『狼くんを落としたい』 第40話
・○○サイド
○:「はぁ…よかったぁ…」
無事に優勝しました。100万円獲得です。
与:「おめでとう!これが賞金ね!」
番組のプロデューサーの与田さんに賞金を貰った。
○:「ありがとうございます。」
封筒が厚いですね…
与:「何に使うか決めている?」
○:「特には決めていないですね。」
いつか必要になった時に使おうかな…
与:「そっか!好きなように使っていいよ!
いつも番組を盛り上げてくれてありがとね!」
○:「僕は何も…」
淡々とクイズに答えているだけで…
与:「圧倒的な強さは魅力的だよ!自信持っていこう!」
○:「あ、ありがとうございます…」
これからも圧倒的な強さを見せていこうかな…
心の中で決意をして僕は楽屋に戻ろうとしたのだが…
玲:「○○君!」
玲さんが廊下にいた。
○:「どうしました?」
凄い焦っているような…
玲:「○○君のお姉さんが
NEGAのセンターのかっきーって本当⁈」
○:「えっ…?」
どこでその情報を…玲さんには話していないのに…
玲:「ネットニュースに出ていたの…」
玲さんはスマホの画面を僕に見せる。
○:「ラジオ番組…?」
玲:「レイちゃんと美佑ちゃんのラジオみたい…」
○:「どういうことだろう…」
なんで、姉ということを話しているの?
玲:「お姉さんということは本当なの?」
○:「本当ですけど…ちょっと待ってください。
怜奈さんたちと話さないといけないので…」
玲:「そうだよね…急に呼び止めてごめんね…」
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僕は楽屋に戻った。
怜:「美佑、どういうこと⁈経緯を説明して!」
怜奈さんが美佑さんに電話をしていた。
悠:「○○…レイと美佑のラジオで…」
○:「玲さんに聞いた。でも、詳しい状況が…」
悠:「生放送のゲストが遥香だったみたいなの…」
○:「お姉ちゃんがゲスト?」
どういうこと??
悠:「なんで、そういう状況になったのかは
音源を聴かないとよく分からないけど…」
○:「だよね…」
僕は音源を調べるためにスマホを開くと
○:「桜から留守電が大量に…きている。」
僕は桜に折り返しの電話をかけた。
桜:「あっ…○○…電話に出なかったから心配したよ!」
○:「ごめん。さっきまで収録があって…
それで電話で話したかったことって?」
桜:「生放送のラジオで…レイさんと美佑さんが…」
○:「桜はそのラジオを生で聴いていたの?」
毎回聴いていると前に言っていた。
桜:「う、うん…」
○:「どういう状況だったの?」
桜:「遥香さんが○○についての
質問をレイさんと美佑さんにぶつけていて…
レイさんがポロッと“ブラコンですか?”と言ってしまって…」
○:「お姉ちゃんがふっかけたということ?」
桜:「そんな感じ…音源を聴いた方がいいかも…」
○:「分かった。ありがとう。
あとでお姉ちゃんたちに聞いてみる。」
○○は電話を切った。
○:「レイさんたちは悪くないみたいだな…」
怜:「はぁ…困ったなぁ…」
怜奈さんも電話を終えていた。
○:「レイさんたちは悪くないみたいですね。」
怜:「う、うん…でも、ポロッと言ってしまうのはね…」
厳しいな…怜奈さんは…
○:「お姉ちゃんに聞かないと…」
なんで、僕の事ばかり2人に聞きまくったのか…
怜:「NEGAのスタッフさんにどうするべきか聞かないと…」
○:「今から行きます?
