『狼くんを落としたい』第37話
僕と悠理姉は番組収録をするスタジオに入った。
〇:「え?レイさんと美佑さんはまた遅刻ですか?」
怜:「買い物に夢中になっていて
電車に乗り遅れたと連絡が来たの。」
悠:「理由が酷い…」
同感です。寝坊のほうが遥かにマシ。
怜:「まあ、数分程度の遅刻みたいだけどね。」
怜:「収録に影響はほとんどないから
2人は気にしないでもいいよ。」
〇:「は、はぁ……」
それでも遅刻はマズいような…
怜:「それよりも○○君が持っている
その袋には何が入っているの?」
〇:「スタッフさんたちへの差し入れですね。
今日はお世話になるのでそのお礼に…」
礼儀をわきまえないといけないからね…
怜:「じゃあ、今から渡しに行こう。
その後に楽屋に案内するよ。」
僕はスタッフさんたちに
差し入れのケーキを渡しにいき挨拶をした。
スタッフさんたちは非常に喜んでいた。
そして、怜奈さんに楽屋に案内された。
・収録開始の直前
レ:「遅くなりました!」
松:「すみません!」
乃木女の2人が収録開始の10分前に着いた。
怜:「やっと来た…早くメイクをして準備して!」
レ・松:「はい!」
怜奈さんの一言で2人は急ピッチで準備を始めた。
〇:「本当に落ち着きがないですね。」
松:「年下の癖に生意気!」
レ:「ムカつく!!」
2人は僕を睨みながら反抗してくる。
怜:「事実だよ。○○君のほうが
2人よりも落ち着いているからね。」
悠:「本当にそれです。2人は遅刻をなくさないとね。」
レ・松:「はい……」
シュンとしながら2人は準備を終えた。
そして、収録直前…
与:「ここに立っていてね。」
この番組のプロデューサーの
与田さんに言われて、立ち位置に立つ。
〇:「はぁ…なんか、緊張しますね。」
沢山のカメラがあり、スタッフさんたちがいる。
多くの視線があり、本当に緊張する。
与:「リラックスだよ!楽しもう!」
そう言われても…相手チームのモデルの人も本当に可愛いし…
悠:「大丈夫。素の自分を出せばいいよ。。」
隣にいる悠理姉は優しく微笑み
悠:「トロッコに乗って、賞品をとろう!」
僕の手を優しく握った。
悠理姉のおかげで少しだけ緊張がほぐれた気がした。
そして、収録が始まった。
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・咲月サイド
私、茉央、奈央はさくらさん、遥香さん、あやめさんと
一緒にNEGAの番組の収録のために
スタジオの楽屋で待機していた。
遥:「○○に会いたい…」
遥香さんは机に頭を伏せながら嘆いていた。
菅:「○○と収録の時間が少しずれていましたからね。」
○○も番組の収録で隣のスタジオに来ている。
遠:「時間が空いていたとしてもダメ。」
筒:「遥香と○○が姉弟というのは
レイと美佑にも内緒にしているのだから。」
レイディオでこの事を知っているのは
怜奈さんと悠理さんだけです。
遥:「○○に会いたい…」
冨:「○○さんに毎日会えるのに…」
○○は本格的にホテル暮らしを始めた。
ホテルのほうが大学から近いかららしい。
NEGAも同じホテルに住んでいるから
すぐに会いに行けるはずだけど…
遥:「だって、22時以降は来ないで言われたし…」
菅:「え?そうなんですか?」
五:「一昨日くらいかな。大学とかで忙しくなりそうだから
22時以降は部屋に来ないでと○○に言われたよ。」
遠:「咲月はその場にいなかったから
それを聞いていないよね。」
私は一昨日、寝込んでいた。
菅:「そっか…でも、忙しいからしょうがないですよね。」
遥:「今日も明日も23時前に帰ることになりそうだし
○○に会えないよ~!」
遥香さんのブラコン度が日に日に酷くなっている。
遥:「私も今日はオフがよかったな…」
美月さんはドラマの撮影
史緒里さん、柚菜さん、真佑さんは一緒に野球観戦。
璃果さんは幼馴染と買い物らしい。
