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『狼くんを落としたい』 第45話



一:「この観覧車から眺める景色は綺麗だね…」

初めてのデートの時の景色と何も変わっていない。

本当に懐かしい。

あの時の私は何も出来なくて、自信がなかった。

今は乃木大に合格できて、少し自信がついた。



一:「あのさ…2人きりで話したいことって何…?」

真向かいに座る彼に私は尋ねた。

先ほどは、はぐらかされてしまった。

○:「…」

私は彼が何を話したいのか気になっていた。

一:「ねぇ…私を追い出すとか…?私は居候の身だから…」

彼は私の問いに答えずに

○:「美空…聞いてほしい。」

真っ直ぐな視線を私に向けた。

一:「うん…」

彼の真っ直ぐな目を見て
今度ははぐらかされないと思ったから
私は黙って聞くことにした。


○:「好き…」

彼はその一言だけ話した。


一:「知っているよ!前にも聞いたよ?
ほら?初めてのデートの時も友達として好きって…」

○:「…」

一:「ずっと知っているよ!○○が友達思いって。」

今更、何を言っているの?と思った。



○:「友達としてじゃない…」

彼は首を横に振った。



一:「えっ…?」


○:「異性として…美空のことが好き。
だから、僕と付き合ってくれませんか…?」

彼は真っ直ぐな瞳で私を再び見る。


一:「本当に…?」

○:「本当。」

信じられなかった。

一:「嘘じゃないの…?」

彼が私なんかを好きになると思っていなかった。

○:「嘘じゃない。」

一:「本当に私でいいの…?」

一:「私なんか…モデルさんみたいに可愛くないし
普段はふざけてばかりで落ち着きもないし
○○の彼女に相応しくないよ…」

私は俯きながら弱音を吐いた。

一:「だからさ…」

私が視線を前に向けると…



○:「…」


彼はいつの間にか私のすぐ目の前にいて

○:「好きだよ…美空…」

と言い、彼は私の顎を持ち



一:「んっ…⁈」

私の唇にキスをしてきた。

かなり強引なキスだった。

一:「ん…」

彼も目を瞑っていたから、私も同じように目を瞑った。

数十秒間、彼と私の唇は繋がっていた。
そして、彼は唇を離す…

一:「○○…」

私は目を開けて、彼を見つめた。

○:「僕は美空のことが大好き。
去年の夏休みの時に気づいた。
美空といる時、僕はいつも笑っていて
楽しくて、離れたくなかった。」

○:「美空を手伝いたい支えてあげたいという
気持ちも好きだったから。」

彼は一言一言を丁寧に紡いだ。

○:「私に彼氏が出来たらと美空に質問された時…
胸がぎゅーっと締め付けられる感覚になった。
これが恋だと気づいた。」


○:「だから…美空…僕と付き合ってください
僕はあなたのことが本当に大好きです。」

一:「嬉しい…私も好き…
○○とずっと付き合いたかった…
うん…こちらこそ…よろしくお願いします…」

断る理由なんかなかった。私はずっと好きだったから。

私は○○の彼女に相応しいのかな?と思ったけど
彼は真っ直ぐに想いを伝えてくれた。
だから、私も本音で答えた。

もう遠慮なんかしない。
私は○○が大好き。



○:「隣、座ってもいい…?」

一:「うん…!」

彼は私の隣に座り

一:「えっ…///」

○:「ダメ?」

彼は私と手を繋ごうとしてきた。

一:「ダメじゃない…ちょっと、びっくりしちゃった…」

私は○○と指を絡ませて、手を繋いだ。

○:「驚かないでよ。美空は僕の彼女だよ?」

一:「彼女…///」

私が○○の彼女…響きもいい…

○:「ねぇ…キスしてもいい…?
美空への想いが抑えきれない…///」

一:「うん…いいよ…///」

私たちは再びキスをした。今度は強引なキスではなかった。

お互いの想いを共有するように繋がった。


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私たちは恋人繋ぎのまま○○の部屋に戻った。

そして、付き合ったことを報告した。
みんなは祝福してくれた。

一:「あーん…///」

私は○○の口にケーキを運ぶ

○:「美味しい…」

○○は美味しそうに食べてくれた。


菅:「今、パーティー中!」

五:「イチャイチャは後でやってよ!」

2人は不満そうな顔をしていた。

一:「嬉しくて…///」

しょうがないでしょ!嬉しいんだから!