お姉ちゃんも事務所にいると思いますし…」
怜:「そうだね…」
僕たちはタクシーに乗った。
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○:「うわ…SNSのコメント欄が凄い…」
お姉ちゃんに関することばかりで埋まっていた。
○:「まだコメントしない方がいいですよね?」
怜:「うん。詳しい状況聞かないとダメかな。
NEGAの事務所とも話さないといけないし。」
そうだよね…
悠:「トレンドに入っているね。○○と遥香のこと…」
ネットニュースのトップにもなっていた。
○:「乃木大飛び級の天才とNEGAのセンターが姉弟!って…」
見出しが強烈すぎるよ…
悠:「話題のイケメンだって。」
悠:「売名と思われなかったね。」
○:「はぁ…それはよかったです…」
フォロワーを増やしておいたおかげで
一旦、変に叩かれなかったから良かった…
でも、お姉ちゃんに聞かないとなぁ…
僕についての質問をぶつけた理由を知りたい…
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・NEGAの事務所
マネ:「あのねぇ…
○○君の許可も得ずに勝手な行動をしすぎ…」
遥:「でも、弟ということを伝えたくて…」
マネ:「はぁ…うちの事務所は構わないけど
○○君にちゃんと説明しなよ…」
遥:「はーい…」
事務所に着いた。
○:「お姉ちゃんいますか〜?」
遠:「遥香はそこの部屋でマネージャーに軽く叱られているよ。
うちの遥香が迷惑かけてごめんね。」
さくらさんが紅茶を飲んでいた。
○:「いえ…迷惑というわけでは…」
怜:「あっ、遥香ちゃんが部屋から出てきたよ。」
遥:「あっ…○○…」
少し落ち込んだ様子の姉が部屋から出てきた。
遥:「本当にごめんなさい…」
姉は土下座してきました…
○:「ど、土下座って…」
○:「怒っていないけど…」
遥:「本当に…?」
怒るほどのことじゃないし、土下座はやりすぎです。
悠:「どういう流れで○○君が弟ということを話したの?」
遥:「じ、実は…」
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・遥香視点
数時間前…
遥:「(なに、聞こうかな…)」
○○と一緒のグループに所属している
彼女たちのラジオに出ることが決まり
私はずっとそわそわしていた。
○○について聞きたかった。
どんな感じで過ごしているのかな?と
ずっと気になっていた。
でも…
レ:「遥香さんはこの相談どう解決しますか?
好きな人に告白するのを躊躇ってしまうと
メールに書かれていますが…」
遥:「当たって砕けろ!かな?」
松:「お〜!」
遥:「ガンガン押していったほうがいいよ!」
ラジオは普通に進んでいた……
遥:「(はぁ…)」
○○について聞ける機会はないのかなと
内心落ち込んでいたが…
レ:「続いて…普段、クールな人に
アピールするにはどうすればいいですか〜?」
松:「さりげないアピールのほうがいいよね?」
レ:「たぶん。やっぱり、クールな人は
それなりに人と距離を置きたいから少し抑えめのほうが…」
松:「だよね。迷惑かけちゃうからね。」
遥:「…」
ここしかないと思った。
レ:「遥香さんはどう思いますか?」
遥:「私も同意見だけど…
2人はクールな人と普段から一緒にいるけど
どうやって対処しているの?」
松:「普段から一緒に?」
遥:「ほら!レイディオに最近入った○○っていう子だよ!」
遥:「クールで人気があるみたいだけど
普段はどうやって対応しているのかなと思って。」
質問をぶつけた。
レ:「○○君はクールなのかな?」
松:「クールだけど…優しいから。
別に特別な対応はしていませんよ。」
遥:「優しいんだ…なるほど…」
○○は優しさの塊だからね…
レ:「差し入れも持ってきてくれるし
あっ、でも…彼女は今いないよね?」
松:「う、うん…恋愛はしたくないと
この前、言っていたし…やっぱり、冷たい一面もあるかな?」
遥:「そうなんだ…」
恋愛したくないんだ…
遥:「もったいないよね。あれだけのビジュアルがあるのに…」
松:「大丈夫ですか?」
遥:「えっ?なにが?」
松:「特定の個人に肩入れして…ファンの人怒りませんか?」
松:「センターのあなたがイケメンとか言い始めたら…」
遥:「大丈夫だよ(笑)」
徹底されている…そんな印象を受けた。
遥:「○○といつか共演したいんだよね…」
レ:「もしかして遥香さんって…ブラコンですか?」
遥:「えっ…?」
レイちゃんがボソッとブラコンというワードを口にした
松:「レイ!」
レ:「あっ…今のなしで…」
この2人は○○が私の弟という事を把握している…
だとするならば…
遥:「ブラコンなのかな〜?」
さらに掘り下げていくだけ…
遥:「ブラコン〜?ん〜そうなのかな〜?」
レ:「ブラコンだと思いますよ!
○○君に関する質問をしすぎです!」
レイちゃんが完全に洩らした
松:「レイ!!!」
レ:「あわわ…やっば…」
レイちゃんは完全に青ざめていた。
遥:「2人は知っているの?私が○○の姉であることを…」
レ:「こ、この前…あ、言っていいのかな…」
遥:「言っていいよ?別に隠すことでもないから!」
松:「たまたま、聞いて…」
レ:「怜奈さんと悠理ちゃんは
最初から知っていたけど売名になると困るから
今は公表しないと言っていて…」
遥:「もう、いいでしょ?売名にならないよ。」
松:「いいんですか?勝手に弟ということを公表して。」
遥:「大丈夫!私のマネージャーも
メンバーも全員が知っているから!」
問題ないです!
