『狼くんを落としたい』 第26話
3連休初日(火曜日)
○:「わざわざ、ありがとうございます。」
桜母:「いえいえ。ショッピングモールは
ここから遠いでしょ?」
桜の母親の車で商業施設に向かう。
桜の家から車で30分ほどかかる。
桜:「お母さんの運転荒くてごめんね〜。」
僕たちは後部座席に座っている
桜母:「桜?どういうこと?」
○:「全然、荒くないですよ(笑)」
普通の運転です。法定速度も守っています。
桜:「着いた〜!」
喋っているうちに立体駐車場に着いた。
桜母:「帰る時間になったら教えてね。」
○:「ありがとうございます。」
帰りも迎えに来てくれる。太っ腹すぎませんか?
うちの母親と違って…
桜:「じゃあ、行こう♪」
○:「どこから行くの?」
桜:「まずは5Fの…」
僕たちは車から降りて、エレベーターホールに向かった。
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○○と桜がエレベーターに乗った後…
桜母:「ふぅ…」
桜の母親は車を発進させずに
車の中で携帯をいじっていた。
桜母:「ん?来た…」
桜の母親の車の左に1台の車が止まった。
麻:「2人は行きましたか?」
停車した車から麻衣が降りてきた。
桜母:「ええ。行ったわ。」
彩:「おっ…2人が5Fに現れたとメールが!」
彩も車から降りてきた。
桜母:「昨日、桜からこの計画を聞いて驚いたわ。
相当な荒療治ね。」
麻:「こうでもしないと…あの子は動かないですから
自分の意志をちゃんと伝えてほしいので。」
桜母:「そうね…」
彩:「お兄ちゃんと桜先輩が
服を選んでいる写真が届きました!」
彩はスマホを2人に見せる。
桜母:「仕事がプロね(笑)」
ゴシップ記者レベルの写真だった。
麻:「あの子は加入直後から
ファンの写真を撮っていましたから。
まあ、主に○○の写真ですけど…(笑)」
桜母:「私はこの辺で。」
桜の母親は車を発進させて
駐車場から出ていった。
麻:「私たちもここを出ないとね。」
彩:「ええ…買い物したい…」
麻:「今日はダメ。また今度ね。」
彩:「はーい…」
麻:「今はドリームリバーホテルの
最上階の部屋で一旦待機ね。」
彩:「オーナーの家族権限が凄い(笑)」
麻衣たちも駐車場を離れた。
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桜:「じゃーん!」
桜が試着室から出てくる。
○:「似合っているよ。」
桜と一緒に服を選んでいる。
桜:「買っちゃおうっと!」
桜は僕が選んだ服を即購入した。
値段は11万円…
ごめんなさい。桜のお母さん。
桜:「○○に似合うのはこっちかな〜?」
桜は白と黒で迷っている様子
桜:「どっちにしよう…」
○:「どっちも買うよ。絞る必要ないでしょ。」
桜:「本当に?高いよ?」
○:「いくら…」
タグを見ると、合計で42万円だった…
○:「高っ…」
桜:「絞らないとヤバいよ。」
絞らないとヤバいけど…
その前に1着でも21万円はおかしい。
何でこんなに高いお店で服を…
○:「桜が好きな色で…」
桜:「じゃあ、白!」
ということで白を購入した。
※1着なので21万円...
○:「こんなに高いのを買ったのは初めて…」
僕は普段セール品ばかり買っている。
僕の感覚が麻痺しそう...
○:「まあいいか。」
こんなに高い服はこれで最後…
○:「次はどこに行く?」
桜:「本屋に行きたい。」
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桜:「乃木大のためにはどんな参考書がいいの?」
参考書コーナーの前にいます。
○:「うーん…一般でしょ…」
桜:「○○が使っていた参考書は?」
○:「僕は参考にしないほうがいいよ。
一般よりも遥かに難しいから。」
桜:「へぇ〜」
○:「でも、何で乃木大?」
桜:「○○が乃木大に行くのなら
私も目指したいなぁと思って…」
なるほどね…
桜:「今の私の実力だと結構厳しいと思うけど…
愛の力で頑張る!」
○:「そっか(笑)
分からないところがあったら、いつでも手伝うから。」
桜:「うん!ありがと!」
参考書を1冊購入した。
○:「僕も1冊購入しよう…」
僕は神話のコーナーに向かう…
桜:「何?その本…」
○:「太陽神の末裔。
こういう系統の本が好き。エンタメとしてね(笑)」
僕はその本を購入した。
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桜:「モグモグ…」
僕と桜はフードコートで昼食中
桜:「その本って面白いの…?」
○:「ん?太陽神の末裔?」
桜:「うん。食べている間もずっと読んでいるから…」
○:「たぶん、桜が読んでも面白くないと思う(笑)」
活字ばかりでつまらないからね…
古代の神の話とか興味ないでしょ?
