだね…

一:「でも、なんで…
桜のお母さんは○○のことを知っているの?」

確かに桜のお母さんは○○と
会ったことがある素振りを見せていた。

○:「僕もそれが気になっていたから
桜のお母さんと話をした。」

○:「そうしたら、この写真を見せられた。」

彼はもう1枚写真を見せる。
女の子3人に男の子1人の写真…

五:「あっ…○○だ。」

和:「この男の子が?」

五:「うん。幼稚園の頃の。」

一:「これが彩ちゃん…桜で…
もう一人は…女の子でいいの?」

○○が女の子にくっついている。

○:「これは僕の実の姉。」

和:「お姉さんはここに引き取られなかったの?」

○:「僕と姉は別々の家に引き取られた。」

桜:「…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

桜:「○○くん…?」

○:「この写真について…今から話すよ…」

今、彼がみんなに話していることを
私はお泊まり会の日に聞いた。

桜:「そ、そうなんだ…」

私と彼は幼少期に
一度だけ会ったことがあるみたい。
だから、この写真が存在する

桜:「お姉さんはどんな人だったの?」

○:「姉は…優しくて
僕のことを考えてくれる人だった。」

彼の目に涙が溜まる

○:「いつも…僕は姉に迷惑をかけてばかりだった。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

数年前…

○:「お姉ちゃん。カマキリ。」

?:「もう、夜だよ?今はお風呂に入る時間!
カマキリのことは後にして。」

○:「お姉ちゃんと一緒に入るのならいい。」

?:「もう…。」

僕は何でも姉と一緒。

○:「お姉ちゃん、何作っているの?」

?:「お味噌汁!お母さんが退院した時に飲んでもらうの!」

〇:「なんか、しょっぱい…。」

?:「うそ!」

〇:「僕も一緒に作る!」

母親は病で僕が幼い頃から
入退院を繰り返していた。父親は仕事で家を空ける日々。

ずっと、1人でいた僕を姉はいつも誘ってくれた。

そして、ある日…
父と姉と嵐噴岩に散歩に行くことになった

僕が嵐噴岩に行くことを提案した

○:「高いところから街を見渡せるのが良い♪」

?:「○○は高い場所が好きだよね。観覧車もそうだし。」

○:「ジェットコースターは嫌だけど…」

○:「茉央ちゃん元気かな…?」

?:「別の小学校に行った子?」

○:「うん…茉央ちゃんは
幼稚園の時に仲良くしてくれたから…」

?:「いつか、会えるよ。」

○:「お父さん、寝ているのかな?」

僕たちが頂上の景色を見ている間
父はベンチに座っていて
眠っているように見えたが…

ドサッ…

?:「お父さん!!」

○:「お父さん…??」

眠るように死んでいた。死因は分からなかった。

そして、その日のうちに…

麻:「七瀬!!!」

?:「お母さん…(涙)」

○:「…」

入院していた母親の容態も急変して、そのまま…

小さい頃から自己評価が低かったが
この出来事によりさらに低くなった

嵐噴岩に行ったせいで…

と何の関係もないのに結びつけた。

姉と母の親友だった麻衣さんは
僕のせいではないと何度も言ってくれた

そして、両親の葬儀の翌日に遺言書が見つかった。

そこにはこう書かれていたらしい。

??は〜〜家に。
○○は小川家に引き取ってもらう

遺言書通りに僕たちは離れ離れになることになった

麻:「○○くん。お姉ちゃんとお別れだから。」

○:「うん…」

?:「そんな顔しないで。また、会えるから。」

○:「約束だよ。絶対だよ。」

?:「また、いつか一緒に住もうね!」



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姉と離れ離れになり、4年が経過した頃

○:「〜♪」

彩:「お兄ちゃん、何してるの?」

○:「数学。お母さんが買ってきてくれたの。」

彩:「ぜんぜん、わからない…」


一人遊びがエスカレートして
僕は小学生にして、大学レベルのことが
出来るようになった。

