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『狼くんを落としたい』 第42話



○:「どういう事だ…?」

記事を確認すると

“夢川☆☆は乃木大を首席で卒業し
経営手法が天才的であっという間に
経営者としての地位を確立した。
しかし、10年前に突然消えた。”

“夢川☆☆が経営権を持っていた事業は
川のつく家に引き継がれていた。
そして、夢川☆☆という名は世間から突如消えた。
彼に関するネット記事も全て削除された。”

○:「父の情報は確かに載っていなかったけど…」

何で急に出てきたの…??

僕が調べても全く出てこなかったのに…
経営者って…

怜:「私がざっと見た感じ…
特に問題は無さそうだけど
一応、確認しておいてね!
反応はしなくていいからね!」

○:「はーい…」

怜奈さんは電話を切った。

○:「他には何が書かれているんだ…?」

僕はページをスクロールする。

“夢川☆☆は人気モデルだった七瀬と結婚をした。
七瀬はモデル業を引退して以来
何をしているのか分からない。

七瀬は子どもを2人産んだと☆☆が言っていた。
私は悠理の存在を知らなかった。
遥香と○○だけだと思っていた。”

○:「確かに悠理姉の事を知る人は少ない…」

双子はシークレットだったから…

“☆☆は天才だから自分の遺伝子を
遺したかったのだろう。隠し子もいるかもしれない。”

○:「当たっているし…」

でも、太陽神のことも知らないのか??

“夢川☆☆はどこにいるのか分からない。
すでに亡くなっているのかもしれないが
夢川☆☆の血を引く
夢川○○がこの国の発展には必要だ。
夢川☆☆の血を引く者が
この先、どんな活躍をするのか私は期待したい。”

○:「…えっ?これだけ?」

拍子抜けです。

怜奈さんが焦って電話してきたから
なんかヤバいことでも書かれていたのかと思ったら…

○:「でも、誰がこんな記事を…」

プルルルル…

○:「統さん…?もしもし…」

父の知り合いで乃木大の教授の統さんから電話が来た。

統:「この時間に起きているという事は
ネット記事を見たのか?」

○:「ええ…でも、一体誰が…?」

統:「あの記事を書いた奴にさっき電話したのだが…」

○:「えっ?誰が書いたのか知っているんですか?」

統:「その出版社の編集長に聞いたんだよ。
俺も☆☆も知り合いだからな。」

統:「そこの記者が☆☆に憧れていて
たまに食事をしていたと。
でも、突然、情報が消えたから
出版社に勤めて情報を得ようとしたと…」

○:「なるほど…」

統:「遥香がラジオで
夢川家というワードを出した時にピンと来たんだって。」

統:「遥香と○○という子どもがいるというのは
その記者は☆☆から聞いていたみたいで。
だから、こういう記事を出せたんだと。
夢川☆☆はこの国の発展を導く存在だから
消えてほしくなかったんだって。」

なるほどね

○:「でも、どうして父に関する情報が消えていたんですか?」

国の発展に関係する人物なら消えるわけがないし…

統:「☆☆が各所に圧力をかけたんだよ。
自分は経営権を手放すから存在を無くしてと。
○○たちが普通に過ごしやすいように
自分の存在を無かったことにしたいと
○○たちには負担をかけたくなかったと。」

○:「事業が大変だからですか?」

統:「そんな感じ。
あいつは財宝を使う為に経営者になったからな。
財宝なんか使い切れるわけないから事業を増やしまくった。
でも、○○が太陽神という事を知って
自分の命は長くないことも悟った。」

統:「だから、経営権を手放した。
全てを無くしたかったんだと。」

○:「ふーん…父が凄かったことは何となく分かりました。」

本当に何となくだけど

統:「この記事を消すように編集長に頼むか?」

○:「ううん。大丈夫です。
太陽神に関する事は全く書かれていませんし。」

○:「それに今消すと変に思われそうですし…」

統:「そうだな。
まあ、☆☆に興味ない一般人が多いから
安心して過ごせばいいよ。
○○が☆☆の事業を引き継ぎたければ
麻衣の夫に頼めばいい。」

○:「ですね。」

統:「それよりも…
七瀬が○○たちの母親ということが
知られたほうが注目を浴びるな。」

○:「えっ?」

そうなの?