○:「でも、今は辞めよう…
桜とのデートを楽しみたいから…」
桜:「ありがと…///あーんしてほしい…//」
○:「いいよ。」
僕は桜の口に麺を運ぶ…
桜:「うん…満足…///」
満足気に頬張る桜
かわいいです
○:「モグモグ…」
桜:「私もあーんしたい…」
ということで桜も僕の口に麺を運ぶ
○:「美味しい。」
とまあ…そういうことを
ずっと繰り返していると
麺も伸び切ってしまい
ちょっと美味しくない
でも、それを打ち消すくらい
桜と食べるのは最高のスパイス
食事に1時間も費やしてしまい
現在の時刻は14時です。
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僕たちはCDショップに来ています。
桜:「NEGAの新曲だ…///」
CDショップのテレビに
昨日、公開されたMVが流れていた。
桜:「○○も観たよね!」
○:「観た。可愛かった。」
桜:「発売日は月末か…楽しみ♪」
そして、MVが切り替わる…
友達なんかいらないって思ってたずっと
許せない嘘や誤解が招いた孤独〜♪
桜:「あ、僕は僕を好きになる…」
○:「傷つきたくなくてバリア張ってただけ…」
桜:「えっ…?」
○:「ずっと友達なんかいらないと思っていた。
大切な人が皆死んでいったから…
これ以上大切な存在を増やしたくなかった。
でも、今は友達の存在の有難さを感じる…」
○:「友達はいなくてもいい。
その考えは今でも変わらない…
でも、心を許せる存在は必要。
少しでもいれば…何か自分の見える世界が変わる。」
〇:「今、自分が笑っていられるのは
ネガティブを脱却出来たのは…
桜と五重奏の皆のおかげだよ…」
ギュッ…
桜:「大丈夫。」
そう言って、桜が僕の手を握ってきた。
桜:「○○はもう成長している。
だから、不安にならなくてもいい。」
○:「まるでお姉ちゃんみたい(笑)」
桜:「○○のお姉さんなら
そう言うと思って(笑)」
○:「生きているのかな…」
麻衣さんと彩は何を知っているのか…
でも、僕は何か知ってはいけない気がする…
そんな胸騒ぎがする
桜:「生きているよ…必ず…」
○:「うん…」
僕たちは手を繋ぎながら
テレビに流れるNEGAのMVをずっと観ていた。
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現在の時刻は18時
桜:「そろそろ、お母さんに
迎え来るように連絡するね。」
○:「うん。」
桜はメールを送信する…
桜:「あ、お手洗い行ってくるね…
ちょっと、待っていて...!」
○:「分かった…」
桜は化粧室に行き、僕は一人待っている
○:「…」
さて…誰だ。さっきから僕を見ている気配は…
桜と服を選んでいる時から、ずっと視線を感じていた。
○:「(あれ…?消えたかな…?)」
気配が消えた…
○:「なんだ…」
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一方…桜は…
桜:「…」
[分かった。私は麻衣さんの車で先回りする。]
[桜ちゃん、ありがとう。]
個室でメールを確認していた。
桜:「よし…これで大丈夫…」
桜は髪の毛を整えて○○の元に向かった。
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桜:「お待たせ!」
桜が戻ってきた。
○:「桜のお母さんが来るまで
時間あると思うけどどこに行く?」
桜:「行きたいお店があるの。」
○:「行きたいお店…?」
僕は桜に案内されて5Fに…
○:「ここ…?」
桜が僕を連れてきたのはジュエリーショップ。
それも高そうな…
桜:「お揃いのネックレスが欲しくて…///」
○:「いいよ。買おうよ。」
僕は桜と一緒に何を買うか選ぶ
時間がかかると思っていたが
桜:「これがいいよね。」
○:「うん。サクラの花。」
すぐに買うものが決まった。
サクラの花びらのネックレス。
桜:「ちょっと高いけど…」
○:「ちょっとなの?(笑)」
ちょっとどころではない。一人44万円です…
高いわ!!!
