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『桜は散り、歯車が止まる』 第7話

第7話『11人で旅したい!』





菅:「むにゃむにゃ...」



菅原咲月は眠りの世界にいた。



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?:「さっちゃんだ〜!」



和:「来るな!」



菅:「なんで!」



?:「ふふっ」



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菅:「はっ...」



咲月は目を覚まし、天井を見る。



菅:「和が夢に出てきたけど...
あと一人は誰なんだろ...」



和が出た夢というのは分かったけれど
あと一人の顔が思い出せない。
可愛らしい女の子の声ということだけ分かる。



菅:「って...ただの夢なのに何で真剣に考えて...」




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?:「さっちゃ〜ん!」



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菅:「うっ...何これ...」



名前も顔も分からない子の声が再び聞こえた。

その瞬間に頭痛が私を襲った。



菅:「夢に出てきた子と同じ声...?」



なんで?その子がずっと出てくるんだろ。
私はその子の顔も見えないのに...



菅:「はぁ...何だろ...この感覚...」



何かが欠けているような...今までこんな事なかったのに。



菅:「とりあえず、着替えて、仕事行かなきゃ...」



私はパジャマから私服に着替え、迎えの車に乗った。



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・○○サイド



○:「ん〜...」



小鳥の囀りを聞き、目を覚ました僕は上体を起こす。



○:「あっ...」



伸びをした僕は隣から感じる温もりに視線を移す。



桜:「...」



僕の推しは僕の隣で気持ちよさそうに眠っていた。

彼女の寝顔を見ると、心が穏やかになる。



桜:「ん...あっ...○○...」



彼女は僕の視線を感じたかのように目を覚ました。



桜:「おはよ...」



眠そうにしていたのは僅か数秒ですぐに笑顔をくれた。



○:「おはよう。ごめん。起こしちゃった?
眠いよね?まだ、寝てていいよ。」



桜:「ううん。ぐっすり眠れたから、大丈夫。
それより...はいっ!」



腕を大きく広げて、
相手を迎えるようにしている様子がうかがえる。



桜:「おはようのハグをしよっ?」



と彼女が手を広げ、ハグを求めるような仕草をしてきたので

僕は彼女をそっと抱きしめた。



桜:「あったかい...安心する...」



僕たちは肩を寄せ合い、お互いの体温を感じる。



○:「よかった。」



彼女の髪を撫でながら、愛情を込めて抱きしめる。



桜:「あと一分だけお願いっ。」



○:「一分だけね。」



僕は彼女の首に腕を回し、しっかりと抱きしめる。

僕は彼女と目を合わせ、しばらくハグを続けた。



○:「今から、家具を買いに行こっ?
家具選びは意外と時間がかかるから。」



桜:「うんっ!じゃあ、今から着替えないといけないね。」



○:「そうだ...着替える場所は...
あっ、僕が脱衣所で着替えるよ。
桜はここで着替えて?」



今は冬で脱衣所は寒い。
そんな場所で彼女に着替えさせるわけにはいかない。




桜:「わかった!あと、洗濯機どうする?
まだ洗ってないと思うんだけど...」



昨日は引越しでバタバタしていたため
洗濯機を回していなかった。



○:「僕が回せばいい?
あっ、でも...桜の下着とか...」



流石にそこら辺の配慮はしないとね...
と思っていたのだが



桜:「気にしなくていいよ。
だって、多分、昨日も見てるでしょ?」



と彼女は笑いながら、言った。



○:「昨日...あっ...」



そういえば、僕が後から風呂に入ったから
その時に桜の洗濯物を見たような...
確かに下着も入っていた...