統:「人気モデルだったからね。女性にも男性にも…
結婚して引退する事を発表した時は
七瀬ロスと騒がれたよ(笑)」

○:「ほぇ…」

そんなに人気だったの?

○:「じゃあ、母が亡くなっていることは
世間に公表しなくてもいいですよね?
騒がれるのは面倒ですし…」

統:「いいと思うよ。
☆☆が死んでいる事も公表しなくてもいいかもな。」

あの記事には何も反応しなくていいか…
いや、父と母が合っていることだけ反応すればいいかな…

統:「それより、どうだ?恋愛は順調か?」

○:「いきなり、どうしたんですか?」

こんな夜中に恋バナって(笑)

統:「七瀬の事を話していたら
つい、気になってしまって…」

統:「☆☆も恋愛には苦労していたからな。」

○:「えっ?そうなんですか?」

初めて知った。

統:「正確には七瀬が苦労していたというのが正しいか(笑)」

お母さんが苦労?

○:「詳しく聞きたいです。」

統さん曰く母はたまたま公園で出会った
父に一目惚れしたらしい。

父はイケメンだったけど鳩に話しかけていて
ちょっと変だなと母は感じていたらしい。

でも、母はそこに魅力を感じた。

父は恋愛経験がなく、真面目な性格で
笑うこともほとんどなかったみたい。

そして、母が人気モデルということも知らなかった。

母は何度もアプローチをして父は告白を受け入れた。

でも、父は好きという感情が分からないと悩んでいたらしい。

そして、父と母は一度別れた。
別れた時に父は恋愛について考えたらしい。

恋愛について何か分かった父は
再び母に告白して
父からプロポーズをして
父と母は結婚した

○:「父は恋愛の何を分かったんですか?」

統:「さぁな…詳しくは聞いていない。
シンプルに考えたことだけ聞いた。」

○:「シンプルに…」

どういうこと…?深く考える必要はないの…?

統:「○○も恋愛について悩んでいるのか?」

○:「えぇ…全く分からなくて…
母が僕に彼女が出来ることを願っていたから
ちゃんと考えようと思っていたけど…
手がかりも今のところなく…」

統:「なるほどね。」

○:「もしかして…
母は父のように僕が恋愛で苦労する事を
予想していたんでしょうか…?」

統:「多分な…だから、気になったんだろうな。
○○の将来の花嫁がどんな子なのか。
まあ、その前に亡くなってしまったが…」

好奇心だったのかな…

○:「でも、僕は父と違って恋愛について何も分からない…」

シンプルに考えるなんて…

統:「そのうち分かるだろう。だから、不安になるなよ。
それに☆☆と同じように生きる必要もない。
仕事も恋愛も違っていい。○○の生きたいように生きろ。
だから、アイツは事業を手放したんだ。
生きたいように生きろ。人生を楽しもうぜ。」

____________________________

翌日…

○:「ふぁ…眠い…」

僕は収録のために
スタジオの廊下の椅子に座り、パソコンを触っていた。

昨日は1時間しか寝られなかった。

統さんが言っていたことをずっと考えていた。

恋愛をシンプルに考えたと
言っていたことが引っかかっていた。

○:「(まあ、いいや…今は深く考えないでおこう…)」

僕は美空のために問題を作成している。

玲:「あっ、○○君。」

玲さんが近くの楽屋から出てきた。
今日も玲さんと収録が同じ。

玲:「パソコンで何しているの?」



○:「友達のために問題を作っています。
乃木大に合格してほしいので。」

僕は玲さんにパソコンの画面を見せる。

玲:「えっ?これ全部自作の問題なの?大変じゃないの?」

○:「大変とかはないですね…本当に合格してほしくて…」

美空を支えてあげたい。合格してほしい。

美空が頑張っているのを知っているから
僕はその手助けをしたい。

本当に助けてあげたい一心で問題を作っていた。

玲:「そっか。でも、楽しそうだね。」

○:「楽しそう?」

玲:「楽しそうに作業をしていて
まるで…その子に恋しているようで…」

○:「えっ…?」

恋…?僕が…?美空に…?