マネ:「そろそろ収録が始まるから準備しようね。」
マネージャーが時計を確認し、私たちに声をかけてきた。
五:「緊張してきた…」
私たちはNEGAに加入後、初めての番組収録です。
遠:「3人ともリラックスだからね!」
菅・五・冨:「は、はい!」
私たちは緊張しながら収録に臨んだ。
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・桜&美空サイド
私は桜の家で勉強していた。
桜:「そろそろ、休憩しようよ。もう2時間だよ?」
一:「ううん。この問題を解き終えるまでは休憩しない。」
私たちは乃木大を目指している。
一:「よし、終わった。」
英語の問題を解き終え、私も少し休憩することにした。
一:「私、乃木大に合格できるかな…」
○○に色々と教えてもらっているけど
成績がなかなか上がらない。
桜:「大丈夫だよ。美空には○○もついているから。」
○○は私のために自作の問題と
問題の解説動画を作ってくれている。
一:「桜は順調なのに……」
桜は判定も良いのに…私は…
一:「○○がこんなにサポートしてくれているのに…」
桜は○○にほとんど教えてもらっていない。
だから、私だけのために○○は
解説動画と問題を作ってくれている。
それなのに成績が全然上がらない。
桜:「大丈夫だって。○○が考えてくれているからさ…」
一:「う、うん…」
桜:「でも、凄いよね。○○はアル姉の動画の編集もやって
クイズの勉強もして、美空に勉強も教えてくれているから…」
本当に○○は凄いと思う。
SNSのフォロワーも伸びているし、カッコいい…けど…
一:「私、○○に迷惑かけているよね…」
私が○○の負担を増やしている気がする。
私はただの友達なのに…
桜:「そんなことないよ。
○○は美空のことを大切な友人と言っていたから。」
桜はこう言ってくれているけど、私は不安で仕方がない。
こんなにサポートしてくれているのに受からなかったら…
桜:「一緒に頑張ろう?」
一:「うん…」
はぁ……頑張らなきゃ…
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・アルノサイド
ア:「明日から大学か…憂鬱…」
体調も良くなったから、私は大学に復帰する。
奥:「アルさんに教えてもらう時間が
少なくなりそうで悲しいです。」
私は今までいろはに歌を教えていた。
ア:「大丈夫だよ。いろはは確実に上手くなっているから。」
瑛:「いろはは必ず受かるよ~。不安にならないの。」
瑛紗はコップに入った水を飲む。
ア:「それより、瑛紗は和ちゃんに
絵の勉強を教えなくてもいいの?」
瑛:「もう教えなくてもいいかな。
技術は私よりも上になっているし
このままだと首席で受かると思う。」
ア:「和ちゃん凄いな~。」
歌も上手いし…才能が凄い。
奥:「アルさんも凄いですよ。
Aruの動画の再生数!本当に人気じゃないですか!」
私が1.1から投稿した動画の総再生数が
3億1700万回を超えた。
現在のチャンネルの登録者数は317万人。
ア:「私の力じゃないよ。」
瑛紗が描いたアバターの絵と
○○の編集技術があるから…
私はただ顔出ししないで歌っているだけ。
2人のおかげでここまで来られた。
瑛:「音楽番組からオファーないの?」
ア:「あるけど、今は出ないようにしている。
私はこれから大学も始まるし大学に慣れてから出ようかな。」
ア:「それに私よりも○○だよ。」
○○はカッコいいから、人気が出るのは間違いない。
瑛:「でも、まさか...○○君がアルノの弟だったなんて…
家族揃って才能があるよね。」
奥:「本当にビックリしました。悠理ちゃんも…」
瑛紗といろはには私と○○が家族ということを話した。
奥:「そういえば、○○さんの
姉がNEGAの遥香さんということは公表しないのですか?」
世間は○○の姉が悠理さんだけだと思っている。
ア:「NEGAの人気にあやかっていると
