『狼くんを落としたい』 第18話
NEGA 5周年ライブ当日
私たちは麻衣さんの車で会場の駐車場に着いた。
和:「人がいっぱいいる…」
物販は5kmの行列が出来ているみたい。
一:「グッズ買えるかな…?」
麻:「美空ちゃん、その心配は要らないよ!
私が知り合いに頼んで、貰ってくるから。」
○:「コネばかり…」
助手席の○○が毒を吐く
麻:「○○はグッズいらないの?」
○:「僕は事前に買ってあるからいらない。
桜と2人で行くつもり用に買っていたから。」
桜:「私もいらないです!」
桜と○○はさくちゃんのタオルを見せる
2人ともガチだなぁ。
美空は今年からファンになったから
グッズを事前に買う機会がなかったみたい。
麻:「欲しいグッズを決めたら
スマホのメモに書いて彩に送ってね。」
彩:「え、私に?」
麻:「私は和ちゃんたちの連絡先を知らないから。」
彩:「あ、そっか。」
和:「ねぇ、○○。誰のグッズがいいの?」
私はグッズについて詳しく知らない。
ペンライトを振っているイメージしかない。
○:「タオルとペンライトがあれば十分。
メンバーは誰でもいいと思う。」
桜:「私たちと同じようにさくちゃんでもいいし
写真集が爆発的に売れたかっきーでも。」
和:「私はかっきーのタオルにしようかな…」
私が初めて握手した相手だし…
咲月は真佑。
なおまおは史緒里。
美空は美月。
欲しいグッズを明記して
彩ちゃんにメールを送った。
麻:「彩はどうするの?」
彩:「私も和先輩と同じようにかっきーのタオル。」
麻:「おっけー。」
麻衣さんは車から降りて、グッズを貰いに行った。
和:「さくちゃんを選ぶと思った。意外。」
てっきり、兄と同じのを選ぶのかと。
彩:「2人で足りているじゃないですか(笑)」
まあ、確かに。
熱狂的なさくちゃんファンが2人もいるからね。
彩:「それにかっきーの写真集を
買っていいなと思ってしまったので。」
○:「は?いつの間に買ったの?」
彼も知らなかったみたい。
彩:「1週間前。さくちゃん推しの
お兄ちゃんには見せないけどね!」
○:「別に見せなくていいよ。僕も購入済みだから。」
あなたはさくちゃん推しでは?
桜:「○○、浮気…?」
○:「売れている理由を知りたくて…」
言い訳にしか聞こえない。
和:「理由は分かったの?」
○:「うん。まずはSNSのプロモーションがよかった。
あれで買う人が増えたと思う。
そして、かっきーの表情。あれはもう完璧でしょうね。
全てが完璧だから…(以下省略)」
熱く語ってくれた。
でも、さくちゃん推しだよね?