○:「でも、買いたい。」
桜:「お互い怒られるね(笑)」
カードでこの明細を見ると怒られそう…
○:「いや、僕が全て払うよ。」
桜:「え、いいの…?」
○:「うん。桜には感謝しているし…
これはプレゼントということで…」
ということで2つとも購入しました。
88万円のレシートを貰いました…
21万円の衣類に加えて
食費や本で1万円
合計110万円…
何か綺麗な数字になった…(笑)
○:「こんな金額のレシート初めて見た(笑)」
窮地ほど笑ってしまいます…
ああ…金銭感覚…
桜:「麻衣さんに怒られるよ(笑)」
○:「まあ、明日受かっていれば問題ない!」
桜:「そうだね!(笑)」
おめでとうとお祝いしてくれたその瞬間に
このレシートを見せてやるわ…
○:「しし…」
笑いが止まりませんなぁ
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桜母:「2人とも楽しかった?」
桜:「うん!」
○:「楽しかったです。」
桜の母親の車で家に向かっています。
桜:「あ、お母さん。あとでレシート渡すね。」
桜母:「いくら使ったの?」
桜:「えっと…11万円の服…」
桜母:「はぁ…まあ、いいわよ…」
明らかに頭を抱えている。
桜:「○○が選んでくれたの!」
○:「ごめんなさい…」
お詫びします…
桜母:「気にしないで(笑)」
いや、気にするだろ!!
桜:「でも、麻衣さんはもっと驚くよね。」
○:「うん(笑)」
桜母:「○○君はいくら使ったの?」
○:「桜の金額の10倍です。」
桜母:「110万円⁈」
めっちゃ驚いています。
桜母:「麻衣が怒るよ(笑)」
○:「飛び級に受かっていれば問題ないので。」
歓喜の涙を絶望の涙に変えてやる…
僕を連れていかずに
彩と2人でご飯を食べているのは許さないからな…
○:「これはドッキリですから。」
桜母:「悪い子(笑)」
桜:「いたずらっ子だね(笑)」
○:「ししし(笑)」
桜母:「着いたわよ。」
○:「ありがとうございます。」
僕の家の前まで送ってくれました。
○:「じゃあ、桜。また明日、学校で…」
桜:「待って。2人で少し話したい。」
○:「2人で…?」
桜母:「私が聞いてはいけないことかしら?」
桜:「う、うん…」
桜母:「ここに車を停めていると迷惑だから
話をするのなら手短にお願いね。」
桜:「分かった…」
○:「今日は本当にありがとうございました。」
桜母:「気にしないで!」
僕と桜は車を降りる。
○:「話って何…?こんなに車から離れる必要ある…?」
桜:「うん…聞かれたくないから…」
○:「?」
そんなに人の聴力はないけど…
桜:「ここなら大丈夫かな…」
○:「それで話って…」
桜:「私にキスをして…」
○:「キス…?」
桜:「今日はしていなかったし…
それにお母さんには見られたくなかったから…//」
○:「なるほどね…」
だから、こんなに離れたのか
わざわざ、話と嘘をついて…
○:「いいよ…目を瞑っていて…」
桜:「うん…」
桜は目を瞑る…
そして、僕は桜の唇に…
桜:「ん……」
そっと口づけをした。
桜:「幸せ…///」
○:「うん…///」
桜:「私からも…」
桜も僕の唇にキスをした。
僕たちは幸せを共有した。
桜:「ふふっ…///」
僕たちは目を見つめ合って微笑む
桜:「戻ろっか…///」
○:「うん。」
僕たちは手を繋いで、家の前まで戻る。
桜:「また明日…試験の結果が楽しみだね!」
○:「うん。今日はありがとう。楽しかったよ。」
桜:「私も楽しかったよ!」
○:「桜のお母さんもありがとうございました。」
桜母:「いえいえ!」
桜:「じゃあ、また明日!」
桜はそう言うと車に乗り込み…
車はUターンして戻っていった
○:「さて…部屋に戻って…ネックレスを保管しないと…」
僕は家の中に入った…
○:「って…また、彩と麻衣さんいない…」
2人の靴が玄関になかった。
○:「あとでメールしてみるか…」
桜母:「この角で止まればいい?」
桜:「うん。」
桜の母親が運転する車は
○○の家から50m離れたところで止まった。
桜:「あっ、来た…」
ガチャ…(扉の開閉音)
?:「よいしょ…」
桜:「上手くいきました?」
筒:「ばっちり撮れたよ。ありがとう。」
桜:「はぁ…よかった…」
筒:「ほら…写真と…キスは動画で撮れた。
ちょっと、薄暗いけど…
○○君と桜ちゃんということがはっきり分かる。」
桜:「あとはこれを送るだけですね…」
筒:「うん…送信と…」
あやめは写真と動画を送信した…
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一方、その頃…NEGAの事務所…
遠:「現場で貰った差し入れだよ〜」
山:「ありがとう!」
久:「ケーキだ!」
さくらはドラマ撮影が全て終わり
現場で貰ったケーキを配っていた。
田:「食べてもいい?」
遠:「どうぞ〜!」
璃:「美味しい♪」
柴:「さく、ありがとう!」
遠:「いえいえ〜!」
山:「ところでドラマ撮影はどうだったの?」
遠:「楽しかったよ。演技のお仕事が好きになった!