レ:「カンペ…」
スタッフさんのカンペには
○○についての話を詳しく!と書かれていた。
トレンドに私と○○が家族ということが速攻で載ったみたい。
レ:「いいのかな?」
松:「う、うん。あとで怜奈さんに謝ればいいか…」
レ:「○○君はどんな子ですか?
家族相手だとやっぱり変わってきます?
悠理ちゃんに聞いても教えてもらえなくて。」
遥:「変わるよ!全然、クールじゃないよ!」
遥:「○○は甘えん坊で泣き虫で
いっつも、私に甘えてばかり…」
○○もシスコンだと思うよ!
松:「ほぇ…?意外…?悠理ちゃんにはそんな事ないのに…」
遥:「悠理が家族と知ったのは
本当にここ半年のことだからね…
まだ甘えるには距離が遠いのかも!」
遥:「私が○○と再会したのも半年前くらいだし…
夢川家から別々の家に引き取られたんだよね〜。」
レ:「なるほど…」
遥:「最近は○○とお風呂に入れていないから
久しぶりに入りたいんだけどね…」
松:「お、お風呂⁈この歳で⁈」
レ:「やっぱり、ブラコンじゃないですか!」
遥:「そうかな?///昔からの癖でね…
お風呂に入っている時に
いつも○○の悩みを聞いていたの。」
松:「お風呂って…○○君はNEGAのファンですよね?」
遥:「そうだよ!
私がいる事に気づかなくて
ずっと、さくのところに行っていたの!
本当に悔しい〜!!
○○、来て〜!とずっと思っていた(笑)」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・○○視点
遥:「というわけです…」
○:「はぁ...」
レイさんと美佑さんは悪くないな…
っていうかどんだけ言いたかったの
そんなに弟と公表したかったの?
怜:「逆によかったのかもね。」
○:「えっ?」
怜:「こっちから公表すると売名や嘘と疑われそうだし
遥香ちゃんが言ったことでそういう心配はないからね。」
確かにそうだ…逆によかったのか…
でも…
○:「お風呂に一緒に入っていることを
言ったのはマズいような…」
なんか言われるだろ…
遥:「久しぶりに入りたかったから…つい…」
○:「まあ、良いけどさ…
お姉ちゃんがヤバいでしょ?ブラコンとバラされるのは…」
遥:「そうでもないみたい。可愛い〜!って声ばかりで…」
なんでやねん
悠:「一件落着でいいのかな?」
○:「そうだね…」
特に何もなくてよかった
怜:「2人ともこの件について
SNSでコメントを出したほうがいいね。」
○:「はぁ…なんで書けばいいの?」
悠:「事実と書けば…」
○:「了解…」
姉がラジオで言ったことは大体、事実です。
最近は甘えていないのでファンの方怒らないで下さい
お風呂は拒否します。
と書いた。
遥:「ちょっと!お風呂は拒否ってどういうこと⁈」
○:「そのままだよ。入らないから。」
遥:「やだ!入りたい!」
駄々をこねるなよ…
怜:「私、帰るね(笑)」
悠:「あ、はい(笑)」
駄々こねている姉の横を通って怜奈さんは帰っていった。
遥:「悠理も○○と一緒にお風呂入ろう!」
悠:「えっ…⁈////」
悠理姉の顔が真っ赤になっていた。
○:「悠理姉はそんな事しないから…」
お姉ちゃんと違ってまともだからね。
悠:「実は…」
悠:「私も1回入りたいと思っていたの…///」
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数分後 僕の部屋のお風呂
○:「何でこんな事に…」
遥:「久しぶりに入れて嬉しい…///」
姉は僕にくっついてくる。
悠:「ふふっ…///」
悠理姉もくっついてくる。
ファンの人にバレたら怒られそう…
でも…
○:「心が落ち着く…」
安心できるんだ…
遥:「ここで聞きたいと思っていたんだけど…
○○…最近、悩んでいたよね?」
○:「気づいていたの…?」
遥:「何となく…表情が暗いなと思っていたの。」
○:「お姉ちゃんは凄いね…」
観察眼が凄い。何でも分かるんだね…
遥:「何に悩んでいたの?」
話すしかないのか…
○:「実は…」
遥:「そう…璃果とね…」
僕は数日前に悩んでいたことを話した。
○:「ごめん…話せなかった。お姉ちゃんに怒られそうで…」
遥:「ううん。大丈夫だよ。それで悩みは解決したの?」
○:「何とか…」
○:「今は恋愛については考えずに
きっかけを待つことにした。
何も考えずに生きようかなって…」
和と桜に気づかされたから…
遥:「それでいいと思うよ。
○○は自由に生きるべき。何にも縛られずに…」
遥:「お母さんとお父さんも
○○が普通の生活をすることを望んでいると思う。」
遥:「恋愛は少しずつ成長していこう?」
姉は僕の頭を撫でる
○:「うんっ…」
やっぱり、お姉ちゃんは凄いや…
遥:「○○はもう一人じゃないからね。
助けてくれる友達もたくさんいる。
私は○○を独占できなくてちょっと寂しいけどね(笑)」
○:「ごめん。」
遥:「謝らなくていいよ。○○が成長している証拠だから。」
遥:「でも、気になるな〜。
○○が誰を選ぶのか。将来の花嫁が誰になるのか。」
○:「分からないよ…僕にそんな事が出来る自信もないし…」
遥:「まあ、いつか気づくから!」
遥:「悠理も気になるよね!○○の将来の花嫁!」
悠:「遥香ほど気になるわけではないけど
少し気になるかな。」
そんなに気になるの…??