桜:「だから、大丈夫。そんなに気にしなくてもいいよ。
あっ、でも...勝手に嗅いだりとか変なことはしないでね?」



と恥ずかしそうに彼女は上目遣いで言った。



○:「分かってるよ。じゃあ、着替えてくるね。
着替え終わったら、呼びにきて?」



と言い、僕は脱衣所へ向かった。





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・桜サイド



桜:「はぁ...」



一人になった部屋で私はため息をつく。



桜:「大丈夫だよね...」



昨夜の出来事で急に不安になる。

和と○○は繋がっていた。

○○が和に私のことを喋っていたら、私はもう終わり。

○○と別れないといけない。

でも、そんな事はしたくなかった。

彼のことが本当に大好きで彼を愛しているから。



桜:「...」



早く結果を知りたい...
彼が何も話していないということを確信したい。




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・咲月サイド


菅:「...」



私は車に乗り、仕事現場へ向かっていた。



和:「...」



私の隣には和が座っている。

今日は和と一緒に雑誌と撮影だ。



菅:「(はぁ...)」



今日の夢を見たときから、ずっと不思議な感覚。

こんな感覚は今までになかったから

モヤモヤとした妙な感覚をすっきりさせたい。

そうすれば、何かが見えてくるような...

そんな気がする。



和:「...」




和はヘッドホンで音楽を聴きながら
黙って、スマホを見ているようだった。



菅:「(寂しいな...)」



私が横に居るのに何で話しかけてくれないんだろう。
と少し寂しかった。



菅:「(何を見てるんだろう...)」



と気になり、私は和のスマホの画面を覗いた。



菅:「(えっ?私の写真...?)」



そこには私と和の写真が...いや...



菅:「(もう一人いる...?)」



そこにはもう一人...私の知らない...誰かが....




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?:「さっちゃん〜!」



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菅:「うっ...」



再び、頭痛が私を襲った。

また、あの声だ...誰なの...



和:「咲月?どうしたの?」



和がヘッドホンを外し、私の様子を心配する。



菅:「い、いや...なんでもない...
和が見ていた写真を見たら...頭が...」




和:「この写真?」



和が先ほど見ていた写真を人差し指で指す。



菅:「そ、そう...この私の横に居る女の子って...」



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?:「さっちゃん!」



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菅:「うっ...また、頭痛が...」


また、名前を呼ばれた。

この女の子を見ると何か不思議な気持ちになる。

私が知らない子のはずなのに。



和:「咲月。今日の撮影が終わったら
一緒に事務所で話そう?
この写真に写る子のことを教えてあげる。」



菅:「う、うん...」



咲月は少し緊張した様子で返答した。




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・桜サイド



桜:「このソファーいいかも!」



○:「じゃあ、これにしよっか。」



私と○○はホームセンターに行き、新居の家具を買いに来た。

今日、私たちが購入したいのはソファーとテーブル。

彼の要望で明日には届きそうな商品から探すことに。



桜:「(はぁ...)」



彼と家具を選ぶのは楽しかったけど
彼が和に話していると分かってしまったら
この家具は私一人で使うことになるのかなと
時々、考えてしまう。



○:「桜、昨日の夜から元気ないよね?」



桜:「えっ?」



○:「なんか...表情がずっと暗い気がするんだけど...
昨日の引越しから疲れてたりする?」



桜:「そんなことないよ...?」



○:「ならいいんだけど...無理しないでよ。」



彼は私の肩をポンポンと叩く。



桜:「うんっ...」



あの人たちから連絡が早く来てほしい。

彼を信頼したい。そして、彼に全てを話したい。





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・咲月サイド



撮影が終わり、私と和は事務所の一室に来た。



菅:「ねぇ、あの写真の子について教えてくれるって...」




和:「うん。もう一度、あの写真を見せてあげるね。」



と言い、和は私に先ほどの写真を見せてきた。



菅:「私と和と...この子って...
私はこの子のことを知らないけど...」



いつ写真を撮ったんだろう。
こんなに距離が近いなら、私は知っているはずなのに。



和:「この子の名前はね...川﨑桜。」



菅:「川﨑桜...」



あれ...?前に和が楽屋で必死に言っていた子の名前だ。



和:「咲月はまだ忘れてると思うけど...
この子はね...乃木坂46の5期生なの。」



菅:「5期生?いや、5期生は10人で...」



そんな名前の子は聞いたことない。



和:「今の世界では何故かそうなってるの...
本当は乃木坂46の5期生は11人。
だから、私と咲月は桜との写真がある。
よく見てよ。この写真って乃木坂の制服だよ?」