前よりも遥かに上手くなっていると思う!」
久:「観るのが楽しみだね。」
遠:「○○君も見てくれるかな…///」
さくらは顔を赤らめる
山・久・田・柴・璃:「…」
遠:「頑張ったもん…
うん。きっと見てくれるはず…」
山:「そ、それより、残りのケーキは?」
遠:「マネージャーの分とあやめとかっきーの分だよ。」
遠:「あやめは今日、遅くに
帰ってくると言っていたけど…
かっきーはどこにいるか知っている?」
久:「かっきーは自分の部屋にいると思うよ。
さっき、SNSの生配信を終えた時に
部屋に戻ると言っていたから。」
遠:「了解!あやめの分は冷蔵庫に入れて…」
あやめとマネージャーの分を
近くの冷蔵庫に入れる。
遠:「かっきーの部屋に行ってくる!」
マネ:「さくら。そのケーキって…」
遠:「マネージャーの分は
そこの冷蔵庫に入れましたよ〜。」
マネ:「ありがとう。」
遠:「いえいえ〜」
さくらは事務所の部屋を出て行った…
山:「ねぇ…さくらには伝えていないよね…」
久:「伝えられるわけないでしょ…」
田:「○○君に彼女がいるって知ったら…」
柴:「たぶん、泣き出すし…」
璃:「数日は落ち込みそう…」
5人はさくらの心配をしていた。
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遥香の部屋
遥:「〜♪」
ピンポーン(インターホンの音)
遥:「はーい。」
遥香は扉の前まで行く
遥:「さく?どうしたの?」
扉を開けるとさくらがいた。
遠:「差し入れのケーキを持ってきたよ!」
遥香はさくらを部屋の中に入れる
遠:「今日、ドラマ撮影が終わって
お疲れさまということで貰ったケーキ♪」
遥:「美味しそう…」
遠:「甘党のかっきーなら喜ぶよね!」
遥:「うん!」
2人は向かい合って座る…
遥:「いただきます…」
遥香はケーキを口に運ぶ
遥:「美味っ!さく、ありがとう!」
遠:「よかった〜」
遥:「ドラマはどんな感じなの?」
遥香はケーキを食べながら、さくらに尋ねる。
遠:「ん〜、情緒が不安定な役だから…(笑)
涙を流したり、笑ったり…まあ、それが楽しかったけど!」
遠:「かっきーもびっくりすると思うよ?(笑)」
遥:「楽しみにしているね(笑)」
遠:「○○君も驚くかなぁ…いや、幻滅するかなぁ…」
遥:「ドラマとして割り切ってくれるよ(笑)」
遠:「そうだね!あ、メール返信しなきゃ…」
さくらはスマホを取り出す…
ガンッ…
遠:「な………何これ…」
さくらはスマホを思わず、落とす…
遥:「どうしたの…?」
遠:「○○君…彼女いたんだ…」
遥:「…え?」
遠:「ほ、ほら…あやめから…写真が送られてきたの…」
さくらは遥香に写真を見せる…
遠:「手を繋いでいるし…お互い、あーんしているし…」
さくらの目から涙が溢れる…
遥:「あやめ…何で
こんな写真を撮っているの…これは盗撮だよ…」
遠:「うぅ…(涙)」
遥:「さく…大丈夫?ティッシュ…」
遥香はティッシュを持ってくる
遠:「かっきー…ありがとう…(涙)」
さくらはティッシュで涙を拭く…
遥:「でも、まだ…
彼女って決まったわけじゃ…」
遠:「あやめから動画だ…」
さくらはあやめが送った動画を開く。
遠:「かっきー……これは彼女だよ…」
さくらはその動画を遥香に見せる
遥:「えっ⁈」
その動画には○○と桜が
キスしている様子が載っていた。
遠:「彼女じゃん…
こんなにキスをしているのは
確実に彼女だよ…(涙)」
さくらの目から涙がボロボロと溢れる
遠:「しかも…この子…
私のファンの桜ちゃん…
桜ちゃん可愛いもんね…(涙)」
遥:「さく…涙を拭いて…」
遥香はティッシュをさくらに渡す。
遠:「ありがと…でも、○○君…楽しそう…」
遥:「え…?」
遠:「こんなにも笑顔で笑っていて…」
写真の○○と桜は笑っていて
本当に楽しそうな様子が伝わってくる写真
遠:「悲しいけど…」
遠:「○○君が笑顔で
楽しく過ごせているのなら…
私はそれでいいかな…(笑)」
さくらは涙を浮かべながら精一杯笑う
