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『狼くんを落としたい』 第7話



初日の夜、夕食後・・・

一:「課題疲れた〜!」



美空は○○君のおかげで課題を半分終わらせました。
私たちは三分の一程度終わりました。

五:「お疲れ様。ジュース飲む?」

一:「飲む!」

美空は○○君に相当しごかれたみたいです。

和:「美空への対応うまくなった?」

〇:「たぶんね。」

かなり、上手くなっている。
先日まで○○君は私たちと
話すことすら出来なかったからね。

一:「さくたん!プール!」

美空は桜にお願いするが

○:「なんで、僕の顔を見て言っているの?」

なぜか、○○君の顔を見てお願いしている。

美空よ。欲望を抑えなさい。

桜:「みんなは先に行っていていいよ!
私は○○君に水着を渡さないといけないから♪」

一:「○○君と一緒に着替えるつもりでしょ!
そこで2人でイチャイチャ・・・
桜の考えなんかお見通しだから!」

いや、美空の思考がお見通し。
その発想は美空しかないよ。

〇:「大丈夫だよ。僕はそんなことしないから。」

一:「ほんと?」

美空じゃないからするわけないでしょ。

〇:「うん。だから、先に行って待っていて。」

一:「了解!」

美空は敬礼をして、プールのほうへ向かった。

彩:「本当にちょろい人。」

冨:「○○さんの頼みなら、何でも聞くよね。」



散々な言われようですね。

和:「私たちも行こう。」

和たちも美空の後を追いかけた。

桜:「じゃあ、水着を渡すから、私の部屋に来て?」

○:「先に言っておくけど
一ノ瀬さんが言っていたことはしないからね。」

桜:「流石にしないよ(笑)
昔のアルバムを一緒に見たいなと思って。」

〇:「アルバム?なんで?」

桜:「私たちは昔、会っていたはず。
でも、お母さんが見せてくれた写真に
○○君は載っていなかった。」

桜:「私の部屋にあるアルバムには
載っているのかなと思って。」

〇:「なるほど。確かにそうだね。」

桜:「早く、行こうよ。プールに行くのが遅いと
美空に何か言われそうだから(笑)」

〇:「だね(笑)」

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桜の部屋🌸

桜:「これが水着ね♪」



私は○○君に水着を渡す。
これは、お店で長時間悩んで決めたもの。

〇:「ありがとう。」

※事前にサイズは確認してあります。

桜:「どうかな?○○君に一番
似合いそうなものを選んだつもりだけど。」

〇:「うん。僕の好みだよ。」

桜:「本当に⁈よかった~!」

私、感激です!
5時間悩んだ甲斐がありました!

〇:「それより、アルバムを見よう。
早くしないと怒られるから(笑)」

桜:「そうだね(笑)」

私は棚にあるアルバムを取り出す。
このアルバムを開くのも何年ぶりだろうか。

桜:「一緒に見よう♪」

○:「ちょっと、貸して。」

○○君は私のアルバムをとる。

〇:「桜さんだと、僕が子供の頃の写真が
分からないかもしれないでしょ?」

桜:「たしかに。」

私は彩ちゃんの写真もわからなかった。
私の記憶力は絶望的なので・・・

〇:「はい。あった。」

○○君はアルバムの写真を指す。

桜:「私と彩ちゃんだ。」

お母さんに見せてもらった写真で
彩ちゃんが子供のころの顔は判別できる。

桜:「この男の子が○○君?」

〇:「そうだよ。」

桜:「かわいい~!」

目元が○○君にそっくり。
この頃からカッコいいなぁ…///

〇:「ばかにしている?」

桜:「違うよ(笑)
本当にかわいいと思ったの!」

美空が見たら、発狂すると思う。
もちろん、和も茉央も咲月も。

これは私だけの秘密にしなければ!

桜:「あと、この女の子はだれかな?」

その写真には
私、彩ちゃん、○○君の3人と女の子が一人。

合計4人の子どもが写っていた。

○○君はその女の子に抱きついている。

羨ましい!

桜:「この子のことを○○君は覚えている?」

私は記憶力が悪いので何も覚えていない。

本当に誰なのかな?

桜:「ねぇ、○○君?」

○○君の返事が聞こえない。

〇:「…」

桜:「…○○君?」



○○君は青ざめた顔をしていた…

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一:「やっほ~!」

美空は5月のプールに勢いよく飛び込んだ。

和:「美空の水着攻めすぎじゃない?」

五:「○○君に見てほしいからだって。」

私たち二人は肌の露出が控えめ。
美空は明らかに際どいもの。
○○君以外の男子が見たら、鼻血が出ると思う。

彩:「和先輩、スタイルいいですね。」

冨:「茉央先輩も!」

和:「あ、ありがと・・・///」

ここ数日は筋トレもしてきたので
スタイルが良くなりました。
○○君によく見られたいからとかではないですよ!