菅:「ほ、ほんとだ...
私はその子のことを忘れているの...?」



和:「うん。あなたは今、忘れている。」



菅:「本当に...?」



和:「本当だよ。」



菅:「そ、そんな...どうして...
同期のことを思い出せないなんて...」



こんなに話を聞いているのに何も思い出せない。

和が嘘を言っているんじゃないかと思ったけど

和の表情から嘘を言っていると思えなかった。



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?:「さっちゃん〜。何してるの?」



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菅:「ま、また...あ、あの声...誰...」



あの声が脳内再生されると同時に再び頭痛が襲う。



和:「咲月...思い出して。その声だよ。」



菅:「その声...」



和:「あなたは17分間のMVで歯車になんて書いた⁈」




菅:「17分間のMV...」



確か...私は...



菅:「旅をしたいって...10人...あっ...」



いや、違う...



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菅:「書けた...」



私は歯車に夢を書いた。



?:「さっちゃんは何て書いたの?」



??が咲月に話しかける。



菅:「んー?"11"人で旅したい!って書いたよ。」



咲月は歯車を??に見せた。



?:「11人で旅?なんで?」



菅:「この11人が集まったのは運命だと思う。
それにこの11人は仲間。
だから、旅をして、楽しみたいなって。
ほら、桜は大学で忙しかったりするし...
全員で旅をしたいの。」







桜:「ありがと...さっちゃん...」



あの声の主の顔がはっきりと映し出された。



菅:「いつか、11人で旅をしようね!」



桜:「うんっ!!!」




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菅:「11人で旅したいって書いたんだ...」



忘れてた...あの夢を...そして...



菅:「さくたん...」



思い出した...あの子も何もかも...



和:「咲月?」



菅:「ありがとう...和。思い出したよ。全部。」



私は和のほうを向き、お礼を言い



菅:「それと...ごめん...
和があんなに必死に言っていたのに...
何も気づけなくて...」



謝った。

12月の収録の時に和は桜のことを必死に言っていた。

それなのに私は疲れているんじゃない?と言い、
和のことを信用しなかった。桜を思い出せなかった。



菅:「本当にごめん...私...何でこんなに大切なことを...」



メンバーを忘れるなんて、本当に最低だった。

しかも、さくたんはあんなに努力家で毎日頑張ってて
私も見習わなきゃと思っていたのに...。



和:「思い出してくれたからいいよ。
私の想いも桜の想いも咲月に通じたから。」



菅:「さくたんの想い...?」



和:「瑛紗、美空、奈央、茉央は
桜から名前を呼ばれる夢を見た。
咲月も同じなんでしょ?」



菅:「う、うん...昨日の夜から...」



さっちゃんと呼ばれる夢を見た。

あの声は確実に桜の声だった。



和:「桜はみんなに訴えかけているんだと思う。
私のことを思い出してほしいって。」



菅:「それがさくたんの想い...」



和:「うん。今、彼女がどこにいるのか分からない。
何をしているのかも何もかも分からない。
だから、一緒に探そうよ。
桜が乃木坂46にいる世界を取り戻そうよ。」



菅:「うん...!!!」



私も取り戻したい。

そして、旅を...

5期生全員で...11人で旅をするんだ!!