玲:「恋は例えだから気にしないでいいよ(笑)」

玲:「ただ…楽しそうに作っているなぁと思っただけ。」

○:「そ、そうですか…」

びっくりした…でも…これが恋なの…?

いや、違う気がする…

咲月が乃木大を目指したいと言ったら
僕は同じように支えるはず…

これは恋じゃないはず…

玲:「それよりも○○君の母親ってあの西野七瀬なんだね。」

○:「あぁ…記事を見たんですか…」

玲:「うんっ。なんか、納得した。
○○君のSNSの写真の表情がまるでモデルみたいだから。」

玲:「血を継いでいるのかなと思ったよ。
モデルのお仕事も来るんじゃないの?」

○:「既に来ています。麗奈さんから誘いが。
まあ…今は断っていますが…」

ラジオのお仕事のほうが負担はないし…

○:「いつかはやってみるかもしれないですね。」



与:「あっ…○○君いた…!」

玲さんと話していた時、与田さんがこちらにきた。



○:「どうしました?」

与:「七瀬さんがお母さんって本当⁈」

○:「本当ですけど…七瀬さんって…
母の知り合いだったのですか?」

与:「私がこの仕事をしようと思ったのは
七瀬さんにもう一度会いたかったから!」

○:「もう一度会いたかったって
与田さんが小さい時に会ったという事ですか?」

与:「そうだよ!小さい島に居て…
そこに七瀬さんが撮影で来て…」


与:「動物の散歩をしていた私に
声をかけてくれたの!そこで仲良くなって…
いつか会いに行きます!と言って…
七瀬さんに会うためにこの仕事を…」



○:「そうだったんですか…」

でも、母は…

与:「七瀬さんに会いたいんだけど…
会わせてもらえるかな…?
結婚後に引退して以降の記録がどこにもなくて…」

○:「与田さん…」

言ったほうがいいのかな…??

与:「会えない理由とかある…?七瀬さんは…」

与田さんは涙目になっていた。

与:「七瀬さんに会えない理由を教えて…」

何となく分かっているんだ…与田さんは…
僕とお姉ちゃんが別々の家に
引き取られたのは既に知られていた。

全く別の家に引き取られた事から…
ある程度の推測はつく…

○:「母は…僕が子どもの頃に亡くなりました…」

だから、伝えたほうがいいんだ…
変に誤魔化さずに…

与:「そっか…そうなんだ…」

○:「ごめんなさい…」

与:「ううん…謝らなくていいよ…
何となく…分かっていたから…」

与田さんは僕の隣に座る。

与:「はぁ…会えないのか…でも、届いているといいな…
私がプロデューサーの番組に○○君が出ていること…」

○:「届きますよ…必ず…」

天国から見てくれているから。

玲:「運命ですよね…こんな所から繋がるなんて…」

与:「うんっ…
でも、○○君が優しいのも分かる気がする。
七瀬さんも本当に優しかったから。
○○君は七瀬さんに似ている。」

○:「母は本当に優しかったです。
でも、僕は母が病気で入院している思い出しかなくて…」

与:「そうなんだ…病気…」

○:「何か母について知っていますか?
父との出会いとか…父と再び付き合った理由とか…」

統さんは知らなかったけど…
与田さんは知っているのかな…?