一:「じゃあ、○○は胸が
そこそこある子が好きなんだね。」
○:「おい。」
和:「今の熱く語った内容を聞いて
何でそういう結論になるの?(笑)」
一:「気になるから。」
菅:「私も気になる。」
その疑問は写真集と関係ないじゃん。
五:「そもそも、○○は胸の大きさを気にするの?」
○:「どうでもいい。」
まあ、彼はそう言うでしょうね
そして、数分後に麻衣さんがグッズを持ってきた。
開場時間になるまで
私たちは車の中でしりとりをしていた。
美空が全敗した。
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開演30分前 NEGA楽屋
遥:「はぁ……」
遥香は深いため息をついていた
山:「大丈夫?」
遥:「緊張する…新曲を初披露するから…」
NEGAの次のシングルのセンターと
新曲をライブの最後に発表する。
新曲のセンターは遥香。
山:「かっきーなら大丈夫。」
遥:「う、うん…」
美月は遥香の肩に手を添える
遠:「○○君が来ているといいなぁ…///」
久:「あの可愛い子たちが来ているといいなぁ…///」
2人は頬杖をつき浮かれている様子。
山:「この2人は緊張感のかけらもない。」
田:「かっきー、リラックス!」
真佑は遥香の背中を叩く
璃:「かっきー。あやめんが
どこにいるか知らない?」
遥:「どうせ、ファンの人の写真を撮っているでしょ?」
筒:「正解〜♪」
柴:「いや〜、人がたくさん入っていた♪」
あやめと柚菜が楽屋に戻ってきた。
筒:「○○君と史緒里が言っていた
可愛い子たちも来ていたよ。」
柴:「私も確認した!」
久:「嘘!!」
遠:「○○君…///」
2人は立ち上がり、歓喜の声を上げる
遥:「っていうか、どこからそれを確認したの?」
山:「ファンの人が気づくでしょ。」
ファンしかいないから気づく人もいるはず。
筒:「意外とバレなかったよね〜。」
柴:「うん!」
璃:「今、エゴサしたら
あなた達2人が観客席の
近くにいたって出てきたけど。」
璃果はスマホを触りながら話す
田:「本当だ!柚菜とあやめんの画像が出てくる!」
真佑はスマホをみんなに見せる
遥:「はぁ⁈変装してないじゃん!」
筒:「マネージャーが変装なしを許可したから。」
柴:「私たちは変装する気だったのに。」
マネ:「5周年だからそういう
サプライズがあってもいいでしょ?」
遠:「じゃあ、私も○○君の近くに…///」
さくらは楽屋を出て行こうとする
山:「特定の個人に肩入れするのは辞めて。
ファンの人に気づかれたら、どうするの?」
遠:「うっ…我慢…」
さくらは自分の席に戻る
遥:「そろそろ、円陣組もう!」
NEGAではライブ前に円陣を組むのが慣習
遥:「えー…頑張っていきましょう!」
おー!!
円陣を終えて、ライブの最終準備を始める。
遥:「はぁ…不安…」
また、遥香はため息をつく。
遠:「かっきー。私たちがいるから。」
さくらは遥香の手を握る。
遥:「さく…ありがとう。」
遠:「さて!私は○○君を探さなければ。」
さくらはすぐにいつもの様子に戻る
遥:「ふふっ(笑)」
そして、ライブが始まった。
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関係者席はステージと近いため
メンバーも近くに来る。
一:「あ、美月だ!」
美月は近くに来て、美空にレスをする
一:「か、かわいい…////」
美空は釣られている様子。
五:「奈央ちゃん、しーちゃん来たよ!」
冨:「お〜い。」
史緒里が近くに来たため、なおまおはタオルを掲げる
久:「⁈」
史緒里はなおまおに手を振る
五:「振ってもらえた!」
冨:「ですね!」
このようにみんなはレスを貰っている
和:「かっきーが来ないよ。」
桜:「さくちゃんも来ない…」
さくちゃんとかっきーが私たちの近くに来ません。
○:「しょうがないよ。
メンバーの動きは決められているから。」
なんか、冷めているよね。
普通は来ないことに対して焦りそうだけど。
麻:「あ、あやめちゃん!」
筒:「♪(ウインク)」
麻衣さんはあやめんのタオルを持っていた。
○:「なんで、あやめんなの?」
麻:「あやめちゃんが小さい頃に
私とお仕事をしたことがあって…」
そうだったんだ。流石、元モデル。
○:「でも、あんたも老けたから
覚えられてないでしょ?」
麻:「ふんっ!」
ぎゅっ…
○:「痛い…」
麻衣さんは○○の腕をつねる
麻:「私は保とうと頑張っています!」
彩:「あ、かっきーとさくちゃんが来たよ!」
曲が変わり
かっきーとさくちゃんが私たちの近くに来る
○:「さくちゃん…気づいてくれるかな。」
桜:「気づいてくれるよ。」
2人はさくちゃんのタオルを掲げる
遠:「…⁈……♡」