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・和サイド



菅:「あと思い出していないのは...
姫奈、彩、いろは、アルノだけ?」



私たちは部屋を出て、事務所の廊下を歩く。



和:「そうだよ。」



菅:「あと少しなんだね...。
それでその後はどうするの?」



和:「うーん...どうするんだろう...」



その後のことを全く考えてなかった。

○○さんにまた相談してみるしかないのかな...。

と考えていると




松:「あっ、和ちゃんと咲月ちゃん。」




悠:「何してるの?二人で事務所に来て。」



黒:「えっ?咲月ちゃん泣いてる?」




松尾さん、北川さん、黒見さんとばったり会った。



悠:「本当だ。どうしたの?何か辛いことでもあった?」



菅:「い、いえ...な、なんでもないです...
ちょっとだけ思い出し泣きというか...」



松:「思い出し泣き?」



菅:「全然気にしないでください!私は元気なので!」



黒:「本当に大丈夫なの?」



松:「黒見に遠慮なく相談しようよ。
黒見は5期生の母だからさ。」



悠:「母って...」



北川さんが手を口に当てて、笑う。



菅:「さっき、私の大切な人のことを思い出して...
それで泣いてただけですから。」



悠:「大切な人?それって記憶喪失だったってこと?」



菅:「そんな感じですね...」



黒:「そういえば、和ちゃんも
大切な人について、言ってなかった?
先月のミーグリの時に...私たちの控室来てたでしょ?」



和:「そうですね。
実は私が探している人は
咲月の大切な人と同じ人物で...」



先輩方に桜のことを言っても
意味ないと思ったから、詳細は話さなかった。



松:「えっ、そうなの?」



悠:「それでその大切な人は見つかりそう?」



和:「いえ...何処にいるのかも
全く分からないです。
これから探すって感じです。」



悠:「そっか...」



北川さんは腕を組み、頷く。



黒:「見つからなかったら、私たちを頼ってよ?
さくらは和ちゃんを突き放したけど
私たちは手伝えることがあったら協力するから。」




松:「そうそう。」




悠:「一人で抱え込まないでね?
悩みを一人で抱え込んでもいい事ないから。」




和・菅:「ありがとうございます!!!」



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先輩たちと別れ、私たちは事務所の外に出た。



菅:「黒見さん、松尾さん、北川さん優しかったね。」



和:「うん。一人で抱え込まないで...か...」



さくらさんから言われたこともあって
先輩方を頼ろうと思わなかったけど
もう少し頼ってもいいのかな。



菅:「この後はどうする?」



和:「何しよう。部屋に戻って、夜はみんなで作戦会議?」



そろそろ、みんなの記憶が戻った後のことを決めないと。

瑛紗、美空は今日は一日中お出かけするみたいだし
奈央と茉央はお仕事で帰ってくるのは遅いため
夜に話し合うしかなかった。



菅:「じゃあ、それまでは
私たち二人で考えようよ。桜を見つける方法を。」



和:「二人で?」



菅:「そう。だって、私たちはなぎさつじゃん。」



咲月は手を差し出し、私に握手を求める。



和:「そうだね。なぎさつだもんね!」



私は彼女の手を握る。

二人は握手を交わし、にっこりと笑った。

私たち二人なら何だって出来るんだ。





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・○○サイド



○:「この後どうする?他にも何か買う?」



ソファーとテーブルは購入したが
他に何か買うものがあるか彼女に聞いた。



桜:「うーん...他に買うもの...」



と彼女が指を顎に当てて、悩んでいると
ブーブーとスマホのバイブ音が鳴った。



桜:「あっ...お母さんだ...」



桜はスマホの画面を確認する。



桜:「○○、ごめん。
ちょっと待ってて。すぐに戻るから。」



と桜は言い、僕から離れた。



○:「(他に買うものは何かあるかな...照明とかかな...)」



と僕は目の前にあった照明のコーナーの商品を眺めることにした。




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・○○サイド



桜:「この照明いいかも!
部屋の雰囲気と合ってる気がする!」



桜が親との電話を終えてから
桜に笑顔が戻ったような気がした。


○:「(何の電話だったんだろう...)」



桜:「○○はどう思う?って...○○?どうしたの?」



と僕の顔を伺いながら尋ねる。