与:「再び付き合ったって…そんな話を昔聞いたよ!」

○:「えっ…本当ですか?詳しく教えてください!」

与:「もちろん!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

・祐希の過去

与:「へっ?同じ人と再び付き合った?」

七:「そうだよ(笑)
最初は私が何度もしつこいくらい
告白して付き合ったんだけど…一度別れて…」

与:「一度別れた理由は…?」

七:「彼が真面目すぎたの
恋愛についてちゃんと考えたいから
一度別れたいって(笑)」



与:「ええっ…⁈」

七:「面白いよね(笑)」

与:「何で七瀬さんの告白を受け入れたんですか?」

七:「しつこかったからみたい(笑)」

七瀬さんはずっと笑っていた。

七:「大真面目に恋愛について考えさせてほしい!
って…頼んできて…その時に笑っちゃったよね。」

与:「そもそも…どうして
その人を好きになったんですか?」

七:「何だろう…」

七:「最初は一目惚れかな。
カッコいい人だなと思っていたんだけど
鳩に話しかけていたのを見て
余計に気になって、何度もアタックした。」

与:「変人じゃないですか…鳩に話しかけるって…
人が鳩と話せるわけないのに…」

七:「そうだね…(笑)」

与:「それで恋愛について真剣に考えた結論は…」

七:「一緒に居て楽しい…
その人と笑って過ごせる…
あとは…何だっけ…?忘れたけど…
本当にシンプルな答えだったよ(笑)」

真剣に考えた結果がそれなんだ…

与:「それでその人から、もう一度告白されたんですか?」

七:「そうだよ。
でも、私も彼に迷惑かけちゃったのよね…
恋愛経験もほとんどなくて
とりあえず、猛アタックしようと思って…
最初、彼は嫌がっていたみたいだけど(笑)」

与:「嫌がりますよ。最初から猛アタックは…」

真面目な人なら尚更…

七:「まあ、こんな感じでも
私は彼と距離を縮められたから!結果オーライだね。」

与:「再び付き合ってからは順調ですか?」

七:「順調だよ!お仕事で会えない時もあるけどね…
それでも毎日電話しているかな。」

与:「ラブラブじゃないですか。」

七:「うんっ。幸せだよ。」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

与:「という感じだったよ。」

○:「一緒に居て楽しいか…」

みんな楽しいんだけど…

よく分からないなぁ…

与:「○○君も恋愛について考えているんでしょ?」

○:「えぇ…まあ…一緒に居て楽しい…うーん…」

与:「七瀬さん曰くその人はふとした時に気づいたんだって!」

与:「だから、あまり考えていないって!」

○:「何なんですか…それ…」

真剣に考えて…あまり考えていない?

玲:「考えるのをやめていた時に
気づいたという感じなのかな?」

○:「そんな感じか…」

難しい問題に出会った時に一度、離れてみたら
その時に答えが分かるのと同じかな…

与:「○○君もいつか気づくよ。
あなたのお父さんも気づいたのだから…」

○:「ですね。」

まあ、不安にならずに過ごすか…

与:「あっ、そろそろ
収録の準備に行かなきゃ。2人ともよろしくね!」

与田さんは席を立つがすぐに戻ってきて…

与:「今度、七瀬さんのお墓にお参り行ってもいい?」

と聞いてきた。

○:「もちろんです。案内しますよ。」

与:「ありがと!」

与田さんは準備に向かった。

”いつか気づく…”