思われたくないからだって。
だから、2人も内緒にしておいてね。」
瑛:「了解~!」
奥:「分かりました!」
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・和サイド
和:「描けた。」
私は自室で絵を描いていた。
最近は瑛紗さんに会っていない。
一人で勉強している。
和:「もう一枚描こう…」
私は新たな画用紙をイーゼルに乗せた。
和:「何の絵を描こうかな?」
猫:「にゃあ~…」
にゃぎは私の足元でくつろいでいた。
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・璃果サイド
矢:「NEGAの新しいメンバーの子
めちゃくちゃ可愛いよね!」
璃:「あ、さくから推し変するの?」
私は幼馴染の美緒と買い物を終えて、レストランに来ていた。
矢:「い、いや…さくちゃんだけ…」
美緒はさくの握手会に毎回来ている。
本当にガチのヲタクです。
矢:「そろそろ、関係者席に招待してよ…
幼馴染だから、行ってもいいでしょ?」
璃:「ダメ。美緒はさくに近づきすぎるから。」
一度、ライブの関係者席に招待したけど
楽屋でさくに近づきすぎて
さくがちょっと引いていたから招待していない。
矢:「もう近づかないから!」
矢:「お願いします!!」
璃:「えぇ…信用できない…」
本当に信用できないです。はい。
矢:「それより、NEGAのMV監督の件はどうなったの?」
璃:「その瑠奈という子の素性が分からないからダメだって。」
矢:「だよね…瑠奈も
私とタメ張るくらい、ガチヲタだからね…」
矢:「でも、瑠奈は実力で監督をやりそうな勢いだよ。」
瑠奈という子は映像作品の賞を獲ったみたいです。
矢:「それでね…瑠奈はAruという
今話題の顔出ししない歌手の話ばかりしていて…」
アルノじゃん。
矢:「動画の編集のDRという人のことばかり言っているの。」
DRって…○○君だよね…
矢:「編集の技術が凄いから
その人に会いたいとずっと言っていて。
璃果は何か知らないの?NEGAのメンバー全員が
Aruの最初のMVを拡散していたでしょ?」
璃:「私は知らないよ…」
知っているけど内緒にしないといけないよね…
矢:「そっか…」
矢:「ところで璃果の好きな人って本当に誰?
その人はさくちゃんのファンでしょ?
私、知っているかもしれないから教えてよ…」
璃:「内緒だよ…///」
璃果は頬を赤らめながら拒否した。
矢:「ケチ…さくちゃん推しでイケメンか…
私が自分で探すしかないな~。」
璃:「…」
矢:「う~ん。この子かな~?」
美緒はスマホを眺めながら首を傾げる。
矢:「最近、クイズで人気のレイディオに
男の子が入ったって話題でしょ?」
○○君のことだ…
矢:「その子はさくちゃんの握手会に
毎回いたような気がするんだよね。」
璃:「へぇ~」
矢:「もしかして、
璃果が好きなのはこの○○君?
イケメンと話題だし…
SNSのフォロワーも多い…」
美緒は○○君のSNSを見せてくる。
璃:「ううん…違うよ…」
矢:「そっか…じゃあ、誰かな…?」
璃:「…」
矢:「でも、この○○君は許せないな。」
璃:「え?どうして?」
矢:「だって、レイディオは
NEGAとも番組でよく共演しているでしょ?
もしも、この○○君が
さくちゃんと共演したら…」
璃:「大丈夫だよ(笑)」
矢:「いや、何があるか分からないから…」
美緒は○○君に敵対心むき出しだ。
璃:「…」
美緒、ごめんね。何も話せないの。
__________
・史緒里&柚菜&真佑サイド
田:「入った。」
柴:「推しのホームランだ!!」
久:「まだ一点差…」
私は史緒里と柚菜とワシとカモメの試合を見に来ている。
現在は3回裏です。
それにしても
田:「風が強くない⁈」
風が冷たいし、ご飯は食べづらいし…
野球はよく分からないし…
久:「真佑!ワシのグッズを持って!!