一年の二人も控えめな水着。

和:「なんで、二人はビキニなの?」

咲月と美空は明らかに攻めている。
美空はまだ分かるけど、咲月は意外。

菅:「和と茉央はビキニにしなかったの?」

和:「さすがに恥ずかしい///」

五:「私も恥ずかしい。本当に二人はすごいよ。」

彩:「お兄ちゃんと桜先輩、遅いですね。」

桜と○○君が来るのが遅い。
私たちがプールに入ってから
すでに20分が経過していた。

和:「私、見に行ってくるね。」

彩:「お願いします。」

あれ?意外。ついてくると思っていたのに。

私は○○君と桜を迎えに行った。

冨:「和先輩についていかないの?」

彩:「うん。」

最近、お兄ちゃんは桜先輩と仲良いから。
私は邪魔してはいけないのかもしれない。

一:「彩ちゃんも入るよ~!」

彩:「あ、ちょっと!」



彩は美空に引っ張られ、5月のプールに飛び込んだ。

和:「(あ…二人ともいた。)」

プールの入り口で○○君と桜を見つけた。

〇:「あ、井上さん。どうしたの?」

和:「二人が遅いから、迎えに来たの。」

〇:「あ、ごめん。
一緒に着替えていたから遅くなって。」

和:「ど、どういうこと⁈」

○○君はそういうことしないよね?

〇:「あ、変なことはしてないから。
ね?桜さん。」

桜:「う、うん。」

明らかにぎこちなさそうな二人。

和:「(あ、あやしい。)」

二人はプールサイドに向かった。

桜は○○君の手を握っていた。

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私もプールサイドに戻った。

一:「あ、○○君!」

〇:「一ノ瀬さん!露出の激しいものを・・・///」

○○は目をそらす。

彩:「お兄ちゃんはそういうのに耐性がないのに。」

彩ちゃんとつい最近までお風呂に入っていたよね?
それで耐性がないの?

彩ちゃんも五重奏に匹敵するくらいかわいいのに。

五:「もっと、近くで見なきゃ!」

茉央が○○君の腕を引っ張る。

〇:「うわ!」

○○君はプールの中に飛び込む。

〇:「急に引っ張らないでよ。」

五:「ごめん(笑)」

一:「○○君、私の水着どう?」

美空は○○君に近づき、アピールする。

〇:「い、いいと思うよ///」

目を逸らしながら、○○君は答える。

一:「ありがと~///」

彩:「胸ばかり見ているよね。」

〇:「そ、そんなことは!」

一:「もっと、見てもいいよ?」

○:「えっ...///」

彩:「にやにやするな!」

美空と彩は○○君に近づく。

○:「ち、ちょっと…!」

○○君は二人に追いかけられている。

和:「桜は混ざらなくてもいいの?」

桜:「うん。今はいいかな。」

私と桜は遠くからみんなを見つめている。

和:「桜も控えめな水着だね。」

○○君のことが好きな桜は
攻めた水着にすると思っていた。

桜:「まだ、攻めたものにする気はないかな。
さすがに恥ずかしいよ…///」

和:「一緒に着替えていたってどういうこと?」

桜:「そ、それは…。」

桜は明らかに動揺している。

和:「本当に変なことしていたの?」

桜は黙ってしまう。

和:「ねぇ、○○君に何かされたの?」

桜:「い、いや…」

和:「変なことされたのなら、私が注意する。
だから、正直に話しt…」

桜:「さ、されてないから!!」



桜は急に声を張り上げ、否定する。

一:「さくたん?」

一瞬、その場が静寂に包まれる。

桜:「ご、ごめん。」

桜がそんなに強く否定してくると思わなかった。
本当に変なことはしていないのだろう。

桜:「和、ごめん…本当に話せない。」

桜はそう言い、美空たちのもとへ行く。

和:「(本当に何があったの?)」

桜が○○君の手を握っていたから
仲が悪くなったとは思えない。

じゃあ、桜が動揺したのはいったい…

菅:「にゃぎもこっちに来なよ!」

咲月に呼ばれる。
みんなは水中バレーボールをしていた。

和:「うん!」

今は何も考えず、楽しもう。


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私たちは夜のプールで遊びまくった。

桜:「そろそろ、出ないと。」

一:「えぇ……まだ、遊びたい~。」

五:「もう、22時だよ。」

菅:「お風呂にも入らないといけない。」

和:「それに明日も課題あるから。」

一:「やだ!」

駄々をこねないで。

菅:「○○君が教えてくれるからいいでしょ。」

一:「そうだった。私には○○君がいる。」

別にあなたのものではありません。

和:「更衣室はどうするの?一つしかないけど。」

一:「○○君も一緒に着替えれば?」

それはさすがに無理です。

〇:「着替え終わったら呼んでよ。
それまで、僕はここにいるから。」

彩:「更衣室を覗かないでよ。」

〇:「そんなことするわけない。」

一:「私は覗きもOKだよ♡」

アホか。

○:「そんなことをしたら捕まるからやりません。」


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みんなが着替えている間
プールサイドにあった椅子に座り、夜景を見ていた。