○:「えっ?い、いや...
桜に笑顔が戻ったなと思って...
さっきまで元気がなかったのに...」



桜:「ちょっと、心配事があって...
昨日からお母さんに聞いてたの。
それで心配しなくても大丈夫って来たから。」



○:「心配事?」



桜:「光熱費とか...色々とね...」



○:「ああ...なるほどね...」



でも、光熱費って説明されたような...まあいっか。



桜:「だから、もう大丈夫!」



と彼女は笑顔を見せた。



○:「よかった。あっ、照明はこれでいいと思うよ。」



僕たちはホームセンターで照明や小物をたくさん購入した。

彼女との楽しい時間が再び戻ったような気がした。





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・○○サイド



○:「たくさん買っちゃったね。」



桜:「うんっ...でも、良いお部屋になりそう!」



僕たちは大量の荷物を持ち、家へ向かっていた。

僕たちといっても、9割は僕が持っていた。

僕のほうが体力があるからだ。



○:「部屋に戻ったら、すぐに食料買いに行こ?」



桜:「うんっ!何を買おうかな〜お肉とか?いや、魚?」



○:「気が早すぎだよ。」



彼女が楽しそうに考える姿を見て、僕は笑った。





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・瑛紗サイド



一:「はぁ...もう、何キロ歩いてるの?
手がかりなしで桜を見つけるって不可能だよ?」



瑛:「行動しないと始まらないから。」




私は美空と一緒に桜を探していた。

無謀かと思われるかもしれないけど
桜はスタイルがいいからすぐに見つかる。

あんなに長い期間共にしたのなら
簡単に分かるはずと思い、探していた。

でも、なかなか見つからない。


一:「行動するっていってもね...
桜の家は神奈川県でここは東京...」



瑛:「(はぁ...どこにいるんだろう...)」


と思っていたその時





桜:「...」



○:「...」



向かいの通りを歩く男女の姿を見つけた。




瑛:「(えっ...あれって...)」



女の子の姿に見覚えがあったような気がして
私は立ち止まり、ズームした写真を撮った。



一:「ちょっと...なに写真撮ってるの⁈ 盗撮...」



瑛:「美空...いたよ。桜。」



一:「えっ?」



瑛:「向かいの通りを歩いてた。ほら、写真見て。」



私はズームした写真を美空に見せた。



一:「えっ...桜じゃん...!!
顔だけならそっくりさんもいるかもしれないけど
この服とスタイルの良さは桜だよ...」



この服を以前着ていたのを見たことがある。
スタイルも良いし、ヘアスタイルもまんま桜だった。


一:「桜は今どこに...」



美空は向かいの通りに視線を移す。

私も桜を探し、桜が男の人と
一緒にマンションへ入っていったのが確認できた。



瑛:「美空。あのマンションの前に行こ。」



一:「う、うん...」



私たちは横断歩道を渡り
桜たちが入っていったマンションのすぐ近くへ移動した。



瑛:「ここでしばらく待とうよ。」



私たちは植木の近くで入り口をじっと見る。



一:「えっ⁈ 張り込むの⁈」



瑛:「うん。今日はまだ出てくる可能性があるから。」



まだ夜遅くではない。



一:「良いけど...30分だけだよ...」



と美空は渋々、私に付き合ってくれることになった。



一:「それにしても...男の人と歩いてるって...
桜は乃木坂に居たことを忘れてるのかな...
あの男の人って彼氏っぽいよね...」



瑛:「分かんない...。
とりあえず、聞いてみよう?」



私たちは桜が出てくるのを待つことにした。






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・○○サイド



○:「どうする?買ったものを先に並べる?
それとも、先にスーパーに行く?」



部屋に戻ってきた僕は荷物を部屋に置いた。



桜:「先にスーパーに行きたいっ!
お腹ぺこぺこだもん!早く○○の料理を食べたい!」



と笑顔でお願いしてきたから
僕たちはスーパーへ行くことに。



桜:「餃子食べたいんだけど作れそう?」



○:「どうだろう...作ったことないな...
でも、挑戦してみるよ。」



と他愛もない会話をしながら、外へ出た。



桜:「ありがと〜!桜も手伝うね!」




とスーパーの方向へ向かおうとすると





さくたん!!!!




○:「えっ...?」



桜:「えっ...?」



と彼女の名前を呼ぶ声が
背後から聞こえ、僕たちが振り向くと...