これから追い上げるから!」
柴:「いや、カモメのグッズを持って!
このまま逃げ切るから!」
2人は推しチームのグッズを押し付けてくる。
田:「えっと…」
私はどっちのチームを応援すればいいの~!!!
誰か助けてください!!
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・○○サイド
番組の収録が終わり、楽屋に戻ってきた。
怜:「○○君、本当に凄かったよ。」
レ:「漢字も全部正解しちゃうし…」
松:「トロッコで賞品も獲ってくれるし。」
僕は3人に褒められています。
トロッコの賞品は高級カレールーでした。
〇:「疲れた…」
結構、神経を使いますね。
怜:「じゃあ、悠理と○○君。
また、明日ね。明日は私の家で動画撮影するから。」
〇:「分かりました。」
レ:「じゃあね~」
松:「また明日~。」
怜奈さん、レイさん、美佑さんは
ラジオの収録があるみたいで先に帰っていった。
そして、楽屋内は僕と悠理姉だけになった。
悠:「私たちはこれからどうする?夕食でも食べに行く?」
〇:「いいね。どこに行こうかな。」
スマホを取り出して
僕は近くの飲食店を検索しようとしていたその時
コンコンと楽屋の扉がノックされた。
悠:「誰だろ?」
悠理姉が扉を開けると…
悠:「あ…」
玲:「どうも…」
保:「あ、悠理ちゃん!」
麗:「あの~、○○君はいますか?」
相手チームの3人がいた。
悠:「○○~呼ばれているよ~。」
悠理姉に呼ばれて、僕も扉の近くに向かう。
〇:「何か用ですか?」
麗:「この後、時間ある?一緒にご飯はどうかな?」
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ということで悠理姉と一緒に
麗奈さん、保乃さん、玲さんと近くのレストランに…
保:「本当に賢いんだね!」
麗:「かっこよかったよ~!」
〇:「え、えぇ…」
僕はずっと話しかけられている。
玲:「ちょっと、2人とも○○君、困っているでしょ?」
麗:「あ、ごめんね。ずっと会いたいなと
思っていたから…つい…」
〇:「会いたい?」
なんでやねん。
保:「SNSのフォロワーも10万人を超えているし
本当にかっこいいなと思っていたから…///」
〇:「10万人?へぇ~超えていたのか…」
数日ぶりに僕はSNSを開く。
麗:「知らなかったの?」
〇:「僕はSNSが嫌いなので全く見ないですね。」
玲:「何でSNSを開設したの?」
〇:「怜奈さんに告知とかをしたほうが良いから
開設してと言われたので…」
正直、SNSを消したい。
保:「でも、映える写真を載せれば
フォロワーがもっと増えるよ。」
〇:「別にフォロワーを増やしたいわけではないので…」
保:「そっか…」
保乃さんは分かりやすく落ち込んだ。
麗:「悠理ちゃん、○○君は普段から結構クールなの?」
悠:「うん。こんな感じ。」
玲:「普段はどういう生活をしているのかな?」
あまり喋らなかった玲さんが口を開く。
〇:「寝て、起きて、寝る…感じです。」
玲:「そっか…○○君、面白いね…」
玲さんは口に手を当てて笑っている。
この人は2人と違って、落ち着いているな…
麗:「インドアなタイプなの?」
〇:「ですね。部屋でずっとパソコンをいじっています。」
保:「なるほどね…」
アル姉の動画の編集もあるし
美空のために問題も作らないといけないから
ずっとパソコンを触っている。
麗:「あのさ…連絡先を交換できるかな?」
〇:「連絡先ですか?」
保:「また会うかもしれないし
色々とお話ししたいなと思って…」
〇:「まあ、良いですけど…」
連絡先くらいならいいよね…
麗:「ありがと~!」
僕は麗奈さんと保乃さんと連絡先を交換した。
〇:「玲さんは?」
玲:「え、私も交換してもいいの?」
〇:「ええ…別に良いですけど…」
逆に断る理由があるの?