さくちゃんは2人にハートを飛ばす
桜:「ほら!気づいてくれた!」
○:「ハート…///」
○○もレスにやられている様子
彩:「和先輩もタオル!」
和:「う、うん!」
私と彩ちゃんはかっきーのタオルを掲げる
遥:「…♪」
かっきーは私たちを指す
彩:「レス貰えましたね!」
和:「う、うん!///」
レスを貰えると嬉しい…/// ライブにハマりそう…///
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ライブはあっという間にアンコールへ。
山:「アンコールありがとうございます〜♪」
久:「今から新曲を披露します!」
史緒里の言葉で客席が熱狂する
一:「どんな曲かな!」
桜:「ワクワク♪」
私たちも盛り上がっています。
舞台の照明が暗転して
曲のイントロが流れ始める
ファンの人は静かにそのイントロを聴いている
そして、照明が点灯するとかっきーが映し出された。
その瞬間、会場は大歓声に包まれた。
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ライブ終了後 NEGA楽屋
遥:「怖かった(涙)」
遥香は泣いていた。
山:「最高のパフォーマンスだったよ。」
美月は遥香を抱きしめる
遥:「ありがとう(涙)」
遠:「○○君がいたー!!!」
久:「あの可愛い子たちもいたー!!」
さくらと史緒里は騒いでいる。
山:「ライブ後なのに元気だね(笑)」
遥:「うん(笑)」
美月と遥香は二人を見守る
マネ:「遥香、さくら、あやめ!
番組のコメントを撮るから
ちょっと、こっち来て!」
遥:「あ、はーい。」
3人は楽屋の外に…
久:「○○君とあの可愛い子たちは
多分、知り合いだよね!」
○○と五重奏は隣の席だった。
璃:「史緒里?今、調べたんだけど
この高校の写真にね…○○君と
あの可愛い子たちの写真が…」
璃果はスマホの写真を見せる
久:「ほ、本当だ…」
○○と五重奏が写っているのは昨年の文化祭の写真。
山:「璃果、どこから
そんな写真を見つけてくるの?」
田:「変態?」
璃:「違うよ!前にあやめが…」
〜〜〜〜〜〜〜〜
2ヶ月前
璃:「何を見ているの?」
筒:「んー?知らない高校の文化祭の写真。」
璃:「なんで?文化祭の写真?
それも知らない高校の写真を…」
筒:「私が普通の高校生だったら
どんなことをしていたのかなと妄想するために…(笑)」
〜〜〜〜〜〜〜〜
田:「あやめが変態だったか。」
柴:「でも、これでNEGAに勧誘をしやすくなるよね?」
久:「そうだ!この高校に突撃すれば…」
山:「そんなことをしたら、この子たちに迷惑でしょ!」
久:「けち…」
史緒里は頬を膨らませる。
マネ:「美月〜!ドラマの告知の
コメントを撮るから、こっち来て〜!」
山:「あ、はーい!」
美月も楽屋を出ていき
史緒里、真佑、柚菜、璃果だけになった。
久:「ねぇ…3人とも…
私たちだけでこの子たちを勧誘しようよ…」
史緒里が小声で3人に話しかける
田:「美月は止めていたけど…?」
久:「美月は勧誘に一度失敗しているから
私たちを止めているだけだよ…」
柴:「確かに…あの子は美月のせいで
NEGAに入ることを辞めてしまったからね…」
璃:「私たち4人で新戦力を見つけないと。」
田:「美月やさくたちに内緒で勧誘するの?」
久:「もちろん。私たちだけで
NEGAに新しい風を吹かせる。」
そして、彼女たちは4人だけの
メールグループを作成した。
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彩:「ライブ楽しかった〜!」
お母さんは先輩たちを送る前に
私とお兄ちゃんを家に送った。
今は先輩たちを送っているため
家には私とお兄ちゃんの二人きり
○:「お風呂入ってくる。」
お兄ちゃんは浴室に向かう
彩:「…」
私はお兄ちゃんの部屋に侵入した。
彩:「あった…色紙…」
私はお兄ちゃんの部屋にある
直筆サインの色紙を手にとる。
彩:「あなたは桜先輩、私、お兄ちゃん…
いや、○○くんを見て、驚いていたね。」
○○くんはいつになったら
あなたのことを姉だと気づくのか
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翌日、僕は桜の家にいた。
桜:「プールに入ろうよ♪」
○:「え、でも…水着が…」
昨夜、何も持ってこなくていいと
桜からメールが届いていた。
桜:「大丈夫!水遊び程度だから!」
○:「あ、ちょっと…」
桜は僕の手を引き、屋外プールへ…
○:「ちょっと、水かけないでよ。」
桜:「ふふっ」
桜は僕に水をかける
○:「着替えも持ってきてないよ…。」
既に服はびしょびしょに濡れている
桜:「用意してあるから大丈夫!