麻:「○○?話があるの。」

○:「なに?」

麻:「あなたのお姉ちゃんは死んだ。」

〇:「え…?」

麻衣さんにそう聞かされた。
姉は近くの川で遊んでいる途中に亡くなったらしい。

麻:「この文章が残されていたの。」

そこには

○○とお風呂に入りたい
○○と観覧車に乗りたい
○○と料理を作りたい
○○に会いたい………

と書かれていた。

僕はその時気づいた…

○:「ねぇ、お母さん。
僕はお姉ちゃんに会いたいと言ったことある…?」

一人遊びに熱中していたせいで
姉のことをすっかり忘れてしまっていた。

今でも姉の名前と声を思い出すことが出来ない。

姉は僕が会いたいと言ってきたときだけ
僕と会うつもりだったみたい

僕は自分勝手だと気づいた。

だから、その日から決めたんだ。

〜〜〜〜〜〜~~~~~

○:「僕が誰とも関わらなかったのは
大切な人を作りたくなかったから。」

和:「大切な人を作りたくなかった…?」


○:「大切な人が増えるほど
僕は一人一人を軽視してしまうと思っていた。」

彼は2枚の写真を手に取り、話す

○:「でも、今は違う。
友達がいるのが楽しいと思えるようになった。」

○:「それはみんなのおかげ。
だから、この事を話そうかなと思った。」

彼は2枚の写真をしまった。

彩:「お兄ちゃん(涙)」

彩ちゃんは涙をぼろぼろ流す

一:「○○(涙)」

美空も涙を流す

○:「なんで、美空も泣くの?(笑)」

一:「家族がみんないなくなったんでしょ…?
そんなの辛くて…私には…」

○:「そんな顔をしないで。
美空に泣き顔は似合わないから。」

一:「ありがと…」



美空は涙を拭く。

○:「ごめん…。
ちょっと、疲れたから寝てもいい?」

麻:「今、寝ると夜に眠れなくなるよ?」

時刻は18:00

○:「普通に今日は疲れたから寝たい。」

麻:「お風呂は入りなさいよ。」

○:「はいはい…」

嫌そうに彼はリビングを出ていく

________________________________


菅:「この後、どうする?」

和:「なんか、遊ぶ気力がなくなった。」

しんみりとしてしまった。

麻:「じゃあ、私があなたたちに
これをプレゼントしてあげる!」

麻衣さんは私たちに封筒を渡した

和:「何ですか?これ。」

中にはチケットらしきものが
大量に入っていた。

桜:「これって!NEGAの握手会の!」



桜のテンションが急に上がる。

麻:「特殊ルートで手に入れたの。
○○と一緒に行こうかなと思って!」

毎回のように彼は握手会に参加しているらしい。

桜:「さくちゃんの券はほとんど当たらないのに…。」

和:「へぇ〜。」

さくちゃんが一番人気なんだ。初めて知った。

一:「いや、さくちゃん以外の
メンバーもほとんど当たらないよ!」

「NEGA」はそんなに人気なんだ。

五:「っていうか、全員分入っている?」

麻:「もちろん!」

菅:「ありがとうございます!」

彩:「でも、お母さん。
この日、お兄ちゃんは用事あるよね?」

麻:「嘘⁈…あ、本当だ…」

彼は絶対外せない用事があるらしい。

それでも、私たちは
券をもらったので行くことを決めた。

その日の夜は○○も寝ていたので
私たちは握手会のためにNEGAのライブ映像を観た。

桜と美空がNEGAについて
熱く教えてくれました

たくさんの情報を一気に教えられたせいで
私たちはいつの間にか寝落ちした。

翌朝 4:00

〇:「あの日、彩が泣いていたのは何だったんだ?」



~~~~~~~~~~~~



○:「お母さんに何かされたの?」

なんで、こんなに泣いているのかが分からない 

彩:「何を聞いても…お母さんを怒らないで…」



~~~~~~~~~~~~

〇:「なあ…麻衣さん…彩……
僕に隠していることあるだろ…。」

○○はサクラ公園のベンチに
座りながら、独り言をつぶやいた。

【第15話に続く】

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