玲:「じゃあ、お言葉に甘えて…」
玲さんとも連絡先を交換した。
玲さんは櫻大に通っているんだよな…
一応、3人のプロフィールは事前に調べました。
保:「ねぇ…今度、一緒にお出かけしない?」
〇:「お出かけですか…」
お出かけはちょっと…
保乃さんも麗奈さんも人気があるし…それに…
麗:「もしかして…彼女とかいる?」
僕の顔色を伺いながら、麗奈さんは尋ねた。
〇:「まあ…」
悠:「…?」
麗:「そっか…○○君、カッコいいから
彼女くらいいるよね…」
保:「どんな感じの子なの?
写真とか見せてくれることは出来ないかな?」
〇:「写真はちょっと…」
玲:「保乃。プライベートに踏み込みすぎだよ。」
保:「あ、ごめんね…」
〇:「いえ…」
麗:「その子は可愛い系、大人っぽい系?」
何でこんな質問ばかり…
〇:「まあ、可愛い系ですかね…」
玲:「麗奈も踏み込みすぎだから…」
麗:「○○君、ごめんね。本当に気になっちゃって…」
〇:「いえ…これくらいなら…」
________________
しばらくしてお開きとなった。
麗:「今日はありがとう!」
保:「あと、SNSに映える写真を載せれば
レイディオの知名度はさらに上がると思うよ!」
〇:「考えておきます。」
本当に知名度が上がるのか分からないけど
既にレイディオは怜奈さんたちのおかげで
知名度はあるし…
玲:「色々と迷惑かけてごめんね。」
〇:「いえ、大丈夫です。
僕のほうこそあまり答えられなくてすみません。」
玲さんは賢いよね。
それに引き換え…うん。言わないようにしよう。
保:「じゃあね~!」
麗:「楽しかったよ~」
玲:「ばいばい~」
3人は駅のほうに向かっていった。
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3人は駅からタクシーに乗った。
麗:「かっこよかった~」
保:「生は100倍かっこよかった~!」
2人は満足しているようだった。
玲:「2人とも変な質問をしちゃダメだよ?」
彼はちょっと嫌がっていたし…
麗:「そう言って…玲も
○○君のことが気になっているくせに…」
玲:「い、いや…///」
保:「“どういう生活をしている?“とかは
気になっていないと出てこない質問だよ?」
玲:「いや、ふ、普通に気になっているだけ!」
麗:「超、動揺している~」
悪い笑みを浮かべてこちらを見てくる。
玲:「していないから…!!」
普通に興味があったの…
__________________________
・○○サイド
〇:「疲れた…」
ずっと質問攻めだったし…3人とも可愛かったし…
悠:「あの子たちは悪い子たちじゃないからね?」
〇:「分かっているよ…」
悠理姉と仲良い人は信頼できるからね…
悠:「でも、彼女がいるって嘘をつくなんて…やるね~」
〇:「…」
悠:「外に出たくなかったからでしょ?
麗奈と保乃に踏み込まれたくなかったからでしょ?」
〇:「嘘じゃないよ…彼女がいるのは本当だから…」
悠:「本当に⁈」
悠理姉は声を裏返して驚いていた。
〇:「本当だよ。悠理姉にだけ教えるよ。
これは誰にも言わないでね。」
僕は彼女とのツーショット写真を悠理姉に見せた。
悠:「え?これって…NEGAの…」
〇:「誰にも言わないでね。
お姉ちゃんにも桜たちにも話していないから。
NEGAのマネージャーだけが知っているから。」
僕は写真を仕舞った。
悠:「いつから付き合い始めたの?」
〇:「一昨日くらいからかな…」
悠:「でも、何で?今まで接点あったの?