〇:「…」

桜:「みんな着替え終わったよ。」



ラフな格好の桜さんが話しかけてきた。

〇:「ありがとう。」

桜:「それと一緒に寝る約束///」

桜さんは頬を赤らめる
濃い時間を過ごしていたおかげで
一緒に寝る約束を忘れそうになっていた。

〇:「うん。僕の部屋にする?」

桜:「いいよ……///
行く時になったら、また連絡するね。」

〇:「分かった。」

23:30……

和:「で?なんで、
私たちの部屋に集まっているわけ?」

みんながお風呂に入った後
パジャマ姿で私と咲月の部屋に押し掛けてきた。

一:「決まっているでしょ。恋バナよ。」

菅:「桜、彩ちゃん、奈央ちゃんがいないけど。」

そう。この部屋にいるのは私を含めて4人だけ。

一:「一年生には恋バナはまだ早いのよ。」

私たちの年齢と一つしか変わらないでしょ。

和:「桜は?」

一:「さくたんは一歩リードしているから出禁です。」

酷いよ。

和:「なんか、可哀想じゃない?
今から、呼ぼうかな。」

私は携帯を取り出す。

五:「私も桜を誘ったけど、眠いからパスだって。」

和:「私も寝たい。」

一:「ダメ。今夜はオール。」

プールで疲れたのに!

菅:「明日も課題やること分かっている?」

一:「眠くなったところを○○君に
起こしてもらえるのよ。最高じゃん!」

私にはその感覚が理解できません。

一:「ってことで、恋バナだ!」

と美空は意気込んでいましたが
昼間の課題と夜のプールの疲れがあったのか。

話し始めて15分ほどで寝てしまった。

私たちも特に話すことがなかったため
すぐに眠りについた。

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23:35

桜:「…」

私は○○君の部屋の前にいる。
連絡したのだから、すぐに入ればいいはずなのに
緊張してしまい、入りづらい。

桜:「ぐし…」

私は気合いを少しだけ入れて
○○君の部屋の扉を開けようとした

と、そこに・・・

冨:「あれ?桜先輩?」



奈央ちゃんが隣の部屋から出てきた。

冨:「その部屋は○○さんの…。」

桜:「い、いや…その…。」

なんて言い訳すればいいのかわからない。

冨:「お二人は仲良いですもんね。
安心してください!美空先輩や
彩ちゃんには言いませんから。」

桜:「ありがと…。」

奈央ちゃんは黙ってくれるみたい。
バレたら、とんでもないことになるから
本当に感謝しかないです。

冨:「それより、ジュースってどこにあります?」

桜:「部屋にあると思うけど。」

みんなが来る前に全員分の部屋の冷蔵庫に
ジュースを置いていた。

冨:「探すのを手伝ってくれませんか?」

私は奈央ちゃんと彩ちゃんの部屋に入り
ジュースを探すのを手伝った。

彩ちゃんはすでに眠っていたため
起こさないように探し、起こさないように部屋を出た。

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23:55

〇:「遅かったね。」

桜さんがメールを送ってから
15分ほどが経過していた。

桜:「ごめんね。ただでさえ遅い時間なのに。」

桜さんは申し訳なさそうに謝る。

〇:「ううん。大丈夫だよ。」

桜:「ここ、座るね。」

桜さんはベッドに腰掛ける。

〇:「井上さんと話していたのが聞こえたよ。」

桜さんが大声を出したのはみんなに聞こえていた。

桜:「なんて、話したらいいのかわからなくて。」

〇:「桜さんは気にする必要ないよ。」

一緒に着替えていたのは半分本当だ。
水着の着方が分からなくて、僕が桜さんに聞いていた。

もう少し、別の言い方をすればよかった。

桜:「私がちゃんと話せばよかった。」

〇:「その前に桜さんを動揺させる
話をした僕が悪い。」

そう。着替える前に
桜さんを動揺させてしまった。

別に話すつもりはなかった。
でも、いつか桜さんに話す必要がある。

あのタイミングしかなかった。

あの写真を見てしまったのだから。

〇:「まだ、あの話は誰にも話さないで。」

今は誰にも話してほしくない。

桜:「うん。」

〇:「それでベッドは一つしかないけど
同じベッドで寝るということでいいの?」

一人部屋のため、ベッドは一つしかない。

桜:「そうだよ…///」

僕たちは同じベッドに入る。
少し・・・いや、かなり緊張している。

〇:「寝相が悪かったらごめんね。」

桜:「私のほうこそ・・・///」

〇:「じゃあ、おやすみ。」

桜さんに背を向けて、眠ろうとしたが

ギュ…。

〇:「桜さん?」

桜:「私がいるから。」



桜さんが僕の背中に抱きつく。

桜:「だから、大丈夫。」

○:「ありがと。」

桜:「おやすみ。○○くん。」



〇:「おやすみ。桜さん。」

数分で彼女の寝息が聞こえてきた。
僕はすぐに眠りにつくことができなかった。

こんなにかわいい子に抱きつかれているのだから
当たり前かもしれない。

〇:「ありがとう。桜ちゃん。」

僕は頑張って目を瞑り、
数十分後に夢の世界に旅立った。

【第8話に続く】

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