彩:「どんな感じで告白されたんですか?」

一:「いきなり、キスされた…///」

冨:「えっ⁈」

菅:「○○、やるぅ〜♪」

○:「違う違う!いきなりではないから!
強引にキスしたのは事実だけど…///」

彼は顔を真っ赤にしながら目を伏せる。

五:「強引にキスしたのは事実なんだ。」

桜:「気持ちを抑えられなかったの?」

○:「うん…///正直、今もキスしたい…///」

一:「えっ…?じゃあ、キスする?」

私もしたいと思っていたし…///

和:「今はダメ!キスするなら後でたくさんしなよ!
どうせ、美空はここに泊まるでしょ?」

一:「あ、その事だけど…
乃木大に通うようになってもここに住んでいいの?」

引っ越す必要はない?

○:「もちろん。一緒に暮らそうよ。」

一:「やった〜!!!」

私は喜んだ瞬間
コップに手をぶつけてしまい…



和:「ちょっと!水こぼさないで!」

菅:「落ち着きがない!」

一:「ごめ〜ん!」

○:「まあまあ…」

彼は雑巾で水を拭く。

○:「あとでたくさんイチャイチャしよっか…///」

彼は私だけに聞こえる声で耳打ちしてくる

一:「うん…///」

イチャイチャを控えて、私たちはパーティーを楽しんだ。


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○:「片付け終わった…」

パーティーも終わり、私たちはお皿を片付けた。

一:「もう23時だよ…」

○:「お風呂入らないとね…」

普段ならお風呂に入っている時間

一:「うん…私が先に入るよ…!」

私は浴室に向かおうとすると

○:「待ってよ…」

ガシッと私の腕を掴み

○:「一緒に入ろう。」

と提案してきた。

一:「一緒に…?いいの…?」

○:「いいに決まっている…僕たちは付き合っているから…」

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数分後

一:「ドキドキするね…///」

○:「うん…///」

私たちは素っ裸で同じ湯船に浸かっている。

私と○○は湯船の中でも手を繋いでいた。

一:「○○…好き…///」

私は○○の肩に頭を乗せた。

ずっと、こうやって…くっついていたかった。

一:「幸せ…///」

○:「まだ初日だよ。燃え尽きないでよ。
美空が離れていったら寂しいから…」

一:「私は離れないよ…!ずっと○○が大好きだから…!」

想いを伝えるように今度は私からキスをした。

○:「美空、ありがとう…」

彼も私にキスをしてくる。

一:「ふふっ…///」

幸せ…///

○:「あとさ…早いかもしれないけど…
あとで美空と愛し合いたい…」

一:「いいよ…///」

○:「ごめん…本当に抑えきれなくて…」

彼は手を合わせ、謝ってきた。

一:「そんなに私のことが好きなんだ…///
本当に嬉しいよ…///」

私は全く気づかなかった。

○:「ずっと抑えてきた…一緒に寝ている時も
キスしたいとか…襲いたいとか…
でも、美空の勉強の邪魔をしたくなくて…」

彼は本当に優しい。私のために何でも考えてくれている。

一:「あとでたくさんしよう?
○○の私への愛を私にぶつけて…」

私も○○への愛がたくさんある。

一:「私も○○への愛をたくさん、ぶつけるから…」

そして、私たちはその夜、愛し合った

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一:「○○…大好き…愛している…」

お互い…生まれたままの姿で布団に入っていた。

○:「僕もだよ…美空…愛している…」

彼は私の髪に手を触れる

一:「おやすみ…///」

○:「おやすみ…///」

私は彼の腕の中で眠りに落ちた。
本当に幸せだった。


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その日から私たちは本当に
幸せな日々を過ごした。



一:「○○と同じ授業受けたい!」

○:「分かった。じゃあ、僕はこの科目取るから。」

一:「ありがとう!」

一緒の授業を受けようと約束したり



一:「レポート難しい…○○…教えて…」

私はパソコンの画面と睨めっこしていた。

○:「少しは自分で考える。美空なら出来るから。」

一:「うん…」

彼に手伝ってもらわずに一人で課題をやったり



一:「試験終わった〜!」

○:「頑張ったね。」

一:「夏休みは一緒に旅行へ行こうね!」

○:「いいね。どこに行く?」

一:「南の島とかかな〜?」

旅行を計画したり…



○:「あぁ…撮られたか…」

一:「ごめん…○○に迷惑かけちゃうよね…」

○:「ううん。大丈夫だよ。逆に堂々と過ごせるから。」

私たちのデートしているところが撮られたり



一:「ようやくクリスマスを楽しめる…///」

○:「去年は勉強漬けだったからね。
今年のクリスマスの夜は長いよ?」

一:「ふふっ…///」

聖夜にたくさん愛し合ったり



一:「はぁ?意味分かんない!別にいいでしょ!」

○:「良くない。こんな時間にポテチ食べるなんて。」

一:「私は食べたいものを食べたい時間に食べるの!」

たまに些細なことで喧嘩したり…



和:「こんなくだらない事で喧嘩とか…
どっちもどっち。ちゃんと仲直りする。」

