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『狼くんを落としたい』 第1話



"狼くん"
誰とも群れない。謎だらけの人。
私たちが分かっていることは

・成績優秀 
・イケメン
・いい匂い
・図書室にいることが多い
この物語は狼くんに興味がある女たちの戦いである。

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桜が満開の4月、私たちは高2に進級した。

和:「私は1組ね....。」

私はクラス名簿を確認する。

和:「誰と同じクラスかな...。」

私の名前は和です。
友達にはにゃぎと呼ばれています。

?:「にゃぎ♪」

一:「私と同じクラスだよ♪」


去年も同じクラスの美空ちゃん。
くうちゃんと呼ばれています。

学校でもトップクラスにモテる子です。
そんな、彼女には好きな人がいる。

和:「今年も同じクラスだね!」

去年も美空と同じクラスでした。

ー:「そして、今年は五重奏の全員が同じクラスだよ..。

和:「えっ、本当に?」

五重奏とは私、美空、
そして、3人の女子を含めた総称である。

五:「さくたん、、髪の毛切った?」


桜:「少しだけ。」

菅:「あ、にゃぎとくぅちゃんだ。」

この3人が私たち以外の五重奏のメンバーである。

和:「おはよ〜。一年間よろしくね。」

ー:「私たち...揃っちゃったね♪」

モブA:「このクラスに五重奏が揃ったぞ。」

モブB:「最高じゃねぇか。」

モブたちはこう話す。
学校中からモテる存在として五重奏という名がつけられた。
告白される回数も多い。でも、誰も彼氏がいない。

菅:「私たちが同じクラスって運命的だね。」

ー:「し・か・も、あの人と同じクラスだよ。」

美空が小声で私たちに語りかける。

和:「えっ、ほんとに?」

ー:「マジです。」

五:「さくたんの後ろの席だよ。」

桜:「去年もそうだった。」

ー:「本当にズルい!」

五:「あの人と同じクラスだったのは
私とさくたんだけだからね。」

私,美空,咲月はあの人と別のクラスだった。
ざわざわ…と急に教室が少し騒つく。

一:「あっ...」

あの人が教室に入ってきた。

?:「...」

桜:「相変わらずの無口。」

五:「そこも人気じゃん。」

和:「狼くんか...。」


○:「...』

通称狼くん。校内のイケメンランキングトップ。
学業の成績もトップ。でも、誰とも群れない。
彼女もいないらしい。ゆえに狼くんと呼ばれている。

ー:「話しかけちゃおっかな...///」

和:「えーっ....」

ー:「美空、行きます。」

和:「行っちゃった。」

美空は彼のところに向かった。

一:「○○くん♪」

○:「なに?」

一:「今年、同じクラスだからよろしくね♪」

○:「あぁ...。」

相変わらずの無愛想な対応。

一:「話しかけちゃった...///」

美空が彼氏を作らない原因は狼くん。
彼のことがずっと好きみたい。
なのに話しかけたのは今日が初めて。

和:「狼くんを彼氏にするのは無理じゃないの?」

一:「いや、やってみせる...。好きなんだもん。」

メラメラと美空の魂は燃えたぎっている。
私と美空以外の3人が彼のことを
どう思っているのかは分からない。

私は彼のことはそこまで好きじゃない。
若干、嫌いな部類に入るかも...

この前、それを言ったら、美空がマジでキレたので
こういう話はしないようにしてます。

桜:「今日は委員会決めるらしいよ。」

一:「絶対に図書委員...。」

狼くんは図書室にいることが多い。
去年、彼は図書委員をやっていました。

菅:「茉央と図書委員で同じだったよね?」

五:「同じだったけど、
全部やるから、来ないでいいよって...。」

普通に優男じゃん。

五:「だから、私は委員会の仕事を何もやってない笑 」

いおちゃん、それはダメでしょ

菅:「図書委員やろうかな。サボれるなら。」

おいこら。

一:「サボっちゃだめ。」

美空の言う通り!

一:「私は彼と共同作業をするの。」

前言撤回。この子は図書委員を何だと思っているの?

桜:「私は教科委員かな。」

和:「私は委員長をやりたい。」

五:「おっ!今年もやるんだ!」

和:「うん。」

実は去年もやってました。
今年もやりたいと思っています。 

そうすれば、部活を多少休めるので。
不純な動機でごめんなさい。
てへ
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秋:「今日はこれで終わりね。」

担任は真夏先生でした。
委員会が無事に決まったので今日の授業はこれで終わり。
委員長は私に決定。
美空は無事に図書委員になりましたが...