それに“恋人はもういらない“と言っていたよね…」
〇:「なかったけど…ここ1ヵ月で色々とあって…」
色々とありました…
悠:「告白されたの?」
〇:「うん。あっちから。何度も。」
悠:「そっか…」
悠理姉は分かりやすく動揺していた。
〇:「本当に話さないでね。本当に内緒だから。」
これは本当に極秘にしたい。
悠:「うん……分かった。
それと外でデートはなるべくしないようにね…」
〇:「分かっているよ。」
彼女とデートするのは僕の部屋だけと決めている。
悠:「あれ?あの車が合図を出しているよ?」
悠理姉が前方に止まっている車を指す。
明らかに僕たちを待っているようだった。
〇:「確か…あの車って…」
僕は少し早歩きで運転席を覗くと
マネ:「2人ともホテルに向かって歩いていた?」
NEGAのマネージャーがいた。
〇:「そうですね。」
マネ:「もしよかったら、乗っていく?
後ろの席が空いているからさ。」
悠:「いいのですか?」
悠理姉も先日から
ドリームリバーホテルに住むようになった。
マネ:「うん。いいよ。あと一キロも歩くのは面倒でしょ?」
ということでマネージャーが運転する車に乗ったのだが…
___________________
久:「…」
柴:「♪」
田:「2人ともこの席に座って?」
あからさまに落ち込んでいる史緒里さんと
あからさまに機嫌がいい柚菜さんと
特に何もない真佑さんがいた。
〇:「あの…この空気は…」
田:「私たちはさっきまで野球を見に行っていて…
柚菜の贔屓チームは勝って…」
〇:「史緒里さんの贔屓チームは負けたと。」
田:「そういう事…(笑)」
悠:「ふふっ…(笑)」
分かりやすいな…2人とも…
久:「3安打…完封負け…0-2…悔しい…」
柴:「推しがホームラン~♪」
〇:「あれ?でも…」
柚菜さんが応援するチームが勝ったということは…
_________________________
・彩の家のリビング
彩:「流石、完全試合の投手~!
7回無失点、被安打3、8奪三振~」
彩は試合のダイジェストをテレビで見ていた。
麻:「ほら…早くお風呂入って。明日も学校でしょ?」
彩:「は~い!」
彩はスキップをしながら浴室に向かった。
柴:「今度、彩ちゃんとも見に行きたいな~。
史緒里、また見に行こうね~。」
久:「○○君も一緒に来て!
真佑の応援は役に立たなかったから!」
おいおい。疫病神扱いかよ。
田:「ちょっと、それ…どういうこと⁈」
案の定、真佑さんは怒っている。
〇:「まあ、予定が空いていたら…」
_____________________
30分後…
〇:「よいしょ…今日は疲れたなぁ…」
ホテルの自室に帰ってきた。
○:「えっと…まずは着替えなきゃ…」
部屋着に着替えようとしたその時…
プルルルル♪
○:「美空から電話だ…」
僕は着替えながら…電話に出た。
○:「もしもし?どうしたの?」
一:「あのさ…私…合格するかな…?」
美空は泣き出しそうな声で電話をかけてきた。
○:「4月だからまだ分からないでしょ?