桜:「て、瑛紗...みーきゅん...」












瑛:「さくたん...」



一:「桜、やっと見つけた...」




そこには彼女の同期の二人がいた。






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・瑛紗サイド



桜:「瑛紗...みーきゅん...」




瑛:「さくたん...」



私の読み通り、桜はマンションから出てきた。
そして、彼女は私たちの呼びかけに反応し
私たちの名前を呼んだんだ。



一:「やっと見つけた...」



桜:「...」



桜は私たちのほうを見ずに地面に視線を移す。



○:「桜...」



横にいる男の人は桜の様子を伺っていた。



一:「ねぇ!桜!乃木坂から消えてるの分かってる⁈」



美空が桜に呼びかけると



桜:「っ...」



○:「桜...⁈」



桜は男の人の手を引いて、
私たちから逃げるように走り出した。



一:「桜!」



瑛:「待って!」




私たちは二人を追いかけた。






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・○○サイド



桜:「はぁ...はぁ...」



僕は桜に手を引かれ、走っていた。



○:「待って、桜...手を引かなくても走れるから...」



桜:「あっ...ごめん...二人は来てる...?」



桜が僕の手を離し、



○:「まだ来てるよ。距離はさっきより離れたけど。」



振り向くと、彼女たちがこちらへ走ってくるのが見えた。



桜:「○○。こっちに行こう。」



と彼女が路地裏へ導く。



○:「走って、逃げなくていいの?」


彼女は走るのをやめた。

走らないと追いつかれるから
どうしてだろうと思い、尋ねた。



桜:「うん。これがあるから。」



と彼女は右手の親指につけた指輪を見せる。



○:「指輪?」



桜:「○○。私の腰に手を回して、くっついて。」



と彼女が頼んできたから、僕はその通りにし



桜:「よしっ...」



と桜は意気込むと左手を指輪にかざす。

すると、光が○○たちを包み込み、二人は消えた________




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・瑛紗サイド



瑛:「見失った...」



一:「桜、走るのが速すぎるよ...」



二人の姿を完全に見失ってしまった。

今日一日中歩いていたということもあり
数十メートル全力で走っただけで疲弊している。



瑛:「桜...なんで、私たちから逃げたんだろ...」


彼女は明らかに逃げるように走り出した。

私たちの名前を覚えていて
乃木坂から消えていることも知っているはずなのに
明らかに避けていた。



一:「横にいる男の人に脅されてたとか...
あの人が桜の弱みか何かを握っていたり...」



瑛:「弱み?例えば?」



一:「それはまだ分からないけど...」



瑛:「でも、桜が手を握っていたけど...」



それに桜はあの人とすごい親密そうだったし
桜の表情は楽しそうでとても脅されてるなんて...



一:「とにかく...夜に和の部屋に行って、話そう?
桜の居場所も分かって、進展しそうだから。」



瑛:「うん。そうだね。」



私たちはこの事を話すために和の部屋に向かった。




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・○○サイド




○:「こ、ここは...?」



眩しい光に包まれた後、僕は知らない場所にいた。



桜:「とある惑星だよ。」



横にいる桜が呟く。



○:「惑星?何の冗談を...」



桜:「冗談じゃないよ?ほら、空を見てみてよ。」



と言われ、僕が空を見ると近距離に満月が見えた。



○:「こ、これって...月...」



なんで、こんな近くに...



○:「この時計は...?」



周りを見渡すと巨大な時計がポツンと立っていた。
時計を囲うように柱が約40本建っていた。



桜:「乃木坂46を見守ってきた時計。」



○:「乃木坂46を見守ってきた時計...?」



僕が時計の近くへ行くと
時計の部品と思われる歯車が動いていた。



○:「あれ...?ここの歯車は...」



でも、ある一部分だけ歯車が外れていた。



桜:「私が持っているよ。」



と彼女は歯車を見せてきた。

そこにはKAWASAKI SAKURAと書かれていた。

よく見ると、時計の歯車にも
メンバーの名前が書かれていた。



○:「ねぇ...この歯車って...なに?」



何か特別な意味があるものなのかと思い、尋ねた。



桜:「今から話すよ。でも...その前に...」



と彼女は指輪を巨大な時計の金色の部分に触れさせ



桜:「このペンダントを○○に渡す。」



地面から現れた柱の上に乗った
ペンダントを手にとる。



○:「ペンダント?それに何の意味が...」



桜:「このペンダントはね?
私が信頼する人にあげるの。」



○:「桜が信頼する人...」



桜:「今から全部話すよ。
この時計のことも歯車のこともペンダントのことも
そして、乃木坂のことも...。」



○:「乃木坂のことって...」



乃木坂から消えたことだよね...僕がずっと気になっていた...