遥:「さく…」
遠:「ごめん…私、自分の部屋に戻るね…」
さくらは立ち上がる…
遥:「大丈夫…?」
遠:「うん…大丈夫…(笑)
あ、そのケーキ…賞味期限近いから
今日中に食べたほうがいいよ…」
そう言うと、さくらは部屋を後にした…
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麻衣の車内
麻:「うん。分かった。明日、会えると思う。
でも、その前に今からあなたの部屋に行かせて。
話したいことがあるから。」
?:「分かりました…失礼します…」
ツーツー…
麻:「ふぅ…」
彩:「あ、来た。」
麻衣の車の右に1台の車が停まる
桜母:「よいしょ…」
桜:「ふぅ…」
筒:「疲れた〜…」
3人が車から降りてきた。
麻:「今日はありがとうございました。」
麻衣も車から降りる
桜母:「ここの庭は役に立った?」
麻:「ええ。感謝いたします。」
麻衣が車を止めていた場所は桜の家の庭だった。
彩:「桜先輩もあやめさんもお疲れさまでした!」
彩も車から降りる
桜:「あの…麻衣さん…」
桜は不安そうに麻衣を見つめる…
麻:「さっき…」
麻:「??が○○に会いたいと自ら電話してきた。」
桜:「それって…!」
麻:「計画は上手くいったよ。」
筒:「ふふっ…よかった。」
桜:「はぁ…」
筒:「桜ちゃんの演技が良かったよ。
キスのところは特にね♪」
あやめは動画を桜に見せる
桜:「あー!見せないでください!恥ずかしい!!////」
筒:「ふふっ(笑)」
麻:「今から??に会いに行くので
桜ちゃんを借りてもいいですか?」
桜母:「もちろん。」
麻:「じゃあ、3人とも私の車に乗って。」
麻衣は車を発進させる
桜:「でも…明日、○○が
飛び級に受かっていなかったら…」
麻:「大丈夫だよ。あの子は受かるから。」
彩:「あ、お兄ちゃんからメールが…
[どこにいるの?ご飯は?]ってきた。」
麻:「あー、テキトーに返しておいて(笑)」
彩:「了解!」
彩は○○にメールを送る
筒:「それにしてもキス動画と写真で簡単に動かせましたね。」
麻:「ただの写真だと意味がなかったけどね…
○○が笑顔でいることが条件。
あの子は七瀬の願いを忠実に守っていた。
それが分かった以上は
あの子が○○に会うのを躊躇う理由はない。」
麻:「(でもね......”??”。
○○だけが笑顔だと意味がないの…)」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
七:「麻衣…あなたに
頼みたいことがあるの…」
麻:「なに?何でも言って。」
七:「??が○○のことばかり考えて
自分の意志を伝えないかもしれない…」
七:「だから…私の願いは2つ…
○○が笑顔で友達や彼女と笑っていること。
もう一つは??が笑顔でいること…
その2つが叶わないと意味がない…」
七:「??は意地を張ると思うから…
それを救ってあげて…麻衣…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
麻:「着いたよ。」
麻衣の車はドリームリバーホテルの
地下駐車場に停まった。
彩:「は〜…緊張してきた…」
桜:「うん…」
筒:「大丈夫だから。」
4人はエレベーターに乗り、??の部屋に向かった。
____________________________
○:「ったく…彩と2人きりでご飯とか…
怪しすぎるにも程がある…昨日もそうだろ…」
僕はお茶漬けを食べて、自分の部屋にいた。
○:「はぁ…桜の様子もちょっとおかしかったし…」
今日の桜は周りを気にしているように見えた。
普段は周りなんか気にせずにぐいぐいきていたのに…
それに加えて気配をずっと感じた。
○:「はぁ…麻衣さんが何をやっているのか…
何となく分かるんだよ…」
僕はさくちゃんから
貰った直筆サインの色紙と
姉の遺した文章を見つめていた。
○:「明日は飛び級試験の結果が分かるし…
大人しくしているか…」
僕はベッドに横になり、眠りについた。
【第27話に続く】