美空の計画はちゃんと作ってあるから。」
一:「で、でも…桜は順調で…私は全然…」
電話越しの美空の声は震えていた。
○:「桜は桜。美空は美空だよ?」
一:「でも…もし…私が落ちたら…
○○がせっかく教えてくれたのが無駄に…」
○:「美空なら合格できると思っているから。
落ちるとかは考えないの。今は我慢の時期だから。」
一:「う、うん…」
○:「何かあったら会いにいくよ?」
一:「大丈夫…!少し落ち着いたから…」
○:「頑張れそう?また何かあったら電話してね?」
一:「うん…!ありがとう…」
電話越しで美空が笑顔になったのが伝わってきた。
○:「それで今日はどれくらい解けた?」
一:「昨日送ってもらった英語の問題を全て解いたよ。」
○:「お〜、いいね。」
一:「でも、割と間違えちゃった…」
○:「そっか。解説動画は見た?」
一:「見たよ!分かりやすかった!」
○:「じゃあ…その問題で間違えた部分の
類題を今日の夜中に送るね?」
一:「ありがとう…○○もお仕事と大学頑張ってね。」
○:「うん。美空も頑張ってね。おやすみ。」
一:「うん!おやすみ!」
_________________________
電話を切った直後から僕はパソコンで問題を作り始めた。
○:「えっと…」
僕が美空に自作の問題を送り、美空は解いた結果を送ってくる
それをひたすら繰り返していた。
○:「ここの文法も苦手…」
苦手な部分をピンポイントで克服する。
乃木大に受かるには苦手な部分を
極限まで無くすのが必須だから
それを繰り返すようにしていた。
○:「模試はよくないけど…
美空は確実に成長しているんだよなぁ…」
美空は不安そうだったが確実に成長していた。
秋くらいには一気に点数が上がるはず。
○:「よし…出来た。」
作成した問題を美空に送り
美空の今までの成績を確認した。
○:「現代文も作らないと…世界史も2〜3題必要かな…」
毎日、2〜3時間くらいかけて
美空のために時間を割いていた。
桜も美空も2人とも本当に受かってほしい
その一心で問題と解説動画を作っていた。
○:「もう…こんな時間…」
気づけば、24時30分になっていた。
○:「30題は出来たから、今日はこの辺で終わり…」
パソコンを閉じて、水を一杯だけ飲んだ。
○:「ふぅ…」
一息ついたとき”ピンポーン”とインターホンが鳴った。
○:「来た…」
僕は駆け足で玄関に向かい…ドアを開けた。
璃:「やっほ〜」
可愛らしい服装を身に纏い…
優しく微笑んだ彼女がそこにいた。
僕は彼女を部屋の中に入れた。
璃:「今日は収録だったでしょ?どうだった?」
○:「うーん…まずまず…かな。
本当に緊張した…一応、賞品は獲ったよ。」
トロッコで獲った賞品を彼女に見せる。
璃:「高級店のカレールーだ♪今から食べたいな〜」
○:「え…?こんな時間に?大丈夫?」
夜食にしては多すぎるし…
璃:「1皿を2人で一緒に食べれば問題ないよ〜。」
○:「分かった。今から作るね…」
僕はキッチンに向かおうとすると…
璃:「私も一緒に作るよ…///」
と頬を赤く染めながら
僕の服の袖を少しだけ引っ張ってきた。
_________________________
数十分後…
○:「これでいいかな…」
具材をルーと一緒に煮込み始めた。
璃:「流石…!本当に料理が得意だね…!」
○:「これくらいは簡単だよ。」
璃:「頼もしい…///」
彼女は僕の腕にくっついてくる。
○:「火には気をつけてね。」
璃:「うん…///」
_________________________
数分後…
○:「あとは盛り付けるだけ…」
僕はご飯とルーをお皿に盛り付ける。
璃:「良い香り…」
彼女は香辛料の刺激的な香りを嗅いでいた。
○:「食べるよ…離れないとテーブルに行けない…」
璃:「そっか…」
彼女は寂しそうに繋いだ手を離して…席に着く。
_________________________
璃:「美味しい…///」
彼女は美味しそうにカレーを食べる。
璃:「一口食べる?」
僕は彼女の提案に頷き…
彼女はスプーンで一口分装い…
璃:「あーん。」
と言いながら…彼女は僕の口にカレーを運んだ。
○:「ちょっと、辛いね…」
璃:「そうだね〜♪美味しい♪」
彼女は辛さを気にせずに平然と食べていた。
璃:「楽しいね…○○君…///」
と彼女は上目遣いで僕の目を見てきた。
璃:「でも、嫌だなぁ…ここでしかデート出来ないなんて…」
○:「しょうがないよ…
周りに知られてはいけないから…」
璃:「そうだよね…」
璃:「私と○○君が付き合い始めたのは
マネージャー以外には内緒だよね…」
【第38話に続く】