桜:「○○が気になっていることを全部話す。
でもね...その前に○○に聞きたいことがあるの。」



○:「聞きたいこと...?」




桜:「うん。どうして...」





















桜:「なぎと連絡をとっているの?」











○:「⁈」



彼女からの予想外の問いかけに僕の背筋が凍った。

どこでバレたのか...バレたということはこの生活も...

と色んな恐怖が襲い、僕の額からは冷や汗が噴き出る。




桜:「そんなに怖がらなくてもいいよ...
○○が和に私のことを話していないのは知ってるから。」



○:「えっ...知ってる?」



桜:「今日、私の協力者から連絡が来たの。
和は私の居場所をこれから探すって言ってたって。
だから、○○は話していないって分かってる。」



○:「協力者って...」



桜:「昨日の夜から元気がなかったのは...
○○がお風呂に入っている間に
○○の携帯電話に和から
電話がかかったのを見てしまったから。
そこで知ったの。○○が和と繋がっているって...」



○:「昨日の夜...」



確かにお風呂に入っていた時に電話が来ていた。

その時にバレていたなんて...
だから、あんなに元気がなかったんだ...

じゃあ、今日、途中から元気になったのは
協力者からの連絡...あれ?でも、お母さんからの電話って...



桜:「お願い。経緯を話して?
なんで、和と繋がったのか。全てを話して。
私は○○のことが大好きだから...
また離れたくないから...お願い...」












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・和サイド




五:「桜の実家周辺を探す?」



冨:「いや、カフェのほうがいいよ。
桜は同じカフェによく行くから。」



菅:「江ノ島とかは?桜がおすすめスポットにあげてたし。」



和:「範囲が広すぎる...」



みんなと一緒に私の部屋で桜を探す計画を立てていた。
かれこれ...5時間くらい...

でも、いくら経っても良い案が思いつかない。

全てを探すとなると時間がかかりすぎて...



和:「(どうしよう...)」



と思っているとピンポーンとインターホンが鳴る。
モニターを確認すると、瑛紗と美空がいた。




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一:「咲月も思い出したんだよね?」



菅:「う、うん...ほんの数時間前だけどね...」



瑛:「何してたの?こんなホワイトボードを用意して。」



瑛紗と美空を私の部屋に入ってきた。



冨:「さくたんを探すには作戦が重要でしょ?
ホワイトボードがあると気が引き締まるかなって思って!」



五:「桜がどこにいるのか全く分からないから
今、その作戦を練ってたの。どこを探せばいいのかなって。」



茉央はスマホアプリで地図を開いていた。



和:「ねぇ?2人はどこを探せばいいと思う?」


と尋ねると瑛紗から予想外の返答が来た。











瑛:「そんなことを話す必要はないよ。
私たちは桜を見つけたから。」








和・菅・五・冨:「えっ⁈ 」



私たち4人は思わず、同時に声を上げる。




一:「そっくりさんとかじゃないよ。
完全に桜だった。顔も声も服も...
そして、私たちがさくたんって呼びかけて
桜は振り向いて、私たちを瑛紗、みーきゅんって呼んだ。
その後に何も言わずに逃げられちゃったけど...」




和:「ちょっと待って...本当に言ってるの...?」



瑛紗と美空のことを覚えていたって...
しかも、逃げるって...桜は今の世界を知ってるってこと...?
この状況がおかしいって分かってるのに...
なんで...



瑛:「これが証拠の写真だよ。
桜は男の人と一緒に歩いていた。」




と瑛紗はテーブルにスマホを置いた。



冨:「ほ、ほんとだ...」



五:「か、完全に桜だ...」



菅:「う、うん...本物だね...」



とみんなは桜に焦点を当てていたが



和:「嘘でしょ...」



私は違った。





だって...








和:「なんで...○○さんが桜と一緒にいるの⁈」






桜の隣には私と協力関係にある○○さんが写っていたから。




第7話『11人で旅したい!』Fin


【第8話に続く】

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