そう言われたから

僕はその通りに過ごした。

そして、気づけば7月下旬を迎えていた…


○:「美空から電話来るかな…」

美空が7月上旬に受けた模試の結果が届く日

美空が結果を教えてくれると言っていたが
なかなか、電話が来ない…

○:「こっちからかけてみようかな…」

僕が美空に電話をすると…

一:「○○…」

美空は1秒で電話に出た。

○:「結果はどうだった…?」

一:「最悪だよ…E判定に逆戻り…
点数も自己採点よりも遥かに低くて…」

美空は明らかに泣いているようだった。
普段よりもネガティブになっていた。

○:「まだ7月だよ…?」

一:「うぅ…無理だよ…もう…
桜はA判定で…私は…○○に支えてもらっているのに…」

○:「美空は美空って言ったでしょ?」

一:「そうだけど…無理だよ…!!」

○:「美空…」

一:「やっぱり、私…向いていないよ…」

○:「まだ、夏休みもあるでしょ?
ほら…明日は終業式で夏休みは明後日から1ヶ月。」

時間はたくさんあるし…
というか夏休みで一気に点数を伸ばす計画を僕は立てていた

一:「無理無理…もう無理…
こんな状態で夏休みを迎えるなんて…頑張れる気がしないよ…
ごめん…○○…今日はもう寝たい…おやすみ…」

美空は弱音を吐き続けて、一方的に電話を切った。



○:「はぁ…このままだと…」

美空は合格しない…メンタルをやられたら、もうお終いだ…

どうすればいい…?美空がここから頑張れるには…

○:「これしかないか…」

僕は策を思いついて、電話をした…

一母:「あっ…○○君?」

美空の母に僕は電話をした。

○:「美空は相当メンタルやられていますよね?」

一母:「うん…模試の結果が悪かったみたいでね…
ご飯もあまり食べられなくて、ずっと、泣いていて…」

やっぱり…これしかない…

○:「それで美空のお母さんに
頼みたいことがあるんですけど…」

____________________________

・美空サイド

一:「終わった…もう無理…」

終業式の終了後の教室で私はうなだれていた。

桜:「まだ時間はあるでしょ…諦めないの!」

一:「でも…無理だよ…成績は下降したから…」



和:「○○に相談すれば?」

一:「無理無理…○○は忙しいから…
さっさと私を捨てるべきだよ…
問題なんか作らなくていい…」

私に構わずにやりたい事をやってほしいもん…

和:「美空…」

一:「帰る…」

もう…ふて寝してやる!

桜:「あっ…美空…」

一:「桜と和は頑張ってね…」

私は才能がない…

私は落ち込んだまま教室を後にして、家に帰った。


____________________________

一:「ただいま…って…あれ…?誰か来ている…?」

玄関に見知らぬ靴があった…

一:「誰だろう…まあ…いいや…関係ないし…」

私は自分の部屋に向かうおうとしたが

一母:「美空?おかえり!ちょっと、こっちに来て!」

母に呼ばれた。

一:「なに…?」

私は今…不機嫌なんですけど…

一母:「あなたに話したいことがあるから!」

一:「話したいこと…?」

よく分からないまま私はリビングに向かった…

そして、そこには…

○:「よっ…」

○○がいた…

一:「どうしたの…?忙しいのに…私の家に来て…」

○:「美空に提案したいことがあって来た。」

一:「提案…?」

志望校を下げるかどうかでしょ…?

と思っていたが私の想定を超える提案をしてきた。


○:「一緒に住む?」


一:「えっ…?」

ど、どういうこと…?一緒に住むって…

○:「美空は明日から夏休みでしょ?
僕が近くで勉強を見てあげたいなと思って。」

一:「なんで…そこまで…?」

私のためにそんなにする必要は…

○:「美空を全力でサポートすると言ったでしょ?
だから、これしかないかなと思って…
僕が近くにいれば美空は孤独にならないでしょ?」

一:「うん…」

こんなに考えてくれているんだ…
それなのに私は諦めようとしていた…

頑張らなきゃ…

○:「どうする?一緒に住む?」


一:「お願い!私に勉強教えて!」

最後まで私は諦めない!

○:「もちろん。」

一母:「決まりだね!
美空、早く荷物をまとめて!服とか勉強道具とか!」

一:「うん!」

私は急いで自分の荷物をまとめた。

そして、2時間後には○○の部屋に来て
ダンボールに入れた荷物を整理していた。

一母:「じゃあ、○○君。
1ヶ月間、美空のことをよろしくね!」

母はすぐに帰っていった。

母は○○のことを本当に信頼しているみたい。

私と○○は2人きりになった。

○:「ベッドは1つしかないんだよね…
どうしようかな…買おうかな…」

一:「確かに3人で寝るには狭いよね!(笑)」

○:「3人…?」

彼は首を傾げていた。

一:「桜も一緒に住むんでしょ?3人で1ヶ月間の勉強合宿!」

2人で寝るならまだしも…3人は狭いよね!

と思っていたが

○:「何を言っているの?2人だよ?」

彼は否定してきた。

一:「へっ…?」

○:「桜はここに住まないよ。
ここに住むのは美空だけだよ?」

一:「えっ…??」

私だけ???

○:「2人きりで生活だよ?マンツーマンで勉強合宿。」

ま、まじで…???完全に勘違いしていた…

○:「ご飯は僕が作って…
お風呂は美空が先に入るほうがいいか…
ベッドは…僕がソファーで寝れば…」

彼はぶつぶつと独り言を言っていたが

一:「…」

私の心臓の鼓動がどんどん速くなる…

ヤバいよ…2人きり…?それも1ヶ月…

○:「うーん…勉強机はどうしようかな…」

彼は平然としていた。

いやいや…2人きりの意味分かっている⁈

同棲だよ⁈

色んな意味でしんどい!!!
この先、私はどうなっちゃうの!!!

○:「美空?勉強机はどうする?」

一:「そこの机でやるからいいよ…!!」

色んな意味でハードな1ヶ月を
私は過ごすことになりそうです…

【第43話に続く】

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