今は思いっきり、楽しもうよ!」
桜は水鉄砲を僕に渡す
○:「顔面狙うけどいい?(笑)」
桜:「どうぞ〜。私も狙う!」
僕たちは水遊びを楽しんだ
この歳で水遊びはばかげていると思ったが
遊んでいるうちに懐かしい
感覚を思い出した気がする
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お互いの服も髪もびしょ濡れだ。
桜:「冷たい…」
○:「久々にこんなに濡れたかも。」
僕と桜は水遊びに疲れ
プールの床に仰向けになる。
○:「でも、何で急にこんなことを?」
デートで子どもがするような
遊びをするのは違和感がある
桜:「昔、私たちが会ったときに
ここで水遊びをしたとお母さんが言っていたの。」
○:「私たちって…彩と桜と僕と僕の姉?」
桜:「うん。私はその事を覚えていなかったけど…」
○:「僕も覚えていなかったけど
さっき懐かしい感覚を思い出した。」
○:「多分、その時の感覚だと思う。」
桜:「○○も思い出したんだ。」
○:「僕もってことは…桜も?」
桜:「私も思い出した。私が○○にキスしたことも。」
えっ⁈
○:「キス⁈///」
桜:「も、もちろん…ほっぺただよ…///」
まあ、そうだよね…子どもだからね…
○:「僕は思い出せないけど…///」
桜:「思い出させてあげよっか?」
○:「別にいらないよ…///」
桜:「咲月とはキスしたのに…」
桜は頬を膨らませる
○:「それは咲月が一方的に…///」
桜:「私も一方的だったらいいの?」
〇:「いや…その……」
返答に困ります…
桜:「今は見逃してあげる…」
桜は起き上がる
○:「今から何するの?
水遊びだけで終わりじゃないよね?」
桜:「さすが、○○。察しがいいね♪」
いや、全員が察すると思うよ。
これでデート終了はあり得ないから。
桜:「浴衣を着て、花火をしようと思うの。」
○:「花火…?」
桜:「夏といったら夏祭りだけど
もう、終わってしまったし…」
近所の夏祭りは2週間前に終わった。
桜:「夏祭りの気分を味わうには
浴衣と花火しかないのかなと思って…」
○:「いいね。花火。」
桜:「でも、線香花火だよ?(笑)」
○:「そんなの気にしないよ。
楽しめるのなら何でもいい。」
打ち上げも線香で楽しさは変わらない。
桜:「やっぱり…○○は優しいね。」
○:「それで浴衣は?」
桜:「部屋にあるよ♪今から取りに行こっ!」
桜はプールサイドに上がる
○:「でも、濡れたままで屋内に入っていいの?」
この格好だと床がびしょ濡れになるのは必至
桜:「大丈夫!玄関にタオルを置いておいたから!」
玄関に行くとちゃんとタオルが用意されていた。
僕たちは濡れた箇所を
タオルで拭き、浴衣に着替えた。
僕は浴衣に慣れていなかったため
桜に少し手伝ってもらった。
〇:「何年ぶりに浴衣を着たかな。」
桜:「彩ちゃんとお祭りには行かないの?」
〇:「彩とは一度も行ったことない。
夏休みは毎年引きこもっていたから。」
最後に夏祭りに行った記憶が思い出せない。
下手したら、10年以上前かもしれない。