○:「ごめん…美空…絶交とか言っちゃって…」

一:「ううん…
○○が私のためを思って
言ってくれているのに聞かなくてごめんなさい…」

仲直りしたり…


一:「むにゃむにゃ…」

○:「こんなところで寝ると風邪引くよ。」

一:「○○…お姫様抱っこでベッドに連れてって…」

○:「はいはい…わがままなお嬢様ですね。」

一:「ありがとう…///」

お姫様抱っこをしてもらったり…


一:「幸せ…」

○:「僕も…」

お互いの体をくっつけて、ソファーに座っていたり

私は本当に幸せな日々を過ごしていた。

幸せな日々はあっという間に過ぎていき
気づけば、私は大学の卒業式の日の夜を迎えていた。


一:「○○と付き合って…もう4年になるね…」

○:「そうだね。あっという間の4年間だった。」

一:「これからもずっと居られるよね!
私は○○の経営する会社で働けるし…!」

彼は私より1年早く大学を卒業して
父の事業の半分を引き継いでいた。

○:「その事だけど…美空は働かなくてもいいよ?」

一:「えっ?ニート指令?」

○:「違うよ。
僕のそばにずっといてほしいから
働かなくてもいいってこと。」

一:「それって…」

○:「はい…開けてみて…」

彼は小さな箱を私に渡してきた。

一:「指輪…」

箱を開けるとキラキラと光る
ダイヤモンドがついた指輪が入っていた。

○:「美空…結婚してください。
僕のそばにずっと居てほしいです。」

一:「こちらこそ…よろしくお願いします…!」

私たちは結婚することになった。

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一:「結婚式は来週か〜」

私たちは新婚旅行に来ていた。
普通は結婚式後に行くことが多いみたいだけど
○○の仕事の都合上直前に行くことになった。

○:「結局、姫奈さんは来られるの?
ギリギリまで日程が合うか
分からないって言っていたでしょ?」

一:「行けると昨日の夜に電話が来たよ!」

結婚式には私たちの知り合いがたくさん来る。

○:「良かった。姫奈さんが
居なかったら、僕たちは付き合うことも
結婚出来なかったかもしれないからね…
ちゃんと挨拶しないと…」

一:「結婚式の翌日に
ホテルからあの別荘に引っ越しだよね?」

今後、私たちは夢川家の別荘で生活する。

彼が父と母のお墓の近くで暮らしたいと言ったからだ。

○:「そうだよ。工事も先週終わったみたいだから
結婚式の翌日には引っ越せるよ。」

一:「前よりも広くなっているんだよね?」

○:「うん。前の50倍くらいの広さにはなっていると思う。」

一:「さらに迷いそう…
でも、どうして…そんなに広くしたの?」

○:「アル姉が曲を収録するためのスタジオ。
和や瑛紗さんのアトリエ。彩のトマト農場。」

○:「他の人の要望を聞いていたら
アホみたいに広くなった。」

一:「行くのが楽しみだなぁ…///」

私の部屋はどんな感じなんだろう

○:「今は新婚旅行を楽しもう。
せっかく、海外に来ているわけだからね。」

一:「そうだね!」



そして、結婚式の日がやってきた。

___________________________

控え室に咲月と茉央が来た。

菅:「ウェディングドレス似合っているよ!」

五:「綺麗!」

一:「ありがとう…///○○がこのドレスを選んでくれたの。」

○○は水色のドレスを選んだ。

美空にはこれが一番似合うと思ったから
選んだと○○は言っていた。

一:「2人とも忙しいのに来てくれてありがとう。」

菅:「今はそんなに忙しくないよ?」

五:「うん。NEGAは解散しちゃったから。」

NEGAは1年前に解散した。
そして、それぞれのメンバーは
個人の活動をすることになった。

咲月と茉央はモデルとして活動している。

五:「奈央は披露宴の直前に来るよ。」

奈央はお笑いキャラとして活動している。
自分と同じ名前のタレントさんに弟子入りしたらしい。

彼女はよく分からない。

菅:「彩はどこにいるの?」

一:「彩は麻衣さんと一緒に後で来るって!」

彩は大学の授業を受けてから来るみたいです。

五:「そういえば、○○はどこにいるの?」

一:「遥香さんたちと話したいことがあるって
廊下の一番奥の部屋に行っている。」

菅:「美空はその部屋に行かないの?」

一:「○○が来ないでほしいって言ったから…」

五:「えっ?美空に隠すような話?」

菅:「浮気じゃないの?」

一:「違うよ!夢川家のことについて
話したいみたいだから…
私はあまり口を出しちゃいけないし…」

一:「浮気だったら
遥香さんとかが伝えてくれるし
だから、心配はしてないよ!」

遥香さんは○○が浮気したら
○○を×すと宣言してくれたからね。

五:「夢川家か…特殊な一族だよね…」

菅:「○○が笑顔になってから
○○の人気はさらに上がったよね。」

彼は私と付き合うようになってから
人が変わったように笑顔を見せることが増えた。

その結果、○○の人気も高まっていた。

人々を幸せにする
人々を笑顔にする

太陽神というのは本当かもしれない。

菅:「その笑顔を彼から引き出したのは美空だからね。」

五:「自信を持って、○○の妻と言いなさいよ!」

茉央は私の肩を軽く叩く。

一:「うんっ!」

私は○○の妻です…///

あー!響きが良い!!