○:「ハードルが上がりそう…」
遥:「私たちのことは気にしないで
ゆっくり考えればいいからね?」
○:「はいはい…」
今は恋愛のことを考えない。
何も考えずに生きるだけ。
遥:「来月にはライブもあるからね〜
今日、公表したおかげで堂々と○○と悠理を招待できるね。」
○:「別にお姉ちゃんが招待しなくても…
咲月たちに招待されているし…」
遥:「関係者席では私のタオルを掲げてよ!」
○:「嫌だ。目立ちたくない。」
遥:「ケチ…」
頬を膨らませる姉
○:「グッズは買うから安心して。」
遥:「掲げてよ!」
姉は僕にお湯をかけてくる。
○:「嫌だ!!」
僕も負けじとお湯をかける。
悠:「ふふっ。楽しそう。私も混ぜてっ。」
悠理姉も何故か参戦してきた。
遥:「2人とも私のタオルを掲げるの!」
○:「嫌だ!」
そして、5月某日
咲月、茉央、奈央が
初めて参加するライブの日がやってきた。
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・和サイド
和:「緊張している?」
開演の数時間前に私は楽屋に来ていた。
菅:「当たり前でしょ!」
五:「胃が痛い…」
咲月と茉央は緊張していたが
冨:「アイス美味しい♪」
奈央は、まったりと過ごしていた。
菅:「でも、残念。桜と美空と彩が来られないから…」
模試で3人は来られないみたい。
アルさんと瑛紗さんも来られないと言っていた。
五:「○○は開演直前に来るんだよね?」
和:「そうだよ。悠理さんも一緒に。
あっ、でも…グッズを買うと言っていたから
今は会場の近くにいるかも。呼ぶ?」
菅:「開演前は呼ばなくていいよ。
○○を見るともっと緊張しちゃうから。」
五:「終演後に楽屋に来てと伝えてあるから大丈夫!」
冨:「和先輩もアイス食べます?」
和:「大丈夫だよ(笑)お腹空いていないから。」
和:「それより…遥香さんは何をしているの?」
私の視線の先では…
遥:「いい?買ってよ!タオルを掲げてよ!」
誰かに電話をしていた。
菅:「さっきから○○に電話をしているみたい。」
五:「自分のタオルを席で掲げてほしいんだって。」
和:「なるほどね…でも、買ってってどういう事?
まさか、○○は売り場に並んでいるの?」
彼は姉が遥香さんとバレてから
さらに有名になっていた。
SNSのフォロワーは60万人を超えていた。
和:「騒ぎになるんじゃないの?」
冨:「大丈夫ですよ!」
冨:「何とかなります!」
えぇ…大丈夫なの…?
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・○○サイド
○:「ジロジロ見られるなぁ…」
悠:「それだけ有名人になったという事だよ。」
僕は悠理姉と一緒にグッズの列に並んでいた。
○:「お姉ちゃんからウザいほど電話が来るし…」
買うと言っているのに…
悠:「グッズはどれくらい買うの?」
○:「一旦、全員分のタオルを買おうかな。
買わない人がいると文句言われそうだし…」
選ぶのが面倒というのも理由の一つ。
悠:「タオルは掲げるの?」
○:「うーん。悠理姉が掲げればいいよ(笑)」
悠:「色々と教えてね。ペンライトのやり方とか…
私はNEGAのライブ初めてだから。」
○:「もちろん。」
僕と悠理姉はグッズを購入して、会場内に入った。
合計金額が10万円になってしまい
店員の人がドン引きしていました。
ごめんなさい。
【第41話に続く】