桜:「そっか。○○もかき氷食べる?」
桜はかき氷を食べているが
僕は食べたい気分ではなかったため
先ほど、断っていた。
〇:「一口だけいいかな?」
でも、浴衣を着ると少し食べたい気分になった。
桜:「はい♪あーん♡」
桜は僕の口にかき氷を運ぶ。
〇:「美味しい。」
外の暑さなのか。
桜と一緒にいるおかげなのか。
普段の何倍も美味しく感じる。
体温は暑さの影響で上がったままだが
口の中の温度が一瞬だけ下がった気がする。
桜:「キスしちゃったね…///」
〇:「え?」
何のことかと思ったが
桜がスプーンを1つしか
持っていなかったため
その言葉の意味がすぐに分かった。
〇:「全く意識してなかった…///」
桜:「ん~美味しい♪」
彼女は同じスプーンを使い
かき氷を口に入れる。
桜:「でも、さっきよりも美味しいかも…///」
桜は微笑んで、こちらを見てきた。
彼女の頬は夕陽で照らされた影響か
それとも、間接キスによる照れなのか
真っ赤に染まっていた。
〇:「花火はいつから始めるの?」
間接キスの話題を逸らそうとした。
桜:「もう少し…暗くなってからかな。」
今の時刻は18:00
夏のため、まだ太陽は沈んでいない。
完全に日が沈むまで僕たちは待つことにした。
桜:「昨日のライブは楽しかったね。」
〇:「うん。行ってよかった。」
久しぶりに生のさくちゃんを見ることが出来て
みんなでライブに行ったこともあり
本当に楽しい一日だった。
チケットを断らなくてよかった。
桜:「でも、新曲のセンターは
さくちゃんじゃなかったね。」
NEGAの新曲のセンターはかっきー。
さくちゃんはかっき―の隣だった。
桜:「前々回がかっきー
前回が美月&しーちゃんときたから
今回はさくちゃんだと思っていたけど。」
〇:「でも、僕はそういう
ポジションを気にしていないかな。」
桜:「どうして?」
〇:「別にどこのポジションでも
さくちゃんの輝きは変わらないし
魅力が落ちることはない。」
〇:「センターが注目を集めるのは間違いない。
メンバーも立ち位置を気にすると思う。
でも、応援する側がポジションを
気にしてしまうとその子の魅力が
立ち位置に左右されているようで僕は気分が悪い。」
桜:「なるほど…」
〇:「人の魅力は人工的な尺度によって
変動するほど脆くないと僕は思う。」
桜:「深く考えているんだね。」
〇:「最近、立ち位置や固定観念について
考えるようになっただけだよ(笑)
今回の曲のタイトルも別に何とも思わない。」
〇:「●●らしさに縛られているせいで
新たな魅力の芽をつぶしてしまうのは
本当にもったいないと思う。」
桜:「確かに魅力が埋もれる気がする。」
〇:「だから、さくちゃん以外の
メンバーの魅力も見つけたい。」
〇:「一つのことに集中しすぎて
姉のことを忘れてしまったからこそ
注意深く、周りに気を配りたい。」
桜:「それでかっきーの写真集を買ったの?」
〇:「うん。魅力に気づきたかったから。
次はかっきーと話したい。
センターおめでとうと伝えたいから。」
次のシングルの一次は外れたけど。
二次応募では当てたい!