菅:「そういえば、和はまだ来ていないの?」

一:「和は少し前にここに来て
少し用事があるから出かけてくるって
結婚式の前には戻ってくるって言っていたよ。」

菅:「和も凄いよね〜
乃木芸大を首席で卒業して
今はアーティストとして活躍している。」

五:「本当に才能が凄いよね!歌も上手いし!」

一:「才能か…」

○○のお父さん夢川☆☆は遺伝子を3つ残した。

一人はアルさん
もう一人は桜
あと一人は…もしかして…

いや、そんなわけないか…


__________________________

・○○サイド

遥:「本当なの⁈」

悠:「たしかに暗号通りだけど…」

ア:「どうして、今、そのことを…」

桜:「○○はいつから知っていたの…?」

○:「それを含めて、今から話す。」

○:「僕が高2の2.17。和に言われたんだ。
“○○が結婚するまでは
私がにゃぎに言われたことは誰にも話さない”って。
だから、今から話す。」

和:「うん…」

○:「僕は桜を生き返らせるために
夢川家の別荘にいた時に全ての暗号を解いた…」

僕たちは今まで隠していたことを話した……


__________________________

・和視点

和:「ふぅ…」

○○と美空の結婚式を終わり
披露宴の席に座っていた

菅:「2人の誓いのキスが長かったよね(笑)」

五:「普通は3秒〜5秒なのに
あの2人…20秒もしていた…(笑)」

和:「まあ、それだけ愛している証拠だから…」

2人が別れることはもう無いと思う。

冨:「私も誓いのキス見たかった…」

奈央は先ほど到着したため、結婚式を観ていない。

彩:「写真を撮ってあるみたいだから
あとで見ようよ。」

桜:「それにしても披露宴に参加する人多いね。」

和:「知り合いをたくさん呼んだらしいよ。
瑛紗さんやいろはもいるし
あとは…美空の親友の姫奈ちゃんも。」

私たちの知り合いはもちろん

彩:「あれって…怜奈さんたちだ。」

菅:「さくらさんたちもいるよ。」

○○が今まで関わってきた人たちがいた。
麻衣さんは真夏先生と一緒にいた。

和:「凄いな…○○は私たちと出会った時は
友達なんかいなかったじゃん。」

彼はひとりぼっちだった。

五:「○○は美空を嫌がっていたのにね。」

和:「美空は不器用だったから…
でも、美空の真面目なところが○○に伝わったから
○○も美空を気にかけるようになった。
2人は本当にお似合いだと思うよ。」



○○が笑っていられるのは美空のおかげだから。

本当にお似合いだと思う。

桜:「…」



_________________________

披露宴は順調に進んで
○○と美空が順番にテーブルを周ることに。

一:「はぁ…幸せ…///」

美空は○○にずっとくっついている。

菅:「幸せそうだね。」

一:「うん…///」

五:「惚気が溢れているよ(笑)」

一:「だって、こんなに幸せなことある⁈
他にないよね⁈ ○○!」

○:「ないね。」

○○は美空の腰に手を回し、答えた。

冨:「かっこいい〜♪」

○:「おい。馬鹿にしているだろ。」

冨:「してませんよ(笑)」

○:「まあ、良いけどさ…」

彩:「あっ、そうそう…○○君。
これからはお兄ちゃんって呼ぶのやめるね。」

一:「えっ?なんで⁈」

彩:「○○君は苗字を夢川に戻しますから。
それに美空先輩のことをお姉ちゃんって呼ぶのは…」