一:「なんで、今年から一人なの...。」

図書委員は今年から各クラス一人になったので
狼くんは別の委員になりました。

菅:「でも、図書室に彼はいるでしょ?」 

一:「そうだ...。ずっと見ていられる...///」

五:「狼くんと今年も同じ委員会だ。」

茉央は狼くんと同じ美化委員。

一:「仕組んだでしょ!」

美空は茉央の腕を掴み,上下に動かす。

五:「さ、さぁ...。」

一:「付き合ってないよね?ね!」

必死かよ。

五:「ないよ笑 」

と、そこに...

○:「五百城さん?」

桜:「あっ、○○くん。」

狼くんが私たちのところにきました。

五:「どうしたの?」

○:「委員会の仕事は全部僕がやるから。
来なくていいよ。じゃあ...。」

彼はそう言い残して、帰っていきました。

五:「ほら。私が無職になるの♪」

おい。ピースをするな。喜ぶな。

菅:「優しいじゃん。」

桜:「意外と優しい。」

たしかに優しい。

一:「ダメ。みんなが魅力に気づいちゃう...。」

今日まで一度も話したことなかったあなたが何を言ってる

和:「後輩も入ってくるんだよね~」

菅:「あ、そうだった。」 

そう。明日は入学式。

和:「委員長だから入学式に来ないといけないの。」

五:「そうなんだ!じゃあ、かわいい後輩見つけて?」

後輩に何をする気だ

五:「先輩ヅラしたいの。」

ただのゴミクズじゃん

五:「っていうのは冗談で...普通に仲良くなりたい。」

桜:「私も。」

菅:「弟子がほしい。」

あなたは何の師匠だ。

和:「分かった。見つけておくから。」

多分、無理だけど

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場面は代わり、○○の家。

○:「明日の入学式の準備は出来た?」

彩:「出来た♪」

○:「僕が保護者で行く必要ある?」

僕たちの両親は二人とも海外暮らし。
そのため、この家は僕と妹の二人暮らしである。

彩:「記念写真を撮ってほしいもん。」

○:「そんなの他の人に撮ってもらえば...
奈央ちゃんもいるでしょ?」

妹には奈央という親友がいる。
奈央ちゃんも同じ高校に入学する。 

彩:「奈央ちゃんと一緒に撮ってほしい。」

○:「だから、奈央ちゃんのご両親に撮ってもらえば...」

彩:「奈央ちゃんの親は海外旅行中。」

なんで?

○:「ちょっと、待って。僕が二人分の面倒見るの?」

彩:「うん。」

せっかくの休日を返せ...

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入学式 当日

和:「ねむ...。」

秋:「寝ちゃダメよ。」

和:「分かってますよ笑 」

真夏先生と案内係をしています。
仕事もそんなにないので割と楽です。

だから、さっさと終わってください。

彩:「お兄ちゃん、写真撮って!」

冨:「ポーズどうしようかな?」

看板の前でわちゃわちゃしている1年生を見つけました。

秋:「兄が保護者って良いお兄さんなのね。」

和:「ですね。」

秋:「どんなお兄ちゃんなのかな...ん!?」

真夏先生がカメラマンの顔を見て、立ち止まった。

和:「どうしました?...えっ!?」

○:「動かないで。ピントブレる!」

なんと、狼くんでした。
あのカメラ...高そう...

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入学式が始まり、会場の外で
私は真夏先生と狼くんと談笑中

秋:「○○くんの妹さんが入るんだね。」

○:「一応、保護者は僕なので今日は来ました。」

狼くんの両親は海外暮らしなんだね。初耳です。

秋:「兄妹そろって美男美女ってどうなってるの?」

○:「美男美女じゃないですから。」

真顔で否定してるじゃん。

もしかして、自己評価低め?
美空なら満更でもない顔するよ。

和:「学校内では美男扱いされてるよね。」

○:「それはあなたのあざとい友達だけだよ...。」

絶対、美空じゃん。

○:「それ以外の人は狼扱いだから。」

秋:「彼女は?」

真夏先生がノリノリなんですけど

○:「いたら、狼扱いされてませんから。」

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彩:「お兄ちゃん~」

入学式が終わったみたい

○:「奈央ちゃんは?」

彩:「もうすぐ出てくる。
っていうかこの綺麗な人は誰?」

妹さんは私を指差す。

綺麗な人だって!

やった!

和:「井上和です。○○くんと同じクラスなの。」

彩:「前にお兄ちゃんが綺麗な人って言ってた人か。」

和:「え?綺麗な人?」

ほんとに?

○:「ちょっと、彩!」

狼くん、非常に焦っております。
これはファクトっぽい。

彩:「だって、言ってたじゃん。」

和:「へぇ~...ありがと♪」

ニヤニヤが止まりません

○:「別に事実を言っただけ...。」

それは一番の褒め言葉だよ。

こうして、高2の2日目が終わった。

ここから○○くんと
私たちの関係は大きく変わることになる

【第2話に続く】

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