桜:「さくちゃんに“浮気!“と言われるよ?」
〇:「それはまあ…
バレずに行くから(笑)」
バレた時のために
何と説明するか考えないと…
桜:「あと、○○に話していなかったけど…」
桜:「私がさくちゃんを好きになったのは
実は○○の影響なの。」
〇:「どういうこと?」
桜:「一年の時に○○が
さくちゃんのキーホルダーを鞄の中に
入れていたのを見ちゃって…」
桜:「その時から○○のことが気になっていたから…
私もファンになって一緒に話したいと思っていたの。」
確かに去年は一度だけ
学校にキーホルダーを持って行ったことがある。
でも、見られていたとは…
桜:「ごめんね。」
〇:「謝ることじゃないよ。
桜が好きになったおかげで
僕はみんなと話せるようになったから。」
〇:「桜には本当に感謝している。」
桜がいなかったら
五重奏と話すこともなかったし
明るくなることもなかった。
桜がいなかったら
僕は友達の大切さに気付かなかっただろう。
_______________________________________
日が完全に沈んだため
線香花火をすることに。
桜:「きれい…」
〇:「あ、火が消えちゃった。」
桜:「早くない?(笑)」
〇:「次こそは…」
新しい花火に火をつける
桜:「明日から学校だね。」
今日で夏休みが終わり、明日から学校が再開する。
〇:「嫌だなぁ…」
桜:「お互い頑張ろうね♪」
桜がそういった瞬間
桜・〇:「あ……」
2人の花火の火が落ちた。
〇:「消えちゃったね…」
また、僕のほうが早く火が消えた…
桜:「…」
〇:「新しいの…」
僕が新しい花火を取り出そうとしたとき…
ギュッ……
〇:「え………?」
桜が僕の首に手を回し、正面から抱きついてきた。
〇:「桜……?」
別荘の時よりも抱きしめる力が強かった
桜:「○○…」
桜:「大好き…」
桜は僕の耳元でそう呟いた。
〇:「桜…」
香水の匂いが僕から離れる
桜:「私は○○のことが本当に好き…
私を彼女にしてくれませんか?」
彼女は僕の目をまっすぐ見て想いを伝えてきた。
__________________________________
咲月の家
菅:「明日の準備をしないと…」
私は登校日に必要な荷物を鞄に入れていた。
誰かがケガした時のために絆創膏も入れた。
私は偉い!
~♪(着信音)
菅:「○○から電話?」
彼から電話が来るのは珍しい。
私は少し緊張しながら通話ボタンを押した。
菅:「もしもし?」
〇:「…咲月?今、大丈夫…?」
菅:「うん!今、明日の準備をしていたところだから。
あのさ、登校日に提出する課題は数学だけだよね?」
〇:「うん…数学だけだよ…」
菅:「ありがとう♪」
私は数学の課題を鞄に入れる。
菅:「ごめん。私が喋ってしまって…
それで○○の要件は?」
〇:「その…デートの時に観覧車で
咲月が言っていたでしょ……?
最初に連絡してほしいって……」
~~~~~~~~~
〇:「咲月の想いも伝わったから。
なるべく早くに答えを出せるようにするね。」
やっぱり、彼は優しい。
菅:「答えが出たら
最初に私に連絡してくれると嬉しいな。」
~~~~~~~~~
菅:「え………」
〇:「覚えているよね…?」
菅:「う、うん……」
彼とのデートの会話はほとんど忘れていない。
だから、私は察した。
菅:「覚えているよ……」
聞きたくなかった……
彼が発する次の言葉を……
〇:「桜と付き合うことにした。」
菅:「そっか…おめでとう…」
頭の中が真っ白になった。
〇:「咲月の想いに答えることが出来なくてごめん…。」
彼はこんな時も気を遣ってくれる
菅:「大丈夫だよ……!桜のことを大切にしてね…!」
〇:「もちろん。」
菅:「おやすみ……また、明日……」
〇:「うん。また明日。」
私は電話を切った。
菅:「うぅ…(涙)」
彼との会話が終わった瞬間から
涙が急に溢れ出てきた。
その涙は今までの想いを象徴しているようだった。
本当に涙が止まらなかった。
私は泣き疲れて、そのまま、寝てしまった。
翌朝、起きると五重奏のグループに
桜からメールが届いていた。
【第19話に続く】
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