一:「期待していたのに!!!!」

一:「子どもができたら…
彩って名前にしようかな…うん。いいかも。」

うわぁ…趣味悪い…

彩:「辞めてください!!!」

彩は本気で嫌がっている。

○:「美空、呼び方で困るから
それはやらないからね。」

一:「ケチ…」

美空は頬を膨らませて、不満そうな顔をする。

桜:「○○。そろそろ
他のテーブルに行かないと時間ヤバくない?」

和:「1テーブル2分くらいにしないと…」

○:「あ、本当だ。美空、行くよ。」

一:「うん…!あなた…///」

2人は仲良く手を繋ぎながら、隣のテーブルに向かった。

五:「咲月…今、ふと思い出したんだけど…
東古宿のLOVEの目の前で
美空が必死に祈っていたよね。」

菅:「あー!懐かしい!!」

冨:「東古宿???」

奈央がぽかーんと口をあけている。

五:「そっか。奈央は知らないのかな。
あれは…高2の4月だった…」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

東古宿…

雨の降る外で美空はLOVEのモニュメントに向かって

一:「○○くんを落とせますように!!」

と神頼みをしていた。

菅:「おーい。美空さーん。そろそろ、45分経つよ。」

五:「そこに神頼みしても意味なくない?」

一:「よし!神頼みは終わり!
45分も祈れば、何かしら結果は出るはず!」

美空は祈るのを辞めて、こちらに戻ってきた。

五:「神頼みするくらいなら
もっと現実的なことをすれば?」

一:「現実的なこと?何をすればいいの?」

菅:「○○くんを落とすためのシミュレーションとか?
どういう風に距離を縮めればいいかを考えるべきかな。」

一:「なるほど…じゃあ、手伝って!
背が高い茉央が○○くん役ね!」

五:「はいはい(笑)」



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桜:「そんな事していたの?」

冨:「完全にヤバい人たち。」

彩:「頭おかしい。」

桜、奈央、彩が爆笑している。

五:「そうだよね(笑)」

菅:「でも、効果は多少あったと思うよ?
あの後、和からメールがあって。」

和:「私からメール?」

あれ?何を送ったかな?

菅:「”今、桜と一緒に○○くんの
家にいるんだけど来る?”って和から。」

和:「あ…あの時…」

思い出した…そういえば、あったね

五:「その直後に○○の家に行って…」

五:「そこから距離を徐々に縮めていったから。
まあ、シミュレーションも
神頼みもそんなに意味なかったのかな?」

菅:「でも、美空は有言実行だよね…
○○君を彼氏にしたがっていたから。」

彩:「乃木大も合格するし○○君と結婚するし…」

冨:「まるで最初から運命が決まっていたみたいですね。」

運命か…

菅:「私たちは負けたってわけか…」

五:「美空が強かったよ。」

彩:「○○君への愛が強かったから!」

そう…美空が強かった…
ただ、それだけ…

和:「…」

桜:「和、大丈夫…?」

隣の席に座っている桜が
私だけに聞こえる声で私の心配をしてきた。

和:「大丈夫…もう…運命はとっくの昔に受け入れたから…」

運命は受け入れるしかないの…

【最終話に続く】

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